そこはかとにゃく勉強するにゃ

 時は流れて昼休み。

 ソルディオ先生に元気をもらったニャアは、その後の二コマはきちんと頑張れたと思う! 

 授業ではテスト前ってこともあって、今までのまとめとかテストについての話をしていたから、今まで寝てたニャアでも上手くいけばテストも乗り切れるかも? にゃんて、希望も見えて来てますますやる気が湧いてくる。


「ようやく授業中に寝ないアンタを見れたわね」

「にゃはは! ニャアはやれば出来る子だに?」


 二人で机をくっつけて、お弁当タイム。

 チラッと見たエルラルのお弁当は、キノコの炊き込みご飯にキノコのマリネ、キノコソテー。

 やれやれ、相変わらず菌類まみれだにゃ。


「ちょっと、不味そうな言い方しないでよ!」

「事実にゃ?」

「この子達にはマッシュルームと言う可愛い総称があるのよ」


 エルラルはキノコ類をこよなく愛する女の子。

 味と言うより見た目が好きらしい。

 いつか真っ白にゃキノコとか水玉模様のキノコを食べるのが夢だとか……

 とりあえず、エルラルは山に入らにゃいで欲しいとニャアは思った。


 毒キノコで大事な友達を亡くしたくにゃいものだ。


「何よ、その微妙な顔は……」

「ウンウン、キノコカワイイヨ」

「棒読みなんだけど」


 そんにゃこんにゃでわいわいとご飯を食べ終えて、ニャアは図書室に向かった。

 最高の手紙を書くための参考文献がにゃいかにゃ〜って思っての行動にゃ。

 エルラルも誘ったけど、「わたしソルディオ先生クラスじゃないし」って断られちゃった。


 まあ、そういうこともあるにゃ! 

 今は試験勉強の定番、図書室というスポットに集中集中♪ 

 日本語コーニャーの本棚で、参考ににゃりそうにゃ本を探しにゃがら考える。


 こういう時のイベントと言えば……

 静かな図書室で、参考書を取るために本棚の上の方に手を伸ばす、途端に触れる手……! きゃっ! 


 にゃ〜んてにゃ。むふふふふふ。


 視界の端に見知った影を見つけたニャアは、シミュレーション通りにタイミングを見計らって手を伸ばす!! 


「にゃっ!」

「うおっ」


 英日辞典を取ろうとしたロラン先輩の手と、無事にゴッツンコしてやったにゃ。


 計算通り!! 


「すまない、マオ」

「いにゃいにゃ〜大丈夫ですに〜」

「何故ニヤついているんだ……気持ち悪い奴だな」

「酷くにゃい!?」


 さらっと暴言を吐かれつつも、ロランは英日辞典を本棚から抜き取ってニャアに差しでしてきた。


「レディーファーストだ。自分は急いでないからな、先に借りると良い」

「いえ、結構ですにゃ」

「何故だ!?」


 ニャアはその本に用とかにゃいし……とはちょっと言えにゃいけど──


「レディーとかじゃにゃいんで、結構です」

「……まあ、言動にもう少し節度を持った方が良いとは思うが、そう悲観するほどでもないんじゃないか?」


 変にゃ気を使われてしまった。

 にゃんたる、無様にゃ……


 こんにゃはずじゃにゃかったにゃ! 

 もっとこう、トキメキが起こるはずだったんだに!! 


「お前がいらないと言うのなら、この本は自分が借りていくが……」

「どうぞどうぞ。ニャアは手紙の参考があれば良いにゃ〜程度の気持ちだったし、よく考えたら英和辞書とか使わにゃいに」

「お前が、手紙……?」


 気持ちは分かる! 

 ニャアだってテストじゃにゃきゃ手紙とか書かにゃいさ。

 でも、そんにゃあからさまに顔に出さにゃくても良くにゃい!? 失礼しちゃうにゃ。

 この辺に好感度の低さを感じるよね……


「ソルディオ先生のテスト課題にゃんですー!! このマオちゃんの、超大作! スーパーウルトラハイパー立派にゃ文面を、耳の穴かっぽじって聞きやがれ!」


 売り言葉に買い言葉じゃにゃいけど、にゃんとにゃくナメられた気がしたから、ニャアは自分が書いた手紙を読み上げる。



『拝啓 

 すがすがしい初夏を迎え、木々の緑も日増しに深くなってまいりました。ご一同様には、なお一層お健やかにお過ごしのことと存じます。

 さて日頃は何かといたらぬ私に、いろいろとお心遣いをいただき、言葉では言い表せないほど感謝しております』



 まだ途中までしか読んでいにゃいけど、思わずといった様子で吹き出したロランを睨みつける。


「いや、悪かった。マオは堅苦しい手紙を書こうとしているんだな。そんなので大丈夫か?」

「……でも良い感じに書いたらこうにゃるにゃ」

「今マオが喋っていたのは改まった手紙の書き方だな。テストとはいえ、そんな畏まって書かなくてもいいのではないか?」

「そうかにゃ?」


 でも、たしかに授業では『お元気ですか。私は元気です。今度遊びに行きませんか』って習っていたにゃ……

 続きは心神喪失して分からにゃいけども。


「だろう? マオは今迷走してるぞ。自分が教えてやろうか?」

「え? ロランは試験勉強しにゃくていいのかに?」

「|Auf einen Hieb fällt kein Baum. 《何事も一挙には成らない》自分は普段から予習復習をきちんとしているからな。こんな直前に慌てたりはせん」

「流石風紀委員だに、生徒の手本だにゃ!」


 日頃からコツコツやってそうだとは思っていたけれど、直前に慌てにゃい姿は意外とかっこよく見えた。

 次からはニャアもコツコツ頑張ってみようかにゃ? 


 とりあえず今回は、ロラン先輩にご教授願おう。


「それならばまず、誰宛に書くかを決めた方が良い。ただ漠然と書くから迷走するんだ」

「たしかにそうだにゃ!」


 どうやらニャアは定型文を繋げるのに必死で、肝心にゃことを忘れていたみたい! 

 パッと思い浮かぶのは、三つの選択肢。

 両親と、ソルディオ先生。そして友達のエルラル……っと見せかけて、あえてのロラン先輩。まったく書ける内容とかにゃいんだけどね!


「ニャアが手紙を書くのは──」



①両親

②ソルディオ先生

③ロラン先輩

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