(3)

「こちら『ルチア』。まずは、パワーローダーを何とかする」

『こちら『スーちゃん』。可能なら、熱や炎を当てるんじゃなくて、パワーローダーの腕や頭の中に熱を発生させてくれ』

了解Affirm

 ボンっ‼ ボンっ‼

 2機のパワーローダーの右腕から破裂音。あたしが発生させた熱によって、中の空気が膨張した音だ。

 パワーローダーは両方共、自分の腕を見る。そして、動かしてみようとしているようだが……。

 ボンっ‼ ボンっ‼

 続いて、頭から破裂音。

 パワーローダー達は、とまどったような動きをする。しかし、『スーちゃん』が言っていた『AIによる補正』のお蔭か、転んで倒れるような事は無く、やがて、ゆっくりと地面に膝を付き、そして、動きを止めた。

「こちら『ルチア』。パワーローダーをやっつけたのと同じ方法で、ロボット達を何とかする。ちょっと、ロボットから離れて」

『「ハヌマン」了解』

『「早太郎」了解』

 「ハヌマン」さんは物凄いスピードで走って、今村君はロボット達を力づくで投げ飛ばして、ロボット達と距離を取る。

「『スーちゃん』。どこを狙ったら、一番効率が良いか判る?」

『あのタイプのロボットは、制御用コンピュータは胸、遠隔操作用のアンテナは頭だ。その2箇所が急所だ。腹に有るバッテリーに、熱を加えると爆発の危険が有る。熱量は電子機器を壊す程度で十分だ』

了解Affirm

『こちら「ファットマン」。そろそろ、こっちのトラックが、港に到着します』

 ロボット達は、瞬時に粗大ゴミと化した。

 今村君は、2機のパワーローダーの背中の「ランドセル」を抉じ開けた。

 海の方から異変を察知して「漁船に偽装した輸送船」の乗員らしいのが、拳銃を手に駆け付けたが……「おっちゃん」と「ハヌマン」さんの手で数分後には1人残らず死体と化していた。

 そして、子供達を「輸送」していたトラックのコンテナが開き……。

 遠隔操縦されたトラック3台が到着。

『言うまでもねぇが……最後まで油断すんなよ』

 「おっちゃん」の声。

 全くその通りで……これで話が終っていれば、絵に描いたようなハッピーエンドだったんだけど……。

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