(2)

「ええっと、まず……必要なモノはLANケーブル……と有線LANの口が有るPC」

 荒木田さんは、メッセージアプリMaeveに送られてきた手順を読み上げていた。

「ケーブルは、あたしんから持って来る」

「PCは僕のを使って」

「次に、すまん……こっから先が良く意味が判んないんだが、PCにはSSH2対応のSSHコマンドか、SSH2対応のリモート・ログオン・クライアントとSFTP2対応の……」

「両方とも僕のPCに入ってる」

「おい、何で、小学生のPCにそんなのが入ってる?」

 勇気がツッコミを入れる。うん、あたしも、それ思った。

「プログラミングが趣味なんで……」

「で、強化服パードスーツの制御コンピュータのLANの設定と、メンテナンス用ユーザーのユーザーIDとパスワードは判ってるか? って事だけど……」

「取説に書いて有った初期設定デフォルトのままの筈」

「続いて、充電だけど……電動車EV用の電気スタンドが有ったら、そっちを使えだとさ。家庭用だと、良くて充電出来ない。そこそこ悪い場合でブレーカーが落ちる。最悪は配線ごと焼き切れる、だって……」

「ちょっと待って……。充電出来そうな場所に心当りは有るけど……これ……どうやって下に運べばいいの? 何十㎏も有るよね?」

「ここに運んだ時は……分解して何回かに分けて……」

「専用の充電器が有れば、バッテリーだけ取り外せとさ。あと、充電率は……バッテリーが古くなってる事を考えても……一〇%で十分だとさ」

「あ……確か、そんなのが有った」

「でも、一〇%って、それだけで……」

「『まずは、動かせそうかだけ確認する。話はそれからだ』だってさ」

「ところで……あいつ……どこに電話して、何話してるんだ? レナさぁ……オマエ、第2外国語は中国語取ってたよなぁ?」

 勇気がヒゥ君を指差して言った。

「うん、何となく判る」

「何て言ってる?」

「言ってる事は良く判んないけど、広東語だって事は判る……」

「おいッ‼」

「いや、だって、学校で習ってる『中国語』は『北京語』だよ」

「親に……今日の騷ぎで……2〜3日帰れないって、連絡しといた」

「おい」

「待て」

「ちょっと……」

 荒木田さん、勇気、あたしは同時にツッコミを入れる。

「でも、正義くんを助けに行くんなら……必要でしょ……『椅子の人』が」

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