mechanics ①

■パラディン(ガリア共和国軍)

主な搭乗者:ベルナール・ロラン上級軍曹


《機体解説》

ガリア陸軍の正式採用FPA。第6世代FPAを改設計した第6.5世代とも言えるFPAであり、幾つかのバリエーションも存在する。ここではそれらについても併せて記述する。


本作の主役機で、外装意匠としては日本人が想うフレンチなデザインの西洋騎士のヨロイ。

(──一般に日本人の美的感覚から言うと、フランスの兵器のデザインは〝淡白〟か〝兇悪〟かの両極端になり勝ちで、だいたいが決してカッコいいとは思わないのだけれど……。w)

敢えて言えば、『ファイブスター物語』の旧設定におけるMH〝破烈の人形〟的なのをイメージしたい(実際のフレンチにそんなのはまずないけど……)。それに長い重機関銃を抱えさせてみた。


ベルニの機体は、市街戦を想定し装甲が追加装備されたAZUR仕様で、これは所属の第13機甲竜騎兵落下傘連隊が情報収集を主眼とする特殊部隊であり、単独行動が想定されるから。

これにより若干運動性は低下しているが、近年増加している〝強個体種〟の強力な一撃にも耐えたという事例が多く、結果として生存性が向上していると考えられる。



《武装》

§オチキス13ミリ重機関銃§

全長が本体の肩口にまで届こうかという〝長物〟。炸裂弾を運用することができ、竜の固い鱗に対して急所への直撃でなくとも威力を発揮する。

モデルはオチキス社製M1929 13.2 mm機関銃。


本家『桜吹雪に鋼鉄の楔』では〝夜汰鴉〟が20ミリという〝大砲〟を振り回してたのだけれど、さすがにでかいな、と考えちょっとオタクなスペックにデチューンを考えた末、後述の〝グレムリン〟の7.7ミリより大口径で見た目スマートに重そうということでコレに決定。


ちなみにこちらの世界では『合衆国』は成立しなかったようなので、伝説のブローニングM2重機関銃は存在しない。そのため、こいつと.50"/62ヴィッカース機関銃がこのクラス──フィフティーキャリバー──の代名詞となった模様。



§25ミリ携行砲§

FPA用の〝大型拳銃〟といった位置付けの単発・中折れ式の大口径砲。小型軽量で取り回しに優れるため白兵戦時に有効だが、砲身が短く反動も強いため至近以外で命中させることはまず不可能。

イメージモデルは『パンプキン・シザーズ』の13ミリ対戦車拳銃「ドア・ノッカー」で、FPAサイズを考えた時にオチキス25mm対戦車砲の砲身を切り詰めてみた、という塩梅。

予備の弾薬はFPAの右手首の袖口に装弾ベルトを巻いて携行している。


本家『桜吹雪に鋼鉄の楔』では、主人公 駿河鋼也 が〝パイルバンカー〟を使いこなしていたので、よっしゃベルニも主人公っぽいもの持たせちゃる!と採用したのがコレ。w



§増加装甲§

AZUR仕様の各機の左腕に追加装備された市街戦用の増加装甲。いわゆる小型の盾。火器を持たない竜との戦いを想定している第7世代機にはない装備。第6世代機の名残り。



《派生型》

§パラディンROME/AZUR§

ベルニの機体をシェルブール基地で現地改修した型。ROMEは『Retrofit Of Movement Element』の略。

主な改修点は老朽化していた全身の人工筋繊維のイングレスのものへの換装で、それに附随して電子機器もガリア製のものからイングレス製のものへと乗せ換えられている。

運動性は飛躍的に向上しており、全くついて行けなかったイングレス製〝グレムリン〟の戦闘機動にも何とか追従することが可能となった。

またイングレス製のデータリンクに換装されたことにより、空子標定機ロケーターの情報を共有することが可能となっている。

ただし〝骨格フレーム〟と〝装甲〟には一切手が入れられておらず、第7世代の運動性能の獲得には至っていない。その替わりに第6世代の堅牢さは残している。


改修設計を担当したポネット曹長によれば、現地改修機とはいえ間違いなく現ガリアで最強の第6~6.5世代機とのこと。



<メイキングこぼれ話>

本家『桜吹雪に鋼鉄の楔』で登場したFPAは〝夜汰鴉〟と〝月読〟の2機種だけ(しかもほぼ同一機種)で、先ずはどうFPAを差別化するかを考えました。

20ミリという大口径砲を携行する高い運動性の機体。それって〝ゼロ戦〟のイメージだよね。

欧州でフランスだと何になるんだ?から始まり、結局、WW2の仏軍戦闘機はイメージできなかったので戦車を当たり、現代のルクレールのAZUR仕様の語感にやられた挙句、先に〝グレムリン〟のイメージを固めて、それと対比させて重厚な動きで〝長物〟を振り回す騎士のイメージをまとめ……。


結果はこんな感じになりましたが、いまから思えば、かなり技術的に後れてる感じが……。(汗)

やはり支援機が好きなんですよ。(苦笑)





■グレムリン(イングレス連合王国軍)

主な搭乗者:ロジャー、グレース他、〝子供達ハーフリング


《機体解説》

イングレス王国の対竜戦に特化した新型FPAの開発・取得及び運用等の確立までを包括する統合整備計画、通称、『H計画』──〝ハーフリング小さい人計画〟──に基づいて開発された第7世代FPA。


本作のもう一方の主役機。

グレースら〝子供達ハーフリング〟の専用機として開発され、彼らの所属する〝第3《実験》コマンド〟が、その実証試験部隊となっている。

通常の機体に比して一回り以上小型──成人男性は到底装着できないサイズ──ながら出力は同等以上。重量出力比パワーウェイトレシオに優れる。

搭載されている電子機器も実験段階の機材を含めた最新のもので、全てが通常の王国軍の仕様に当たらないという、もはやワンオフ機に近い機体である。


外見は『ファイブスター物語』の旧設定におけるMH〝グルーン=エルダグライン〟のような感じ。



《武装》

§7.7ミリ ヴィッカース重機関銃§

イングレスの標準重機関銃をFPAの携行火器に改めたもの。……であるが〝グレムリン〟の使用する7.7ミリは特別仕様の『強装弾』を用いるため、銃身から機関部に至るまで全くの別物となっている。

モデルは英国軍の標準中量級機関銃であるヴィッカース重機関銃。


英陸軍の重機関銃は7.7ミリ小銃弾を使ったもので、それより大口径のものは米国製のブローニングM2を使ってたのを知ってちょっと悩んだ(──だって〝こっちの世界〟に米国ないもん……)。そういうこともあって〝グレムリン〟は一回り小型の機体にしたのでした。



§20ミリ狙撃銃§

FPA用の長銃身ボルトアクション式狙撃銃。人間のサイズでいえば対物ライフルで、元々は対戦車ライフルである。

主にグレースが使用。銃身の下に一脚(モノポッド)を装着することができ、長期に渡る作戦では予備銃身を複数本携帯する。

モデルは ダネル NTW-20。



§短剣ダガー§

FPAの近接戦闘専用武装。その名の通りFPA用の短剣。

実は刃の表層は高振動粒子で形成されており、エルフ族やその近縁の種の〝異能〟に反応し、接触する物質を分子レベルで分離させることで切断する。つまりヒトでは使えない……。(ということは。。。)



§ナパーム手榴弾§

FPAサイズの手榴弾。焼夷剤としてナパームを使用しており、極めて高温で燃焼し広範囲を焼尽・破壊する。



<メイキングこぼれ話>

こちらの方は本家『桜吹雪に鋼鉄の楔』の〝夜汰鴉〟と比べても遜色のない仕様ではありますが、普通の人間には扱えない機体として創造しました。

全体的に小振りなのは、やはりヒロインを始めとする少女が搭乗するイメージがあったから、かな?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る