第2話

ーーーー死神さんがメッセージに気付いた頃とほぼ同時刻。

 日本のとある場所にて。


「はぁ……」


 爽やかな朝から大きなため息を吐く少女がいた。

 彼女の名前は、桜 花憐。


 アニメから出てきたような名前に負けず劣らず、高スペックだ。

 成績は常に学年トップ、運動神経も抜群で、容姿端麗。

 花も恥じらう乙女、とはいうが、彼女の場合はこの世の女性全員が恥じらいそうだ。

 実家もお金持ちで、人当たりもいい。文句なしの100点満点の存在だ。


 そんな本人以外から見たら何不自由しなさそうな人生でも、花憐にとっては確かに精神への毒だった。



 たいくつ。




 それが、1人きりになったときの口癖だった。


 何でも出来て、何不自由ない人生よりも少し不自由がある人生の方が楽しいのかもしれない。退屈じゃないのかもしれない。そんなことをいつも思っていた。


 一度だけ、この思いを友達に話してみたら、嫌味と思われたらしく、嫌われてしまったらしい。 

 ただ、それほどのことで崩れてしまうような脆い関係なのだろう、と深くは考えなかった。


 花憐は、常に客観的に見ている、少し冷めた部分があった。


 そんな性格も相まってか、花憐はもう何でもあって退屈だから死にたい、と思うようになった。


 そんな時に、クラスメイトがこそこそと噂をしている内容をたまたま耳にした。


『なんか、最近自殺したい人が相談するサイトがあるらしいよ』『えー、なんか怖いし不気味だね……』『でもそのおかげで自殺する人が減ったとか』『そのサイトの名前、死神さんへの愚痴吐き所。っていうらしいよ』『死神って、名前の時点でダメじゃーん』……という感じの会話だった。


 クラスメイトたちは不気味がっていたが、花憐にとってその噂とサイトは光の塊のようだった。

 最近は自殺でもしてみようか、とも考えていたのでちょうどいいとも思ったのだ。


「今日の夜にでも覗いてみようかな……たいくつじゃ、なくなるかな」


 と独り言を呟き、家に帰宅する準備を始めた。

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