灰帯剥理

孤独を剥いで

私の呪いを穿いて

貴方だけが良い

貴方だけで良い

他に雑音は何もいらない

貴方だけいたら

もう私、怯えなくて済むから


臆病な虎になれたら

傲慢な蝿になれたら

人生は完成出来ただろう

幸福を手にしただろう

けれど砂の中に落ちる

深く沈んでゆく

そんな夢を見る肉塊に成り果てた


孤独を剥いで

私の疾病しっぺいを砕いて

貴方だけが要る

貴方だけの居る

静寂の世界を創る

貴方だけいたら

その貴方は、今どこにいる


錆びついた太陽があれば

極彩色の月が光れば

白鳥は羽を喪う

ふくろうは声帯を忘れる

けれど単色の影が差す星では

生命は意味を為さない

全て機能的運命ドラマティック

全て帰納的延命オートマティック


孤独を剥いで

孤独を射殺いころして

孤独を焼き尽くして

私を殺して

私を絶やして

貴方だけで良い

貴方だけが良い

貴方だけが要る

貴方だけの居る

素敵な世界を下さい

そこが天国であれ地獄であれ、

もう何物も恐れずに済む

胎内に還る至福を授けて下さい

貴方に逢いたい

貴方の存在を感じたい

頸動脈の奥に潜むと言うなら、

いつだって刃は肌を裂くから

私を

私を

私を

私を独りにして

私を独りにしないで

孤独を剥いで

孤独を塗り潰して


この静かな夜に継ぐ

どうか朝を殺して。

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