フェイル8 赤坂哲司

  その頃、東京都庁の知事室にて2人の男女が話し合いをしていた。


「赤坂知事、明日の日程ですが午前8時に静岡に向かってもらいます。今後の予定は、その書類に記されているので、お読みください」

「分かった」

「それでは、失礼します」


 秘書と思われる女がこの部屋を退出すると、背を伸ばし、リラックスしスマホのタイマーをセットし仮眠を取ろうとすると、ドアのノック音が鳴る。


「誰だ?」

「SPの者です。阿修羅会の吉井が来ておりますが」

「通せ」


 SPがドアを開け、怯えている吉井がデスクに座っている赤坂の前に立つ。


「ご用件は、何でしょう?」

「お前にとって大事な話でチャンスだ。お前、フェイルグループは分かるよな?」

「はい。最近、龍神会のお膝元である千楽町の中心、トリニティタワーに日本本社を構えた企業ですよね?」

「そこでな、香川雅也が接触してきたらしい」

「どうしてですか?」

「それは、復讐の為だよ。俺と香川の話は、以前したよな?」

「はい、しました。で? なんで、フェイルグループなんかを?」


 その時、またドアのノックが鳴る。


「入れ」

「失礼するぞ」


 そこに入ってきたのは、警察のトップと思われる赤坂との同年代の男だった。


「あの、この人は?」

「警視総監の神田だ。安心しろ。この人はお前の味方だ」

「はぁ」

「で? フェイルグループについて分かったことあるか?」

「あぁ、これは面白い情報が入ったぞ。CSMOシスモの志村からの情報でな、奴らは、フェイル薔薇騎士団ということが分かった」

「なんですか? そのフェイル薔薇騎士団とは?」

「新たな時代を進める為に動いている秘密結社だ。世界をコントロールし、一部の有力者を操る超巨大組織」

「で? 神田。そいつらが来た理由が分かっているのか?」


 すると、神田は机の上にイギリスの記事の一部分を置いた。


「バーク鉄鋼の事故ですか?」

「表向きには契約関係だが、実際には傘下の企業。家宅捜索していくつかの書類は押収したが、あまりの数の少なさに不審なところが残されている。その後、日本に来日。普通なら家族揃って対応するはず。なのに、姉妹ら揃って来日とは不自然すぎる」

「確かにな。おまけにセレスとライラは頭の良い女だ。そんなミスをするはずが無い。で? 結論としては、どうだ?」

「証拠を隠す為に、会社を設立して入れたと考えている」

「要するに、証拠隠滅ならぬか。ふざけた真似を」

「あくまで推測だ。これからは、彼らと協力して捜査するつもりでいる。まだまだ、分からないところもあるからな」

「分かった」


 赤坂は立ち上がり窓の外の景色を見ていると、神田がある集団について話す。


「龍神会が、を呼ぶらしい。あの組織よりも脅威だと」

「はぁ……騙したくせに、良くそんな要請が出来るな。瀬山は、気づかれてないと思っているようだが、気づかれているのを知らないからな。で? 返答は?」

「まだ、返事を待っているようだ。新たな組織のリーダーを務めているので、返答には、まだだが?」


 その時、赤坂が吉井に小さな紙きれを渡される。そこには、4人の電話番号とある場所が書かれていた。


「これは? 何でしょう?」

の電話番号と良く来る場所だ。そこで、お前の仕事だ。そいつらと手を組み、フェイルグループと龍神会を撤退させるのだ」

「大丈夫なんですか? そんなに、頼りに出来るのですか?」

「安心しろ。こいつらは、とても強いし力もある。あとは、指示通りにすればいい」

「でも、龍神会は?」

「あいつらの味方にならないよ。なにせ、知ってるくせに面白がって遊ばせたからな」

「はい? どういう?」

「お前が、知る必要が無い。とりあえず、の指示。それから、俺の指示も従え。余計なことを考えるな。明後日、連絡しろ。下がれ」

「ひぃ! 失礼します」


 吉井は、怯えながらこの部屋を立ち去ると、神田は一服をした。


「ホントにあげるのか? 千楽町を?」

「あげる訳無いだろう。あいつは、の道具だ。必要無くなったら、始末する。円海街も危ういからな。奴が死ねば、あいつらの物。そして、フェイルと龍神会を撤退させれば、千楽町もあいつらの物」

「そして、ヤクザを撲滅したとして、支持率は完璧になるという寸法か。一石二鳥だな」

「まぁな。まずは、フェイルと香川のプライド潰す段階を作るか」


 赤坂は、誰かに電話を掛けた。


「赤坂だ」

『なんだい?』

「明後日、吉井がそちらに電話を掛ける。その時、容赦なく冷たい対応してくれ」

『阿修羅会の会長か? あの機嫌取りの? 分かった』

「そこで、たっぷりとこき使い。始末してくれ」

『もちろんだ。おまけに、僕と彼ののお返し出来るからね』

「で? 今、何してる?」

事をしているよ? 4人で』

「これは、お楽しみのところを邪魔したな。失礼するよ」


 赤坂は、電話を切った。


ですか?」

「あぁ、あの取引以来から仲良くなっているからな」

「そうか」

「すまんが、退出してくれ。あんまりいると、余計な疑いが出る」

「分かった」


 神田は、礼をして部屋を退出すると、赤坂は再びスマホのタイマーをセットし、椅子に座り仮眠を取った。

 しかし、その通路に紫のツインテールと瞳をした美女が聞いているのを知らずに。







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