フェイル7 制裁

 シェリーとシング達が到着したその頃、店内では今村一家が騎士団員達を問い詰めていた。

 他のキャストと客達は、怯えながら様子を見ていた。


「おい! お前らの正体は、分かっいるんだ! おとなしく、白状しろ!」

「さて? 何のことだが分かりません。確かに、フェイルグループの傘下の店で、我々は、その社員ですが、正真正銘のカタギです」

「お前! 殺すぞ!」

「どうしたの? 喧嘩しているみたいけど?」

「シング常務秘書! それに、シェリー常務! お疲れ様です!」


 騎士団員達は、2人に頭を下げて挨拶するが、今村一家は、2人を睨んでいた。


「聞いてください! シェリー常務! こいつら、押しかけて来て、「お前ら、犯罪組織だろ?」とか言われて、困っているんです」

「あらら? それは、困ったわね?」


 すると、今村一家の中の1人が、シェリーとシングの目の前に偉そうな態度で現れた。2人は、余裕の表情で彼も見ていた。


「あんたらが、シェリーとシングだな?」

「君は誰?」

「失礼しました。俺は、龍神会若頭の松岡組内今村一家総長、今村と申します」

「君が今村君ね?」


 シェリーの返事に今村は舌打ちして、今回の要件を話した。


「フェイルグループの偉いさんが、来てくれたら、話が早いですな。短刀直入に言います。今すぐ、この町から撤退してください」

「理由は何なの? それを聞き次第、検討するけど?」

「それは、助かります! シング。説明するわ」


 今村が言った理由は、こうだ。この千楽町は、代々戦後から龍神会が日本の経済を支える為に、日本政府や警察に特定の条件つきで契約締結し、裏から日本復興を支えた。

 また、土地柄の関係で交通の面も良く、様々なジャンルのシノギにしやすい店が構えて、裏から多額の収入を得られ、龍神会のゴールドラッシュだけではなく、住人達の安全、そして経済の安定に繋がるということだ。

 それなのに、最近では燕尾服の連中がうろうろしているうえに、そのエリアではフェイルグループが事業をしていること。幹部会で、燕尾服の件も含めて3つの不自然さことから、巨大な犯罪組織じゃないかという疑惑が出ているのだ。

 このことから、今のうちに争いはしたくないから、撤退してほしいだそうだ。


「ふーん」

「ここは、我が龍神会のお膝元のうえに、日本の経済を裏から支えています。もし、あんたら千楽町のことを知らない外国の企業が占拠したら、経済が崩れるだけではなく、俺らや住人たちの生活が不安定になるんです。お願いします。この町から1ヵ月以内に、この町から消えてもらいますか?」


 今村は、2人に深々とお辞儀をした。しかし、当然だがシェリーの返事は?


「今村君、それは無理だよ。だって、私らの企業に任せたほうが、日本の経済が安定するよ? それに、海外組織が沢山いるでしょ?」


 シェリーの返事にイラついた今村は、舌打ちしたあと、シェリーとシングの見下した表情を見ながら冷静な表情で反論した。


「シェリー。それは、無駄な争いをしたくないうえに、睨みを利かせているのです。シェリー、我々は争いすれば、経済のバランスが崩れるだけではない。阿修羅会に侵入される隙をが出来てしまうのです」

「そんなこと言われても、断るけどな? それに、燕尾服の連中とは関係ないし? 裏の3にいわれてもなぁ?」

「うんうん! 確かにその通りです! シェリー様!」


 今村は、このふざけた態度に激怒して怒鳴り声を上げた!


3だと!? お前! やはり、そうだな!?」

「シェリー様は、そんなことを言ってないけどな? 馬鹿じゃないの?」

「この野郎! 上等だぁ! 表に出ろぉ!」

「いいよ! それから、君らは手を出さないでくれる?」

「はい」


 シェリーとシングは、今村一家と共に、人気の少ない裏路地に向かった。2人に付き添った騎士団員達は、見守っていた。


「おい、お前ら! このよそ者に礼儀を教えやれ!」

「「「はい!」」」

「やりますか? シェリー様」

「そうね、シング君」


 シェリーは、二刀。シングは、細剣を取り出し戦闘態勢になり、今村一家を刺激することになった。


「死ねぇ!」


 組員がシングを刺そうとするが、回避され、他の組員もシェリーを狙うが、足元をすくわれ、転倒してしまう。

 

「この野郎! ぶっ殺す!」

「遅いって!」


 シングは、左ストレートパンチを出してくる組員を余裕をかわし、その腕を斬った。組員は、悲鳴を上げて倒れた。


「アハハ! 面白い!」

「このくそアマ! 殺してやる!」


 今村は、銃弾をシェリーに向けて発砲するが、二刀で塞がれ、脅威のスピードで、今村の胸元を斬った。

 

「親父!」

「このアマとガキ! ……カタギじゃねぇ!」


 組員に傷口を抑えられている今村の姿を見て、2人は余裕の見下した表情で見ていた。


「あれ? 想定外だな? 今の私とシング君の力は、10パーセントだよ?」

「なんだと!?」

「でも、君は運が良いね? こんな手加減してくれたのは無いからね? もし、100パーセントなら、君たち……死んじゃうよ?」


 シェリーは、二刀を顔の前でクロスして不気味な笑いをして馬鹿にした。


「なんだと?」

「それに? 私達に勝とうなんて、無理だよ? だって、を出す必要も無いしね?」

「そうですね! シェリー様! この町は、を出さなくても、仕事出来るしね!」

「何を言っている?」


 その時、千楽署の警察官達が駆け付けた。どうやら、住民の通報があったのだろう。この千楽署と龍神会とは、賄賂関係で基本的に何かあれば龍神会を助けてくれる味方の存在なのだ。この状況なら、シェリー達は逮捕される。

 それなのに、シェリーとシングと騎士団員達は、何故か平然としていた。


「助かった! お巡りさん! こいつらを!」

「今井一家だな? 銃刀法で逮捕する!」

「なんでだ? 離せ!」

「連行しろ!」


 今井一家らものとも逮捕され千楽署に連行されることに。シェリーは、警察官の1人に話しかける。


「君、ありがとうね。警察の鑑だよ」

「シェリー様、とりあえず龍神会には、上手く説明しますが、争いを起こすのは勘弁してください」

「それは、どうかな? もしかしたら、争いが激化するかもよ?」


 警察官は、ため息をついて今井たちを千楽署に連行するため、パトカーに乗せて出発した。


「さぁ! シング君! 君たち! 帰るよ!」

「「はい!」」

「シェリー様! シング執事長! ありがとうございます!」


 キャバクラの店員をしていた騎士団員達は、感謝の言葉を述べるとシェリーとシングは、笑顔で返し、付き添いの騎士団員達を連れて、トリニティタワーに帰っていた。

 

 



 

 

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