徒花[秋]
野に埋む
髑髏に咲いた
恋の花
他人を喰らいし
曼珠沙華の香
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曼珠沙華、死人花…。彼岸花には沢山の別名がありますね。大体怖い名前なのが酷い。まぁ、下手に食べたら死ぬ植物ですしね。めちゃくちゃ身近なのに毒草…。そんな花です。
ところで私は彼岸花好きかと聞かれたら「別に…」と答えます。概念としては好きですが、物質として好きかと聞かれたら別に好きでは無いんですよね。一面の花畑だったら圧巻ですが、一輪だと物悲しい印象の方が強いので。でも、そんな一面の彼岸花怖いですね。どう足掻いてもアレな感想…。
なので、彼岸花を題材にするととにかく暗いというか寂しいものになります。この歌も死んでるので。誰かはサッパリ分かりませんが、死んでいるのは確定ですので。もう一段目と二段目だけで死体遺棄が露呈してしまいました。最悪殺してる!ってキャッキャしてしまいます。あ、私はミステリー大好きなのでなんであれ作中で人が死んでいると心がピョンピョンします。違った、ワクワクします。(何れにせよ最低である)
しかもアレです。三段目までくると思い人を殺している可能性が…。楽しい。楽しいぞぉ…。ミステリーの香りがすると本当にニコニコしてしまいます。
ところで私は彼岸花が咲いているイメージがある場所って畦道なんですよね。田んぼの周りに真っ赤な花が咲いている印象が強いです。なので野原的な場所に咲いているイメージはあまり無いですね。せいぜい彼岸がそれに近いくらいです。
だから何となくこの彼岸花は目立つイメージで書いています。墓標に近いですね。
続きの文ですが「桜の木の下には死体が埋まっている」の亜種ですね。植物は栄養のある土壌を好むので死体の近くならよく育つ可能性も…。そんな訳で植物と死体は(私の感覚では)近しい関係にあります。
ここで人では無く他人という表記であるのは、彼岸花が喰らったのは決して自分では無いと強調したかったからです。勿論、埋めたのも花を見ているのもこの歌の時点人物です。故に、埋められた髑髏はその人物では無いのは明白です。それでも強調したのは、最後の彼岸花の印象を強めたかったからです。
具体的に言えばこの彼岸花はこの歌の視点人物とニアイコールくらいに感じ取って欲しかったからです。
即ち「埋めた死体の上に咲いた彼岸花はまるで私のようである」という歌です。まあ、うん、無理だな。なので「死体の上に咲いた彼岸花とは恐ろしい」と感じてもらえる歌になっているなら満足です。
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