サンタクロースが訪れなかった家[冬]

絵本一冊

 サンタクロースの残滓

夢に沈めし

 吾子の亡骸


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Q.そんなに吾子を殺して楽しいですか?

A.楽しいです。(最低)命が失われた瞬間が一番命が輝く瞬間であるケースはままあると思っているので。


 冗談はここまでにして、歌の説明をします。小さい子のクリスマスプレゼントって無難に絵本を選びがちじゃないですか?私は本大好きなので全く問題無かったんですけど、別の物欲しい子も沢山いるのでないでしょうか。でも大人には分からないので無難に絵本を与えてしまうのです。私みたいに。

 手元に一冊の絵本。これは本来クリスマスプレゼントとして贈る為に用意していた品であるはずです。吾子へのプレゼントなのでクリスマス後も親の手元にあっても問題ないのですが、ここでは一つの絶望アイテムとして機能してもらいます。(地獄の発想)

 死んでしまった我が子に贈るはずだったプレゼントって地獄味が強くありませんか?(地獄味は多分、熱いし辛いし苦い)捨てるのも忍びないですが、あれば子供の事を思い出して辛い代物…。中々の地獄アイテムですね。

 本当は自分達がサンタクロースになって喜ばせるつもりだったのですが贈れなかったのか、それともこれが最後のプレゼントになってしまったのか。続く文は「サンタクロースの残滓」となります。残滓という言葉から「サンタクロースは訪れた」と見るべきか「サンタクロースになるはずだったが、なれずに打ち捨てられた」と見るべきかは断定出来ません。作者としては「サンタクロースは来なかった」という前提で作っていますが、どちらでも地獄であるという事は変わらないかなと思っています。

 後半はかなり概念的な内容となり、はっきりしない話です。私は夢の事を潜在意識や無意識、心の奥底にある物などによって形成された自分の内部世界の一部(表層)に近い物だと思っているので、この「夢に沈める」というのは沈めた物の事を、表面上は忘れたように見えるという状況ですね。忘れられないものを忘れようとして、踠いている感じがあればいいと思います。伝われ。

 死体の呼び方は色々ありますが、普通に使われる中では「亡骸」は丁寧な方の言葉ではないでしょうか。少なくとも死骸や死体よりは丁寧な印象を受けます。何となく、ちゃんと弔われるようなイメージがあります。つまりはこの亡骸を沈めるという行為は全体的に葬式のようなものとして考えています。多分、一般的にも死は地下や水底に繋がる感覚があるでしょう。

 個人的には楽しいはずのクリスマスの雰囲気を悲しい方向へ持って行けたのは良かったと思っています。

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