第20話 あとがき

と、いうわけで終わりです。


この「黄金のオラクル」のシリーズを書き始めようと思った時に、結構早い段階からラシスとアレックスが(わたしの頭の中で)会話をはじめていました。まったく異なったシリーズの登場人物が我が事のように自然と物語を創っていくという不思議な現象になりました。(この物語以降、彼らが生きて出会うことはもうないのですが…)


「ラグズ」の段階ではまだラシスの人物像ははっきり決まっていなかったのでした。この「エイワズ」を書き上げたあたりに固まったという感じです。


どのお話もそうなのですが、テーマソングがあります。その当時、非常にハマっていて、マントラのように聴き続けた曲。それを聴きながら、作品世界に何度も行き来しながら、文章を起こしていく作業をしていた記憶があります。この「エイワズ」の時には平井堅氏「Ring」がそれに当たります。聴きながら、泣きながら書いた小説です。


後々の伏線をすべての箇所に入れ、シリーズ終結までには回収しようと思っています。そんな思いがラシスとアレックスの会話、1つ1つに含まれているんです。どう回収されるかは、お楽しみに!


そろそろ自分が歳なので、「黄金のオラクル」シリーズ全25話を書き上げてから死にたいなと思い。「MANNAZマンナズ」を書こうと決心した瞬間でもありました。その瞬間まで、どうぞお付き合いください。


以下は、16年前に書いていたあとがきです。↓


なんだか取り憑かれたように、書きまくってしまいました。アレックスが話していると止まらなくて。こう、ようやく昔のように書けるようになってきたなぁと思いました。もう頭の中に浮かぶシーンをとにかく文章で描写する!!とにかく書く!いつも夜中に書いているので、半分トランス状態で、自動書記していたかも知れません。


今まで、誰が主役かわからない状態だったと思います。臣人が表の主人公で、バーンが裏主人公と思う方もいたでしょう?だって主人公が喋らないんだもん!!「エイワズ」見て、バーンが主人公だったと再認識してください。もしかしたら、前の話を読み返している人がいるかも。この「エイワズ」がシリーズの半分、つまり折り返し地点です。彼の「……」に隠された無言の言葉をまた読み返すのも、おもしろいかも知れません。


ようやくラティの人物像もはっきりしました。ところどころ、しろがねさんが書いてくれたのですが、やっぱりバーンとは対極の存在です。考え方が前向き、ポジティブ人間、行動派な女性です。バーンとまるっきり逆。だからこそひかれあう二人。お互いが自分の「半身」なのです。バーンの右眼の捉え方で、それははっきり出ました。(二面性、対極性、二元性etc. )この二人のこれからも、早く書きたい気もするのですが、ちょっと我慢しようかな・・・と思います。それを書き始めると、例のバーンとラティの出会いから別れの話になるわけです。それがでてくるのは最終章の一歩前ですので、楽しみにねー。(一体、何ページになるのか見当もつかない)


*ここに来て、私のまわりに不思議なことが。実はいくつか起きています。旧設定なんか何にも考えずに適当に作っていたものだったのですが、新設定で見るとピッタリ符合しているとか。その符号が後々の話まで使えるものすごく重要な設定だったり・・・。(恐ろしいまでに一致している!!)資料で欲しい本がいくつかあるのですが、ネット検索で調べても載っていないのに、すぐ近くの本屋にあったとか。(まるで何かに導かれるように。)しかもその本の時間の流れが、ちょうどその本を手にした時期と同じとか。困っていると必ず第三者のヘルプがタイミング良くはいるとか。いろいろ。そういえば、「エイワズ」を書いている途中に煮詰まってもう言葉も出ず、あきらめて「フェイフュー」を書いていました。夜、何の気なしにルーンを引いていました。その時に引いたルーンが「イサ」で、停滞、停止を表すルーンでした。「書かない方がよい」とでたので、しばらく我慢して書かないでいました。それから一週間後に、またルーンを引くと、今度は「ブランクルーン」が出ました。(初めて引きました、これ。)未知を表すルーンです。始まりであり終わりである。完全なる信頼を表すルーンです。出た途端に、「エイワズ」が流れるように文章になっていった。ってこともありました。一日に20ページも書けたときがあり、驚きました。(ルーンって不思議)


「エイワズ」の意味は、防御、避ける力、イチイの木という意味です。「新しい人生の始まりに生じてくる困難をあらわす。」または「今は待つときである。」事を知らせるルーンでもあります。防御ということを重点に置いて、ラティとアレックスを対話させていました。ふたりとも、とりもなおさず、バーンを護る力なのですから。それとラティ自身の防御という点から、あの銀の十字架のネックレスが今後の鍵になります。あの話だけではそうは見えないのですが、魔術的にかなりの力を持つアイテムです。彼女の命を防御するという意図もありますが。最終的には、ラティの死後、バーンの手に渡ることになります。が、それに導かれるように父親と母親の研究テーマやそれに今回アレックスが疑問に思っていた両親の死因、そしてバーンの師匠となる魔術師との出会い、修行をするヨーロッパ編(「テイワズ」)へとつながっていきます。まあ、本編からいったら番外編的要素が強いですけど。(全部の話がどこかで必ずリンクしてるぅ~!?)えへへ。まだ書けないのが残念。臣人も出てくるし。(ちょっとひねくれていた頃の臣人がね~。)


バーンは「殉教者」ではないか?という話もあります。が、わたしはそんな書き方をしているつもりは毛頭ないです。そういう生き方をせざるを得なかったのであって、自己犠牲で自分の信仰心を証明しようとしているわけではないです。では、あんな状況下でなぜ「死」を選ばなかったのか?というと、あの時点ではまだ母の影響もあって、敬虔なクリスチャンです。「神」を信じていました。「自殺」はどの宗教においても、もっとも忌むべきことです。(なんだかんだ言っても、お母さん子なのでした。)でも、ラティの死で、彼の中にわずかにあった「信仰」も死んでしまうことになります。自分を救ってくれない「神」なら必要ないと。


自分の右眼が『魅了眼』である事は「エイワズ」の本編中では、まだわかりません。それが証されるのは、「TEIWAZ」(=ヨーロッパ編)の時になります。自分のことが少しずつ明らかになっていく中で、疑問も生まれてきます。ラティが自分に好意を寄せていたのは、もしかしたら『魅了眼』のせいではないかと。高校3年生の時点では、使おうと思って自分の力が使えるレベルではないのですが、自分の意志と関係なく発動する不思議な力に困惑を隠しきれないのもまた事実です。ラティは、「エイワズ」本編でそれを否定していました。が、そんなの当のバーンにはわかるわけがないので、さらに悩みます!!悩んで悩んで、自分の想いが本当に彼女の想いと重なるまで、この旅は続くのです。


ラティと関わっていくうちに彼に甦ってくる感情。それは、プラスの感情。「うれしい」という気持ちです。でも、それを素直に認められない自分も存在します。「もしかしたら、彼女も『死の翼』に触れてしまうのではないか!?」というマイナスの感情。このせめぎ合いが、常に彼の中では起こっています。どちらを優先しても苦しいことには違いない。けれど…その答えは、いずれ彼自身に出してもらいましょう。



最後までお付き合いくださってどうもありがとう!

ご感想をいただけるとうれしいです!


あなたにルーンの加護がありますように。


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