第7話 インテルとサムスンの時代

 高性能なRISC型CPUに手を焼いていたインテルであったが、ついに性能で追いつく日がやってきた。


 Pentium4で採用したネットバーストというテクノロジーによって、駆動クロック周波数の大幅な向上が可能になったからだ。


 強力なインテルの開発力に対抗できるのは、ただひとつ、デジタルイクイップメントだけであったが、CPU以外の分野でのビジネスが不調で、投資勝負では追いつかれるのが目に見えていた。ついに、デジタルイクイップメントは新たなCPUの開発をキャンセルし、事実上、最速CPUはインテル製となった(デジタルイクイップメントの最終製品、Alpha 21264はそれでも発表時点で最速だった)。


 また、サムスンは及び腰な日本勢に対して、巨額な投資で圧倒し、さらに開発力も向上させて、ついには日本のメモリメーカーは負けを認めだした。


 そのほかのコンピュータ部品についても、各社の寡占化が進行しはじめた。IBMは自社でのPC生産をあきらめ、事業を中国のレノボに売却した。グラフィックスでは、NVIDIAとATIが独占状態となった。


 これが一斉に起きたのが2000年代初めである。


 すでに2010年には、ほぼ日本の半導体は負け状態に陥っており、勝負できるのは東芝メモリのフラッシュ、エルピーダメモリくらいになってしまった。


 現在では、すでにエルピーダメモリは破綻し、大規模な半導体生産は東芝メモリの後継会社である「キオクシア」だけになっている。


 また、様々なスマホチップは設計だけをするメーカーが増え、製造は主に台湾で実施されている。


 移り変わりの激しい世界で、競争も厳しかったが、そろそろとこの分野も収束の方向に向かっている。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る