第59話 さようならあなた

本当に死んでしまうなんて。

玄関で倒れて、凍死だなんてね。

確かにあなたはクズだった。

仕事をしない、

朝からお酒を飲む、

子どもにも私にも暴力をふるう。

外面だけは良い、

金もないのに浮気はする。

最低のクズ男だったのに、

最後だけはかっこよかった。

玄関で倒れてそれっきり、だなんて。

みんな私が殺したって疑った。

殺したい、死ねば良いと、

何十年間願ってきたけど、

殺すことなんて出来ない。

そんな器量があれば、

もっとあなたを幸せに、

良い男に、

してやれたかもね。

ごめんね、あなたもクズならあたしもさげまんで。

さようなら、あなた。

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