第43話 二十年ぶりの美菜

確かに素晴らしかった。

でも、俺の心の中には、割り切れないものが残る。


あの時から今日までの間に、美菜に何があったのか。

誰が美菜にこれほどの経験を授けたのか。


それを考えると取り返せない時間の長さと、重さを思うのだった。


「私はもう、十七歳じゃないのよ」


美菜は笑うが、俺の中にはいつまでも子どものままのあいつがいるのだ。

少女だった美菜にはまるで欲望などというものはなく、

ただ、恐ろしさと、

好奇心とでいっぱいになっている、

完璧なまでに清潔な花だった。

 

しかし目の前にいる女は、

飢えも豊穣も知りぬいた、

巧みな動物だった。


思い出すだけで、頭がおかしくなりそうだ。

また会える?

美菜は聞いた。

俺は、もう、会わない・・・。


十七歳の美菜のまま、思い出を・・・。

あいつを・・・。


ラインが鳴った。

俺は、とりつかれたようになって、シャワーを浴びた。

あいつにまた、会いに行く。



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