第16話 デート前日
翌朝、図書室に足を運び
「おはようございます、柳木さん」
「おはよう」
本棚にある本を取ってから、テーブルの椅子に座ると
「私がお貸しした本はもう読んでくれましたか?」
「全部読んだよ」
「よかったら感想を聞かせてもらませんか?」
「うん」
手元にある彼女が貸した本を彼女に渡して、本の話をすると
「あの、明日は予定空いていますか?」
「ちょうど明日は予定があって…」
「そうですか、残念です」
彼女が手元にある本を机の上に置くと
「柳木さんは、体育祭でやる種目は決めたんですか?」
「まだ決めていないけど」
「何か得意な種目とかはありますか?」
「そう言われると、特にはなかったような」
「私からの提案なんですが、借り物競走に参加してみてはどうでしょう?」
「借り物競走?」
「はい、借り物競走は封筒の中に入っている紙に記入されてある品物を借りてゴールする競技です。ちなみに、この競技の実行委員なので参加してくれるとうれしいです」
「一応、考えておくよ」
午前の授業が終わって、昼放課に二人で初めて食堂に行くときのこと。
ここの食堂はかなり広々とし、たくさんのテーブルや椅子がある。お昼は大半の生徒がよく足を運ぶ。
普段は、家から弁当を持ってきて教室で食事をするのだが、珍しく国光君が弁当を忘れてしまったため、ここに来ることになった。そしてカウンターのところまで歩き
「俺は日替わり定食で」
「はいよ」
注目した品が来ると、二人はお盆を持って空いている席まで運ぶ。
「中学の頃とはだいぶ違うな」
「そうだね」
そして、二人は椅子に座り、昼食を取る。
「柳木は明日の予定は空いているか?」
「ごめん、明日は予定があって…」
「ほう、柳木がそう言い出すのは珍しいな……でどこに出かけるつもりなんだ?」
「遊園地に」
「一人でか?」
「ううん、その、二人で行くつもりだよ」
「そうか、つまりお前はとうとう俺から卒業していくんだな」
「そういうわけではないけど…」
「冗談だ、せっかくの遊園地だから二人で楽しんでこい」
二人は、食事をしながら会話を交わし、食べ終えた頃には席を立ち、お盆を返却口に返す。
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