終章

 球形の小部屋のロックが音を立てて外れ、大きなハッチが上に向かって跳ね上がる。すると中から、スーツ姿のリョーが現れた。それをル・アが出迎えた。


「用事は済んだのか」

「ああ」


 リョーはスーツを乱暴に脱ぎすて、着慣れた戦闘服に着替えた。借り物のスーツなので、遠慮が無かった。


「上手くいったのか」

「当然だろ。ジェイがよこしたこのホログラム偵察装置。すげぇよ。触覚まで再現して」


 関心しきりのリョーだったが、ル・アの反応は薄かった。表向きは興味がないようだ。


「――ジェイより、任務の通達が来ている。ブリーフィングルームに来い」

「おう」


 リョーは太陽系へ戻ることを許されなかった。しかしその経験と、『事象がゆっくりに見える』体質からくる戦闘能力を買われ、ル・アの部隊に居候することになったのだ。


 日々条約監視局から送られてくる任務をこなし、地球人による異文明への不法な干渉を防ぐ。それがリョーの新しい仕事だった。


 今日もリョーは星を巡る。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

STASIS<ステイシス> 日向 しゃむろっく @H_Shamrock

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ