三 示唆

 ◇

 茉莉花は留め具のついた茶革のブックカバーに、すっかり日焼けをして古ぼけた本を嵌め込み、ひもと)くのを好んだ。古本の甘いにおいが馥郁ふくいくと立った。平生の彼女ならここで本の背に割り込むような勢いで顔をうずめ、深呼吸をし始めるところであった。だが今時彼女は、教室の中にあった。既にほとんどの学生は登校していた。それ故に小さく鼻腔を通すことで我慢するしかできなかった。下唇を小さく噛んだ。すると、己の唇が酷く乾燥しているのを知った。ささくれ立った薄皮が硬くなっていて、反対の唇を刺したのだ。ポーチから棒状のリップクリームを取り出した。ひとつ百円ぽっきりの安物であった。それはもうひとまわり高いものよりも硬質な感じがするからと、口端にあてがって体温に溶かし、それから上下の口唇へ薄く塗布して、ぴったりと合わせのばした。そんな時だった、不意に撥ねるような頭痛に苛まれた。

「おはよう! 茉莉花ちゃん!」

その原因は、大層嬉しそうに掛けられた声だった。それは頬を緩め、鼻の下までもが垂れ下がった阿呆面を晒している男のものであった。平袖の白カットソーを被り、黒スキニーの丈は踝の覗くぐらいで、真っ白なローカットのスニーカーは傷ひとつなかった。栗毛色の髪はその下の薄い顔立ちにはやや眩しかった。左の耳朶には小ぶりのフープピアスが銀色に瞬いていた。首には鈍い金メッキのリングの通ったネックレスが下がっていた。

「……おはよう、阿久津くん。なにか用かな。土木科は隣のクラスでの授業じゃなかった、あと五分くらいで始まるよ」

「いやあ、そんなことより。今日こそは、デートしてくれるのかなあと思ってな」

「……しないよ、いい加減面倒だって、何度言えばわかるのさ」

「まあ、まあ、そう言わずに。欲しいものがあったらなんでも奢る、行きたい場所があればどこへでも行くぜ」

「それ、ぼく必要なのかな……」

「野暮なこと聞くなあ。勿論、必要に決まってる。おれは茉莉花ちゃんとデートしたいんだ。おれは惚れた女の子とデートするなら、そこに金を惜しむことなんてちっともないっ」

 阿久津は得意げに、その鍛えられた大胸筋を、とん、と叩いてみせた。世間的に言ってみれば、彼はそれなりに『良い男』なのである。ただその言動と行き過ぎた努力とが負の作用を起こしているのである。またモノで釣るという彼の間の抜けた作戦は、阿久津の彼女へのアプローチの最終形態でもあった。

「このやり取りも、もう七度目だよ。いい加減わからないかなあ」

「八度目だ。いつか折れてくれねえかなあってさ」

「折れないよ……」

 茉莉花がそうして彼の誘いを断った回数をまたひとつ更新しようとした時であった。再び彼女の蟀谷は揺れた。頭の中を、一縷の針に突き刺されたような痛みが走った。


「おはよう、一年生たち! このクラスに香月茉莉花さんは居るかな!」


 そう騒々しく教室に乗り込んできたのは、風貌からして四、五年の背の高い男だった。もみあげを両方とも刈り上げ、前髪を全て上げていた。眉は角度がついていて、目力があった。黒無地のスタジアム・ジャンパーの下には、白のバンドカラーシャツが第一ボタンまでつけられていた。黒いスキニージーンズに筋張った脚を通し、赤基調の白のラインの入ったスニーカーを履いていた。

 入口付近で喋っていた女学生らが、茉莉花を指さした。ありがとう、男はそう微笑んで、手を軽く上げてから、こちらに目配せをしてきた。茉莉花はそれとなく目を合わせて、頷いて見せた。

 また彼は脇に女をふたり侍らせていた。彼女らは彼よりもやや幼く見えた。男の左方には、色素の薄い黒髪を後ろでひとつに束ねた、背の低い女が。右方には赤褐色の髪を胸の高さにまですとんとおろした、背のすんなりした女が居た。

「やあ、茉莉花さん、久しぶりだね! 一週間ぶりかな。やはり、流石の美しさだ」

「……突然なにかな、専攻科一年の五反田祐希くん。それと、この学校の男たちは気持ちの悪いことを交えないと挨拶ができないの」

「演劇への勧誘と、まあ、社交辞令だよ」

「当人が気持ち悪いと思う社交辞令に意味があると思ってるの」

「ははは、すまないね。――時間がないから割愛させてもらうよ。いやあ、前は確か俺だけで君に声を掛けたんだっけ、言った通り、もう一度勧誘しに来たよ。でさ、前にも言ったように、紹介してくれたのはこの娘たちで、君から見て右のポニーテールの女子が二年の梨本真琴で、左のロングヘアの女子が一年の――」

「はあい! あたし、あたし、御堂朱莉! マリちゃん、誘いに来たよう! さあ、一緒に演劇やろ! オトモダチのよしみでさ!」

梨本はタートルネックの灰色のニットを、ウエストリボンのついた山吹色のガウチョパンツに軽く入れて、ブラウジングをつくり、裾から出ている足もとを黒で統一していた。

御堂は黒のワイドパンツを穿き、深紅のロングワンピースを纏い、同色の腰紐を括って、袖を二回ほど折り込み、素足には小さなベルトのついた黒いオペラパンプスが通されていた。紅の草花結びの耳飾りは絶えず揺れていた。

彼らの週刊誌じみた服選びを前に、茉莉花の装いは酷く質素であった。また茉莉花は、彼らが極度の頑固者だと思った、己を棚に上げていることはさておき。

「だからさあ、やらないってば、演劇なんて」

「俺からも頼むよ! 学祭の学科対抗演劇に参加してくれないか! 前言った通り、女子の主役だけ決まってないんだ!」

「やらないってば!」

 あまりのしつこさに、茉莉花は怒鳴った。今にも彼女の犬歯が伸びて、五反田の喉笛に、咬みついてしまいそうな勢いであった。五反田はそれをてのひらで制しながら、

「ええ、どうしてだい。そんな即答だなんて」

 眉尻を下げて、笑みながらそう問うた。それは傍目には嘲るようにも見えた、学生間でのいじめを目撃した瞬間の、教師のような顔であった。

「興味がないんだ。それにぼくには徒労にしか思えない」

「――ええ、茉莉花ちゃんがやったら、きっと舞台が映えると思うけどなあ」

「横やりを入れないでもらえるかな、阿久津くん」

 うっす……。阿久津は消え入りそうな声を押し出し、縮こまって、事の成り行きを眺めようとしたその間際に、授業開始一分前の鐘が鳴った。単調に鐘を打つのを模したデジタル・ベルであった。

「もう一限が始まるか……茉莉花さん、とりあえず今日の放課後に五年教室へ来てくれないかな? 実際に演劇の練習をしているところを見て欲しいんだ」

 てのひらを合わせて、懸命に、顔を顰めて深々と頭を下げる五反田だったが、それが茉莉花を動かすということは微塵もなかった。

「ごめんね、放課後は用事が入っているんだ」


「ああ――それは俺が頭を下げればなくなる用事かな」


「……はい?」

 五反田は喜色満面に溢れていた。茉莉花の動きが止まった。

 ……なにを言っているんだこの人は。もし「祖父の三回忌が……」とか言ったら、「じゃあ遺族に頭を下げれば今日の放課後時間をつくってもらえるかな!」などと微笑むのではないかと、茉莉花は心底恐ろしかった。

 茉莉花は阿久津を指さして、

「この人に訊いて。ぼくは放課後、彼とデートがあるんだ」

 阿久津は、はえっ、と間抜けな声を漏らして、唖然としていた。

「そうか。――時に幸太郎くん、放課後に茉莉花さんを借りてもいいかな」

「絶対駄目っすね」

 そうか。と五反田は軽く唇を噛んだ。そして項垂れた。ここは悲しむところなのだろうか、仮にもこの男は、真剣に頭を下げれば物事が自分の望む方向に進むとでも思っているのだろうか。と、茉莉花には、五反田祐希という人間が産まれ落ちてから微々たる苦悩も味わったことがないように思えた。

「じゃあ明日……明日来てくれないかな!」

「しつこいね……きっと行ったところで散々に言って終わりだよ。それでもいいの?」

「それでもいい! ――じゃあ来てくれるんだねありがとう!」

 そして五反田ら一行は足早に教室を出て行った。

 よし、これで上手く突き返すことができた! 茉莉花はほくそ笑んだ。

――しかしふと我に返って。


「……あれ、なんでぼくは明日五年教室に行くことになってるんだろう」



 ◇

 体育教師が「ぅうん、娘が体調を崩したみたいだからぁ、七、八限の授業休講ね!」とひとことに帰ってしまったから、二時半にはもう下校ができた。しかし茉莉花は阿久津との予定があると公言してしまった手前、直帰することは阻まれ、教室内の喧噪と、姿の見えない阿久津とに痛くなる頭を押さえてやることしかできなかった。

 秒針は酷く遅く進んでいるというのに、ふと携帯に目を逸らしてから再び目をやると、いつの間にか十分ほども進んでしまっていた。

 すると、くぐもった噪音を切り開くように、件の男は突っ走ってきた。

「すまん! 演劇のことでちょっと先輩とごたごたして遅くなっちまった」

 阿久津は大して悪びれもせずに、てのひらを合わせながらウインクをした。せめて笑うのやめなよ。茉莉花はそう思いながらに、冷ややかに睨みつけてから、「いいよ、気にしてない」とだけ言い放って先を行ってしまった。

 阿久津は急いで彼女を追い越すと、手ごねをしながら、「お詫びになにかプレゼントさせてくれ」と嬉しそうに言ってきた。それは傍から見ていて、欲しいものが判然としない茉莉花に対して拒否権を与えないという彼の作戦にもみえた。

 しかし茉莉花は、

「いいよ。特に欲しいものなんて無いし」

「いやいやいや、無いって……。財布だったり、アクセサリだったりってほら、色々あるだろ」

「興味がないね。お洒落なんて自意識が高くないときるものじゃないんだよ。ぼくはそんなお金があるならもっと建設的なことに使うよ」

「へえ、例えば」

「学習参考書」

「……はあ、さいですか」

「なにか文句でもはっ倒したいことでもあったかな」

「いやなにも。――よっし、じゃあ参考書をプレゼントしよう!」

「なにが楽しくてそんなことするの」

「いやあ、自分がプレゼントしたものが、好きな人に使われてたら嬉しいだろ」

「重くない? 彼氏じゃないんだからさあ」

「これをもって、彼氏に昇格してくれるなら大歓迎だ」

「いや、オートマティックテラーマシンになら昇格させてあげるよ」

「なにそれ」

「ATM」

「まあ、茉莉花ちゃんのだったら永久保証付きでなってもいいけど」

「ええ……やっぱり帰っていいかな」

「すまん、わかった。歩行機能も付ける!」

「要らないよ! ……ほら、行くんでしょ」

「おう! じゃあ、最初は本屋行って、どっか喫茶店入ろう!」

「はいはい御意御意」


 ◇

 駅に隣接されたビルの二階に本屋はあった。茉莉花は早々に学習参考書売り場に向かってしまった。「これも茉莉花ちゃんの魅力だけどなあ」彼はニヤリと笑んだ。傍から見て、たいそう気味が悪かった。阿久津は半ば呆れるようにしてついていった。キャラメル色のジャケットのベントが小さくめくれ上がって、静かに降りた。

「そういえば茉莉花ちゃんはどの科目の参考書買うんだ」

 すると彼女は一寸の迷いもなく、

「は、化学に決まってるじゃん」

 と蔑むように、それが至極当然とでも言うものだから、流石の彼でも笑みに不自然さを隠せなかった。

「そうか、茉莉花ちゃんは化学が好きだもんな。文系科目だと威嚇するような目つきで黒板見るけど、理系科目だとちょっと嬉しそうだし、とりわけ化学だとうっとりまでしてるしな」

「うん……まあね。その、小さい頃からやってきたから、なんか、つい手に取っちゃうんだよね」

 茉莉花は途端寂しげな視線を参考書に落としていた。本当に好きなのだろうか。阿久津は訝しむことをやめられなかった。

「本屋に来て、咄嗟に手に取るのが化学の参考書って、やっぱり変かなあ」

 阿久津はそんなか弱さの欠片を珍しく見せてきた茉莉花を励まそうと、急いで言葉を取り繕おうとして、しかし上手く紡げずに、つくり笑いを讃えて、「そんなことない!」とだけ口にした。

「そっか、ありがと」

 そう口では素っ気なく返した茉莉花は、しかし平生の玲瓏な面持ちを柔らかに綻ばせていた。


 ◇

 駅構内ではちらほら普通高校の学生も見られ、ちょうど阿久津の入ろうと目論んでいた喫茶店では、小暗い中、彼らがトッピングてんこ盛りの飲み物にスマホを向けまくっていた。

 喫茶店は有名チェーン店で、軽快な洋楽が心もとなく流れていた。否、それは中央のテーブル席を、八人ほどで取り囲んでいる女学生らの姦しさにやられたものなのかもしれなかった。後はそれに負けじと喧しく喋っている婦人らや、両耳をワイヤレスイヤフォンで塞いで細やかにリズムに乗りながらラップトップパソコンを弄る社会人が見られた。

「……ぼく、こういうの初めてなんだけど」

「いいよ、おれが買ってくる。なにがいい」

 茉莉花は手前の女学生のもつ、抹茶のフラペチーノを所望した。阿久津は頷くと、直ぐに列に並んだ。「どこか席をとっておいてくれ」と。

 茉莉花は、がら空きのカウンター席の極端に座面の高い椅子に腰掛けて、足先の木籠にトートバッグと、軽く折り畳んだコートとを落とすようにして置いた。ひとりにひとつずつ灯が落ちていた。そこを通った埃は些々たる煌めきを放った。薄黒い硝子張りには己の顔が照らし出され、そこに構内が透けて見えた。カウンターに頬杖をついて、そこを見る目は固定されたカメラのようであった。制服を着た若い男女は手を取り合って微笑み合い、子は親の腕の中で泣き喚き、サラリーマンらは難し気な顔つきで話し合い、杖を曳く老夫婦の所在のない片手はそれぞれポケットと手の甲にあった。彼らは皆、流れていった。また、それらを彼女が追うことはなかった。ひとつ瞼を強く落として、阿久津の注文を見守ることにした。ようやく順番の巡ってきた彼は、


「……エクストラチョコレートシロップトリプルチョコレート抹茶クリームフラペチーノをふたつ。ああ、チョコレートチップは半分だけ砕いて、蓋無しでクリーム多めでお願いします」


 茉莉花はなにを言っているのか理解できなかった、呪文かと思った。またそれに一切と動じず、「かしこまりました」と笑う店員も大概だと思った。


 阿久津は頼んでいた飲み物をトレーに乗せて持ってきた。カウンターにそれを置いて、彼も腰を下ろした。彼の足もしばらく宙を彷徨い、やがて脚を組んで安定した。気前よくドーナツをふたつに割って、半分寄越してきた。よかったら、と。

 茉莉花は会釈してそれをつまんだ。油っ気も、砂糖の甘さ感じさせない非常に淡泊なものだった。また肝心の飲み物は、抹茶のフラペチーノの上に大量のホイップクリームが乗せられ、そこにチョコレートソースとチョコチップが鏤められていた。

「……ん、美味しいね、これ」

「ああ、おれのおすすめ」

 嬉しそうに太いストローでドリンクを啜っている茉莉花を見据えて、阿久津はふとその手元に目がいった。

「いやあ、ねえ……それ手放したらどう」

「なにが」

 阿久津は茉莉花の持つ、先程ほど書店で買ってあげたばかりの参考書を指さした。

「まあ、喜んでくれたのなら嬉しいけどさ」

「べ、別に。早く読まないと、情報が劣化してしまうかもしれないからね、化学というのは日々進展するものだから……」

 そう言って、参考書に落とした目は、幼子のようにもみえるのだった。


 ◇

 阿久津の携帯に一件のメールが届いた。彼はその件名を一瞥し、はあ、と大仰に息を吐いて、電源を落とした。

「いいの、返さなくて」

「いいんだ、うんざりなんだ」

 ふうん、茉莉花はそう適当に返事をして、飲み物を啜る。氷のシャリシャリとした触感と、チョコレートと抹茶の調和とに舌鼓を打っている合間に、なんども、なんども溜息が耳を打った。それにつれて彼女の眉はぴくぴくと震えていた。溜息もつられるものらしい、彼女もまた深く息を吐いて、

「……誰からなの」

「あっ、気になる?」

「ちっ」

「ああすまないって! 演劇監督からです! ……、最近さあ、演劇関連の話が絶えなくてなあ」

「ああ、ぼくもよく耳に挟むよ。化学科と土木科の勢力が凄いらしいね」

「そうそう、土木はギャグで、化学は……覚えてねえや。まあ、二大争いと言われてるもんなあ、見るのが楽しみだなあ」

「阿久津くん自体は演劇出るの」

「ああ、一応。まあ、主人公の友達ぐらいの立ち位置だが」

「ふうん、そっか」

「茉莉花ちゃんはさ、なんで出ねえの」

「聞いてたでしょ、面倒だし、メリットを感じられない」

「まあねえ、化学の演劇はとくに演劇が大好きだからやるって感じのメンツだもんなあ」

「そんなところに仮にもやる気のないやつが入ったら迷惑千万だよ」

 そんな声に、しばしふたりは口を噤んだ。そして再び茉莉花が口を開いたのは、互いにフラペチーノを飲み干して、容器に張り付いたクリームとチョコレートとを、音を立てて吸っていた頃だった。

「そういえば、前から思ってたんだ。なんで阿久津くんはぼくなんかに構うの」

「なんでって、そりゃ惚れてるからだろ」

「おかしいよ、ぼくは君に愛想なんて良くないだろうに」

 ……きっと一年生の間は学科のごちゃ混ぜになったクラスだから、阿久津くんはこうもしつこく声を掛けてくるだけなんだろう、来年にはきっともう……。

 なにをらしくもないことを考えているんだ! 茉莉花は、そう、己に目を覚ますよう、胸中で声を荒げた。

すると阿久津は、初めて彼女に冷たく笑むような真似をした。


「茉莉花ちゃん……馬鹿だなあ」


 なんだって。茉莉花は耳を疑った。

「構やしねえよ。男ってのは無鉄砲で、結構非情なもんなんだ。そこに理由なんていらん。けど、女は違うんだろ、ただの男じゃあ、ハナから一緒にできることは少ねえし。最後まで一緒に歩める男が現れるまでは、きっと身寄りのない仔犬みてえなもんなんだろ」

「なにそれ、意味がわからないよ。第一、今のご時世に、男がどうだとか女がああだとかって古いんじゃないのかな」

 しかし阿久津にそれは、聞こえていないようだった。


「――生憎とおれはそうじゃねえみたいだけどなあ」



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