第6話 換金

「ギルドのタグを発行するのに、少しお金が必要になるんだけど。ガイさんの持ってる魔石の換金から、先にしてしまいましょうか」


 ヘレンは隣の受付けカウンターの下に手を伸ばすと、そこからバケツを取り出した。


「ガイさん、この中に魔石を入れてください」


 バケツを受け取るとガイは床に座り込み、膝上の部分から下のパーツをパージした。

 バケツの上でグリーブを逆さにすると。中から大量の魔石が流れ落ちて、瞬く間にバケツを満たしていった。


「これは……ちょうど良いわサンシター。貴方この魔石を、計数機に入れて頂戴」


「了解っす!」


 サンシターがバケツを持って、カウンター裏の魔石計数機にバケツの中身を投入していく。

 続いてガイの足を片方ずつ預かって、これも中身を計数機に投入していった。


「結構、重いっすよー」





「どれも十等級の魔石ね。それでも五百個以上もあるし、旅に必要な物が色々買えるわよ」


「ホントですか?やったー!」


 両手を挙げて飛び上がって喜ぶサンテ。

 しばらくすると計数機から、銀と銅の硬貨が出てきてそれぞれのバケツに溜まっていった。


「サンテちゃんはお金の価値とか分かるかな?」


「価値ってどういう意味ですか?」


「あー、そこからかー」


 ヘレンはサンシターを帰らせてから、サンテに貨幣について教えていった。


 貨幣の価値と名は以下の通りとなっている。

 銅貨    1モーブル

 大銅貨   10モーブル

 銀貨    100モーブル

 大銀貨   1000モーブル

 金貨    10万モーブル

 大金貨   100万モーブル


※※※ ※※※ ※※※ ※※※ ※※※ ※※※


 白金貨   1億モーブル

 大白金貨  100億モーブル

 白金貨以上は主に国家予算とかに使われるので、平時は王族ですら大金貨までしか見る機会はない。


 貨幣は含有する金属量で価値が決まるのではなく。

 複数国家による協議で価値があると認められている。

 なので金銀銅の含有率は、決められている価値よりも低い。

 なので削ったり潰したりすれば逆に損をする。




 ヘレンは一般人に縁のない、大金貨より上の貨幣については説明せずに。

 これから損をしないように、金貨までの価値を教えていった。

 サンテは優秀な生徒ではなかったが、ヘレンが親身になって教えてくれるので。

 サンテはサンテなりに、真面目に覚えようと努力した。

 その甲斐あってか。

 途中休憩をはさみながらも、夕方までには一通り覚える事が出来た。


「これだけ覚える事が出来たら、まず日常生活に支障はないわね。サンテちゃん頑張ったわねー、偉いわ」


「ヘレンさんも。ずっと教えてくれて、ありがとうございました」


「はい、どういたしまして」


 言いながらヘレンは、複数の布袋をガイに渡している。


「サンテちゃんが持ってきた魔石は大体五万モーブルになったわ。登録料を引いても結構重いから、ガイさんに預けておくわね」


「はーい!ガイさん、お願いねっ!」


 サンテにサムズアップを返すガイ。


「そろそろギルドも閉める時間だし。サンテちゃん、夕食に行きましょうか」


「あっ、はい。お願いします」




 その後ギルドに閉錠したヘレンは、サンテとガイ、ラムを引き連れて町へと繰り出した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る