第6話 いじめという暗黙の了解

 私は田村冷涼。

 ある時からいじめを受けるようになった。

 容姿がきれいだとか、ツンデレ属性とか訳の分からない理由で他の女子に呼び出されては、脅しと暴行を無抵抗で受ける。


「ちょっとかわいいからって調子に乗んな!」


 そんなつまらない言葉を何回聞いただろうか。

 私はいじめをする奴らと同じ存在にはなりたくないと考えている。

 だから、こんないじめは耐えればいい。

 傍観者やいじめを受けている人なら分かるだろうか。

 いじめを受けたくない者はいじめをする加害者集団という力の意味に惑わされ、助けたいが自分の身を守るために避けていくという暗黙の了解。

『教師はあなたたちの味方です。何でも相談してください』と言う教師に限っては、アンケート調査するだけでいじめの発見が遅れる。

 いじめを受けている人の気持ちを考えない教師は、相談に乗ってしまったら次にはもっと嫌なことを仕返ししてくるかもしれないという先の恐怖の考えが浮かばないという暗黙の了解。


「私は大丈夫、まだ大丈夫耐えられる」


 自分の心を押しつぶしながらいじめにあう冷涼だったが、

 さらにいじめは発展した。




 ~真たちと屋上で弁当を食べるよりもずいぶん前の登校時間~


 私は真が来る前の時間帯に、いじめをしてくる集団に学校に来る人から死角となっているところへ呼び出された。


「あんたいじめされるのが嫌なら、命月真っていう人と付き合ってよ。

 好きでもない人と一緒とかマジ笑える」


 そんな自分がされたら嫌であろうことをさせようとしてくる。


「好きでもない人となんて……しかも知らない人だし」


 この時はまだ真と顔を合わせたことがなかったので、

 嫌だと言おうとするがそこで言葉に遮られる。


「いうこと聞かないなら、おい!体抑えとけよ!」


 すると、いじめの仲間が冷涼を体を強く抑える。


「いっだい!何するつもりなの!?」


 痛がりながらも反抗的な目で相手を見る。


「綺麗なその髪をハサミで切るのさ」


 驚くことを言われて抵抗するが、二人に抑えられていて抵抗できない。

 ハサミをちらつかせるその女子は再度命令した。


「やってくれるよね?」


 こうして、命令されたとおりに普段を装い告白しようとして失敗に終わる冷涼だったが、失敗に終わって何もないことなどありはしない事を彼女は知っていたのだった。








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