第37話 違和感

(今までずっと探してたんだよ、君をね。でも、中々見つからなくて困ってたんだ。

だから、本当に良かったと思っているんだよ?

それに、君に会えたことで確信できたこともあるからね。

やっぱり君は特別な存在だったんだって思うことができただけでも、

ここに来た甲斐はあったと思うんだよね。まぁそれはそれとして、

そろそろ目を覚まして欲しいんだけど、大丈夫そうかな?)

その言葉を最後に、目が覚めた私は、見慣れない天井に違和感を感じながらも

身体を起こすことにしたのですが、その際に何か違和感を覚えていたようで戸惑った私は、

その原因を探る為に自分の身体に目を向けた所、ある異変が起こっていることに気付いたことで、

思わず声を上げてしまった。

何故なら、そこに映っていた自分の姿が別人になっていたからだ。

そのことに驚きつつも、急いで鏡の前に向かった私は、

そこに映し出された自分の姿を確認してみたところ、

そこにいたのは、どう見ても自分自身とは思えない程に変貌を遂げた私の姿があったことで、

戸惑いを隠せないでいました。

そんな私の元に、一人の男性が訪ねて来る事になったのですが、

その人物こそが私に声を掛けてきた張本人であったようです。

その男性は、私の顔を見るなり嬉しそうな表情を浮かべてから自己紹介を始めてくれたのですが、

その名前を聞いた瞬間に、私は耳を疑ってしまいました。

何故なら、その名前というのが、私にとって忘れることのできない名前だったからです。

そんな私の気持ちを知ってか知らずか、笑顔で話しかけてくれる彼に対して、

何とか返事を返した私は、彼と話をする中で徐々に落ち着きを取り戻していくことが出来ましたが、

それと同時に、彼が私に向けてくる視線に妙なものを感じるようになっていました。

「どうかしたのかい?」

と言われてしまいましたが、自分でもよく分からない感情を抱いていることを

伝える訳にもいかず、 曖昧な返事しか出来なかった私に、彼は更に話しかけてくることになったのですが、

その言葉を聞いた瞬間、私は固まってしまったのです。

何故なら、その言葉というのが、とんでもないものだったからです。

その言葉というのは、こういうものでした。

「君が探していた答えは、ここにあるよ」

と告げた後で、一枚の封筒を取り出した彼に手渡された私は、その場で中身を確認することになりました。

その結果、中に入っていた手紙に目を通したことで、全てを知ってしまった私は、

思わず涙を流してしまったんですが、それを見た彼が、心配そうに声を掛けてきたので、

慌てて取り繕うことにしました。

その後、手紙を読み終えた私は、その答え合わせをする為に、

彼と一緒に街外れにある廃墟に向かうことにしたのですが、

その場所へ向かうまでの間、私達は無言で歩き続けていたんです。

というのも、先程の手紙の内容が、あまりにも衝撃的過ぎたせいで、

何を話していいのか分からなかったというのが大きかったと思うんですが、

それにしても、まさかあの場所を訪れることになるとは思っていませんでしたし、

ましてや、それがこんな形で実現することになるとは夢にも思っていませんでしたから、

動揺を隠しきれないまま歩いていた訳なんですが、

それでも、目的地に到着するまでの間に、少しずつ冷静さを取り戻すことが出来たので、

取り敢えず、現状を把握することから始めることにした私は、

自分が置かれた状況について考えてみることにしました。

まず最初に思いついたのは、やはり、この姿が本来の私ではないという事で、

それならば、どうしてこのような姿になったのかという疑問が浮かぶ事になるのですが、

それについて考える前に、まずはこの場所の事を詳しく知っておく必要があると思った私は、

改めて周囲を見回してみた後で、建物の様子を確かめることにしたのですが、

それは酷い有様になっていて、あちこちが崩れているだけでなく、

雑草なども伸び放題になっている上に、人の気配が全く感じられない状態だった事もあって、

余計に不気味な雰囲気を漂わせていました。

それに加え、建物の至る所に蜘蛛の巣が張られているような状態だったので、

より一層不気味さを増した感じになっていました。

そんな中、周囲を警戒しながら進んでいた私が、ふと後ろを振り返ってみると、

そこには誰もいなかったので、不安に駆られていると、

何処からか声が聞こえてくることに気づいた私は、周りを見て回った後、

声の主を探し求める事にしたのですが、暫く歩いている内に、

急に視界が開けたかと思うと、目の前に広がっていた光景を目にしたことで言葉を失ってしまうことになった。

何故なら、そこにあった景色というのが、余りにも凄惨極まりないものであり、

目を背けたくなるような惨状だったからです。

その光景を目にしただけで吐き気が込み上げてきてしまった私が、

口元を押さえながら蹲っていると、 頭上から声が聞こえてきたような気がしたので、

恐る恐る顔を上げてみると、そこには、私を見下ろしながら微笑んでいる男性の姿がありました。

その姿を見た瞬間、私は恐怖のあまり、その場から逃げ出そうとしましたが、

思うように動けなかった事で、焦っていた所で、再び声が聞こえてきました。

その声は、どうやら目の前の人物から発せられているようだということが分かったのですが、

何故か、聞き覚えがあるように感じてしまい、不思議に思っていると、

不意に名前を呼ばれたことで、我に返った私は、反射的に返事を返して

しまう事になったのですが、その直後、更なる衝撃を受けることになったのです。

何故なら、目の前にいる人物が、私に向かって話しかけてきた内容というのが、

信じられないような言葉だったからです。

その内容というのが、以下の通りになります。

まず最初に言われたのが、貴女が私の探し求めていた人ですという言葉だったのですが、

それを聞いた私は、困惑しながらも聞き返すことにしたんです。

そうすると、今度は、私が何者なのかを教えて欲しいと言われたことで、

一瞬躊躇ってしまったものの、正直に答える事にしたんです。

そうすることで、相手が喜ぶのではないかと考えた結果の行動でした。

そして、自分の正体を口にした直後、相手は嬉しそうに頷いてくれたのですが、

その様子を見ていた私は、内心でホッと胸を撫で下ろしていたんです。

ですが、それも束の間のことで、次の瞬間には、別の言葉を掛けられたことで、

一気に緊張が走ることになったのです。

何故なら、次に告げられた言葉が、あまりに衝撃的なものだったからです。

その言葉を聞いた瞬間、私は愕然とすると同時に、目の前が真っ暗になって

しまったような感覚に陥ってしまった程でした。

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