第36話 何でこんな事に

「起きたんだね、気分はどう?」

と聞かれたことで返事をすることにした私は、素直に自分の体調を答える事にした。

そうすると、 その答えを聞いた後で満足そうに微笑んだ彼が、

そっと手を伸ばしてきたので、その手を掴み取る事にした私は、

微笑みながら見つめている彼に向かって微笑み返すと、

その手を握り返しながら引き寄せていき、軽く口づけを交わすと、

嬉しそうな表情を浮かべながら抱きついて来た彼の頭を撫でながら抱きしめ返したことで、

幸福感に包まれていた私だったのだが、そこであることに気づいた事があって質問してみる事にした。

というのも、現在の状況が理解できなかったからである。

何しろ、自分が眠っていた場所が、何故かベッドの上でなく、

しかも素肌のままで寝ていたのだという事に気付いた私は、困惑しながらも周囲を見回した所、

そこには見覚えのない風景が広がっていて余計に戸惑っていたのだが、

そんな私を余所に起き上がった彼は、部屋を出て行こうとしていたのを見て慌てた私が声を掛けると、

振り返って微笑みを浮かべた後でこう答えたのである。

その言葉を聞いた私は、思わず聞き返してしまっていましたが、

それに対して頷いて返してきたのを見た後で更に問い掛けようとした瞬間、急に意識が遠くなっていきました。

それからどれくらいの時が経過したのか分からなくなってしまっている程の

時間が経過していた頃になって漸く意識を取り戻した私は、慌てて起き上がりました所、

目の前の景色が変わっていた事に気付いて驚きましたが、それ以上に驚いていることがあったのです。

それは……何と表現したら良いのでしょうか、とにかく、

信じられない程綺麗になった街並みを見て目を疑った私が、

恐る恐る立ち上がってから改めて周りを見渡すと、

何処までも続くように感じられる街並みを目の当たりにして圧倒されてしまい、

ただただ呆然と立ち尽くしているだけだった私が我に返ったところで、

取り敢えず歩いてみる事にした訳なのですが、その時に気づいたことが幾つかあったので紹介していこうと思います。

まず最初に気になったことは、この街に来てから一度も人間の姿を見ていないということで、

それに気づいた時に真っ先に思いついたのが、もしかして、

自分以外の人間が存在していないのではないだろうかという疑いでした。

ですが、それならそれで好都合だと思う事にした私は、気兼ねすることなく行動することが出来ると思い直し、

堂々と街中を歩く事にしたのは、正解だったようだと思っています。

何故なら、歩いている途中で何人もの男性とすれ違う機会があったにも拘らず、

誰からも声を掛けられなかっただけでなく、視線を向けられることすらなかったからです。

これはどういう事なのかと考えている内に一つの結論に達した私だったが、

余りにも現実離れしている出来事だと感じずにはいられなかった事で、

半信半疑のまま歩き続けていると、不意に声をかけられたような気がしたので立ち止まることにした私は、

辺りを見回してみて声の主を探すことにしました。

そうすると、視線の先にいる女性が手を振っている姿が見えた事で安心した私だったのだが、

その様子を見ていた彼女が近づいてきて話し掛けてきた事から会話を始めた結果、

どうやら彼女は私の知り合いらしいということが分かり、ホッと胸を撫で下ろしたのだが、

そこでふと疑問に思った事を尋ねてみると、予想外の返答を聞くことになった。

何故なら、彼女の話によれば、現在この国は私と彼女以外には存在しないという衝撃的な内容だったからだ。

当然の如く、それを聞いた私が激しく動揺している様子を心配した彼女に宥められてから

落ち着くまでの時間が必要だったのは言うまでもありません。

そして、少し経って落ち着いたところで、何故そのような事態に陥ったのかを説明してもらうことにした私は、

その内容を聞いていく内に驚愕の表情を隠す事が出来ずにいると、

それに気づいた様子の彼女が申し訳なさそうな表情をしながら謝罪の言葉を口にしてから、

説明を続けてくれたおかげで理解することができたので、一先ず安心することができました。

しかし、問題はこれからの事であり、 どうすれば良いのか悩んでいたのですが、

そこであることを思い出したことで一気に解決することが出来たのでした。

そう、私達以外の存在が全て消え去った原因となったものが何なのかを突き止めることが出来れば、

元に戻すことだって可能なのではないかと考えたからです。

そんな考えを抱いたことでやる気を出した私は、早速行動を開始する事にしたのですが、

その為には色々なことを知らなければならないと考え、様々な場所を巡った末に、

多くの情報を入手することに成功したことで満足していました。

特に、書物庫や図書館といった場所には豊富な知識を有する人々が集っていたお陰で、

多くのことを知ることが出来ただけではなく、実際に目にする事も出来たのですが、

残念ながら手掛かりとなりそうな物は何も見つからなかったのです。

そうして何も見つけられないまま、時間だけが過ぎて行く中で、遂に最後の頼みの綱であった、

学校を訪れて調べるしかないと考えるようになった私が、意を決して中に入る事にしたのですが、

その瞬間、何かに見られているような気がして身構えてしまった私だったのですが、

何事も無かったかのように歩き始めた途端に、先程感じていた視線が消えた事でホッとしたのも束の間、

突然目の前が暗転したかのように真っ暗になってしまった為、何が何だか分からないままに戸惑っていると、

不思議な声が聞こえてきたのでした。

(やっと見つけたよ、これで帰れる)

と言う言葉を耳にしたことで疑問を抱いた私が、一体どういう意味なのだろうかと考えた直後に、

再び聞こえてきた声がこう告げてきたことで納得することになったのです。

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