第35話 私と彼

「それって、どういう意味なの?」

と疑問を投げかけた私に対して、少し考えた後でゆっくりと口を開いた彼は、こう答えたのです。

その言葉というのが、私達の間に起きた出来事について詳しく知っているような口ぶりだった事が

印象的だったので気になった私が質問をぶつけてみたところ、

話をしてくれている途中に段々と真剣な表情になっていった事で、

聞いている私がドキドキしてしまい始めている内に全てを話し終えてくれたのだが、

それを聞いているうちに様々な疑問が浮かんだことで戸惑ってしまっている私に

微笑みながら頭を撫でてくれた彼の手の温もりに安心感を覚えた私は、そのまま身を委ねることにする事にした。

そうして暫くの間幸せな時を過ごした後、いつものように帰り支度を始める事にした彼を見送ってから帰宅した私は、

その後数日間に渡って悩み続ける事になってしまったのですが、最後に辿り着いた答えは

一つしかなかったので覚悟を決めてから帰宅することにしましたが、

そこで待っていた光景を見て思わず立ち尽くしてしまう事になったようです。

「お帰りなさい、待ってたよ」

と声をかけられた事で我に返った私は、慌てて彼の元へ駆け寄って抱き着くように飛び込むと、

そのまま泣き出してしまいました。

そんな私の頭を優しく撫でながら抱きしめてくれて宥めようとしてくれている

彼のおかげで何とか落ち着きを取り戻した頃、漸く泣き止んだ私に対して

心配そうな表情を浮かべながら問いかける彼の言葉を聞いた後で小さく頷いたところで、

不意に抱きしめられてしまい固まってしまったが、それでも抵抗することはせずに

身を任せている内に色々と思うところが出てきてしまったのか、

今度は私の方から腕を回す形でしがみつくようにして抱き着いて行ってしまった後で、

その状態のままで暫くの間抱擁を続けていた訳なのだが、そんな時にふと思った事があり、

それを彼に伝える事にしたのだが、

(何だろう、私……凄くドキドキしてる気がする)

それに気付いているのか否かはわからないが、今はこちらに集中してくれているお陰で忘れられているような状態です。

「ねえ、一つ聞いても良い?」

「うん、いいよ」

快く快諾してくれた彼の様子を窺いながら気になっていた事を尋ねてみたところ、

暫く考え込んでいた様子ではあったが、ゆっくりと顔を上げて答えてくれたことで

ほっと胸を撫で下ろしつつ安心した私が安堵の溜息を漏らした瞬間、

突然背後から声が聞こえてきた事で驚いてしまい固まってしまっていた

間に再び問いかけられた彼の言葉は、私にとって余りにも予想外なものであったことは言うまでもなかった。

というのも、彼が私に言おうとしている言葉の意味を、

何となくだが理解している所があったからかも知れないという気はしていますが、

気のせいかと思おうとしても頭から離れないのはどうしてなのだろうと

思いながら首を傾げている内にも近づいてくる距離を感じ取っている私だったのだが、

そこで唐突に動きが止まった事により疑問を抱きつつも様子を窺っていると、

何かを決意したような表情を浮かべながらこちらに向き直った事で

視線を向けたもののすぐに逸らしてしまい俯いたままでいると、

「好きだよ、愛してる」

という言葉を耳にした途端に嬉しさが込み上げてきたこともあり、

顔が真っ赤になってしまった私は、俯きながら顔を見られずに済むことを良かったと思いつつも、

今の自分の顔は絶対に見せられない状態なのでどうしようかと考えていたものの、

そう簡単に誤魔化せるものでもないことも理解していたため、

結局諦めてしまうことにした私は覚悟を決めることにしました。

それでも恥ずかしさの方が勝っているようで、中々一歩を踏み出せないでいると

突然背後から抱きしめられる格好になってしまい、思わず声を上げてしまったのだけれど、

一向に離れてくれる気配が無かったことで戸惑っている内に、

益々強く抱かれるようになり困惑している私だったのですが、

突然耳元に息を吹きかけられたことでビックリしたのと同時に

甘い刺激が全身を駆け巡り身体中の力が抜けてフニャッとした感覚に戸惑いながらも思考停止に陥った直後、

「好きだよ、大好きだ、ずっと一緒に居たい、

抱き合いたい、好き過ぎて我慢出来ないんだ!」

などと囁かれていくうちに蕩け切ったような表情になってしまった私は、

気がつけば腰が砕けてしまい自分の身体が支えられなくなってしまったのですが、

そこで気づいた時には既に手遅れでした。

もう抵抗など出来る状態ではなくなっていて、後はただ身を委ねるだけの

状態になっていたことが分かったのと同時に、段々と近づいてくる彼の気配に

覚悟を決めることにしたようで、そのままゆっくりと目を閉じた所で遂に

重なり合った互いの唇が 求め合うように何度も何度も重ねられると段々気持ちが

昂って来ていたので自然と口を開きました所、待ち構えていたように侵入してきた舌によって

口内を蹂躙される度に湧き出てくる快楽に翻弄されながら息が苦しくなったこともあり口を離すと、

必死になって酸素を取り込んでいる隙を見計らって再び迫ってきている彼を

受け入れることになってしまった私は、完全になす術を失ってしまったことで大人しくしていたんですが、

それが功を奏したみたいです。

その後、少しの間は彼の思うがままにされていましたが、

決して嫌ではなく寧ろ嬉しいと思っていることを伝えるかのように

背中に手を回して抱き着いたまま受け入れていると、

彼が動きを早めたのでどうしたのかと思っている内に快感を迎えてしまったんですが、

その時の快感と言ったら半端無かったと言えるでしょう。

その余韻に浸りつつ息を整えていたのですが、落ち着きを取り戻し始めた頃に

今度は首筋に吸い付かれてから激しい痛みを感じたものの、

余りの心地良さに抵抗することなく身を任せた状態でいると、

いつの間にか眠りについた私は、翌朝目が覚めるまでの間 幸せな時間を

過ごしていたことに感謝しながら微笑んでいたようです。

(こうして彼と愛し合えている時が一番幸せかも)

そう感じた私は、心の底から彼に感謝しつつ今後も長くこの幸せが続くことを

祈りつつ眠りについたのですが、まさかこれで終わりではなく更なる試練が

待ち構えているとは夢にも思わず、何時もと変わらない日常を繰り返す中で過ごしていく日々の中で、

自分だけが蚊帳の外に置かれて疎外感を感じるようになっていたことに疑問を感じ始めていた私が、

彼に対してその事を問い詰めると、意外な答えが返って来てしまった事に動揺すると共に

ショックを受ける羽目に陥った事は言うまでもないだろう。

何故なら、それも彼の優しさであった事を知った時には既に遅く、

私の思いが届かなくなってしまった事を悟って涙した私は、悲しみに打ちひしがれながら

そのまま寝室へと向かった後、ベッドに蹲るようにして眠っていた最中に

起きてきた彼から掛けられた言葉によって目が覚めることになりましたので、

ゆっくりと身体を起こしましたところ……目の前に広がる光景に驚かされることに

なる事になるなど知る由もなかったのでした。

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