第30話 彼と過ごす時間と大切さ

「今日は楽しかった?」

と尋ねてくる彼に笑顔で応える私だったが、内心では次はいつ会えるのだろうかと考えていたため、

悶々とした気持ちを抱いていた。

(もっと一緒にいたいな)

そう考える私は、思い切って言ってみることにした。

すると、彼は驚いたように目を見開いた後で苦笑いを浮かべていたが、

やがて真剣な表情になると、私の事を真っ直ぐに見つめながらこう言った。

「朋絵、君のことが好きだ!」

その言葉に胸が高鳴るのを感じた私は、喜びで泣き出しそうになってしまったのだが、

それでも必死に耐え抜くと、彼と同じように真っ直ぐに見つめ返し、言葉を返すことにした。

そして、ようやく想いが通じ合った私達はお互いに唇を重ね合わせて

長い口付けを交わした後、手を繋いで駅へと向かうのだった。

「ねぇ、次はいつ会えるのかな?」

私が尋ねると、彼は少し考えてから答えた。

「そうだね、明日以降なら大丈夫だと思うよ」

それを聞いた私は嬉しくなってつい微笑んでしまったが、

その時にふと思いついたことがあったので提案することにした。

「あの、今度は私から誘っても良いですか?

私がプランを組みますので!」

そう言って笑いかけると、彼もまた笑顔を見せて頷いてくれた。

翌日、待ち合わせ場所にやって来た私は、彼と一緒にテーマパークへと向かうことになったのだが、

そこで驚くべき光景を目の当たりにすることになった。

何とそこには大勢のカップル達で溢れかえっていたのである。

(うわぁ、凄い!)

驚きながらも周囲を見回していると、あるアトラクションに目を奪われた私は、

あれに乗りたいと申し出てみたところ了承してくれたため、早速乗車してみることにした。

ところがここで、予想外なことが起きてしまった。

何と私が乗るはずだったアトラクションが故障中になっていることが判明してしまったのだ。

そのことを告げると、彼は代わりのアトラクションを探すことになったのだが、

困った事に中々見つからなかったので暫く散策することとなった。

そんな時、突然雨が降ってきたせいで濡れてしまいそうになった私達だったが、

運良く近くにあった建物の中に避難することができたので、そこで休むことにした。

休憩中、不意に視線を感じて振り返ったところ、そこにはカップル達の姿があった。

(はあっ、私以外の人達ってこんな時でも普通に イチャイチャしてるんだね……)

そんな事を考えながら視線を元に戻したのだが、どうしても気になってしまう私はこっそりとそちらの方を見ると、

二人の男女が抱き合いながらキスをしていた。

それを見た私は思わず目をそらすと顔を真っ赤にして俯いたのだが、

その様子を見守っていた彼は私の肩に手を置くと、耳元で囁きかけてきたのだ。

「朋絵、こっち向いて」

言われるままに振り向くと、彼はいきなりキスをしてきた。

驚きと恥ずかしさが入り混じりながら硬直していると、

更に激しく求められたことで息もできなくなり、頭がボーッとし始めたところでようやく解放されたのだった。

その後、すっかり発情してしまった私は我慢できなくなりそうになったところ、

それを察した彼が優しくエスコートしてくれたおかげでなんとか我慢し、

無事にテーマパークを楽しむことができたのであった。

しかし、帰る途中、またしてもアクシデントが起きたのだ。

何と電車が遅延しており、到着までかなりの時間を要するということが判明したため、

私達は慌ててホームに降りたのだが、そこで待っていたのは大混雑だった。

身動きが取れなくなってしまった私達は、仕方なく他の人たちと一緒に電車を待つことになったのだが、

その間ずっと密着していたせいでドキドキしっぱなしだったこともあり、段々と変な気分になってきたのである。

「朋絵、大丈夫か?」

心配して声をかけてくる彼に私は無言で抱きつくと、そのままキスをしてきた。

初めは軽いキスだったものの、徐々に激しくなり、最終的には舌を入れる濃厚なものとなったため、

私は完全にスイッチが入ってしまい、その後はあまり記憶が無いまま帰宅することになったが、

その前にもう一度だけキスをしてもらえたことでどうにか冷静さを取り戻した後、

自分の部屋に帰り着くなり疲れ果てて眠ってしまったのだった。

目が覚めると既に朝になっていたようで窓の外には青空が広がっていた。

身支度を済ませた後で朝食を取った後に駅の改札を通り抜けていくと、その先にいたのは彼だった。

「おはよー、朋絵!」

そう言って笑顔で手を振ってくれる彼を見た瞬間、心臓の鼓動が早くなるのを感じた私は、嬉しくなって

駆け寄り抱きつくとそのままキスをしたのだった。

「ちょっと、こんなところでいきなり何をするんだよ 」

そう言う彼の顔は赤くなっており、恥ずかしそうにしている所がまた可愛かった。

朝からラッキーだと感じながら歩き出した私達だったが、

途中にあったトイレに入る事にした為、そこで一旦別れる事にしたのだ。

数分後、無事に合流することができた後、今度はどこへ行きたいかと聞かれたため考えていると、

ちょうど目に止まったものがあったのだが、それがあまりにも意外だったため驚いてしまったが、

それ以上に興奮していたこともあってすぐに決断した私は迷わず向かうことを提案したのである。

「これ、めっちゃ楽しみ!!」

私がそう言った直後、私達を乗せたゴンドラはゆっくり動き始め、段々と上に上がっていくと、頂上付近に到着した。

その瞬間、目の前に広がっていたのは絶景と呼ぶに相応しい光景であり、私達は感動してしまったのである。

その後はお互いに写真を撮ったりして楽しんだあと、さらに先へ進むことにしたのだが、

途中に他のゴンドラとすれ違う度に 何故か見られている気がして少しドキドキしてしまったのだ。

(ま、まさか、私達の関係バレたりしてないよね……?)

不安になりながらも先へ進んでいく内についに最深部まで到着し、

そこから見える景色は言葉で表せないほどの素晴らしさであり、思わず涙が出るほど感動してしまうほどであった。

その後は再び山頂付近に戻りそこで暫く景色を楽しんでいたのだが、ふと周囲を見ると私達だけが取り残されている事が分かった。

「本当に誰もいないんだ……」

そんなことを考えているうちに少しずつ意識してしまい、落ち着かなくなった私は、彼に対しこう言った。

「ちょっと、出て」

それを聞いた彼はキョトンとしていたが、 すぐに状況を察してくれたようで、

再び中に入り直した後で改めて顔を合わせることとなった。

(わぁ、間近で見ると更にカッコ良く見えるかも……)

などと内心で思いながら見惚れてしまっていると、彼が静かに唇を重ねてくれたあと、

そのままキスをしてきたので、嬉しくなった私もそれに応える事にした。

暫くの間お互いを求め合った後、ようやく落ち着いた頃にはすっかり気持ちが昂ぶっていたのだが、

ここで思わぬ事態が起きたのである。

どうやら他の観光客がゴンドラに乗り込み始めたらしいということがわかったため、

慌てて離れようとしたのだがタイミング悪く扉が閉まってしまったのだ。

その後、何とか脱出を試みるもののビクともしない上にどんどん高度が上がっていき、

遂には地上が見下ろされるような位置にまで達していた。

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