第29話 一時

「その、電気消して?」

そうお願いすると、彼は苦笑しながらも応じてくれたので安心した私は、

彼の腕に抱かれるとそのままベッドへと誘われていった。

ベッドの上に横たわった私の上に覆い被さるように跨ってきた彼に対してドキドキしていると、

ゆっくりとキスをしてきた後で優しく撫でてくれたおかげで、

次第に気持ちが昂ってきた私は無意識のうちに甘い吐息を漏らしていた。

「ほらっ、キスするよ、いいね?」

「はい、お願いします」

そう言って目を瞑ると、軽く触れる程度のキスをした後、

何度も唇を重ね合わせていくうちにどんどん激しさを増していき、

最後にはお互いに貪るような激しいディープキスを交わしているうちにすっかり出来上がってしまった私は、

我慢できなくなって彼にお願いをすることにした。

「もっとキスしてよ」

「んっ、うん、いいよ。じゃあ舌出して」

言われるままに舌を出すと、そのまま吸いつかれてしまい、

乾いた音と共に激しい刺激を受けて完全にスイッチが入った私は、

自ら求めに行くようにして激しく絡み合うようなキスをしていった。

ようやく満足した頃にはお互い唾液まみれになっていたものの、

それすら気にならないほどに興奮していた私達はお互いに抱きしめ合い、

お互いの体温を感じながら深い眠りについていくのだった。

目が覚めると既に朝になっていたようで窓の外には青空が広がっていた。

隣を見ると彼がまだ眠っている様子だったので起こさないように気をつけながらシャワールームへと向かった後、

身支度を整えて朝食を取ることにしたのだがそこで予想外の出来事が起きた。

なんと彼が起きていたのである。

それどころか着替えまで済ませていた彼に驚いてしまった私だったが、彼は落ち着いた様子でこう言った。

「おはよう、朋絵」

「おはようございます」

お互いに挨拶を交わした後で朝食を済ませた私達は、ホテルを出る前にもう一度キスをしてから外へ出た。

「ねぇ、また来ようね」

そう言って微笑みかけてくれる彼に対して、私も笑顔で返した後で、

手を握りながら駅の改札へと向かい始めた。

「ねぇ、次はどこに行く?」

そう尋ねると、彼は少し考えた後でこう答えた。

「そうだなぁ、遊園地とかどう? 楽しそうじゃない?」

それを聞いて目を輝かせた私は、すぐに賛成の意を示すと、

早速目的地を決めることにした。

(楽しみだなぁ)

そんなことを考えているうちに目的の駅に到着した私達は電車に乗り込むと、

目的地である遊園地へと向かったのだった。

到着すると真っ先に向かった先はジェットコースターだった。

待ち時間もそれほど長くなかったのですんなり乗ることが出来たのだが、

そこから降りるまでの間ずっと悲鳴を上げ続けていたせいで喉がガラガラになってしまったので飲み物を買うことにした。

自販機で買ったジュースを飲みながら歩いていると、前方に見えるアトラクションに興味を引かれた私は近づいてみたところ、

どうやらお化け屋敷のようだということが分かってしまったため躊躇してしまったが、せっかくなので挑戦してみることにした。

「よし、行こう!」

意を決して中に入ると、薄暗い通路が続いていたため少し不安になったが、

それでも少しずつ進んでいくうちに出口が見えてきたのでホッと胸を撫で下ろした。

(良かったぁ……)

と思いながら外へ出ると、そこには彼が待っていた。

「どうだった?」

そう尋ねられたので正直に答えることにした私は、怖かったけど楽しかったと答えた後で彼に抱きつき、

キスをせがんだところ優しく応えてくれたことで幸せな気分に浸ることが出来たのだった。

その後はしばらく園内を散策した後で昼食を取ることにした私達はレストランに入り、

それぞれ注文を済ませた後で料理が出てくるまでの間雑談をしていたのだが、

その時にふと気になったことがあったので尋ねてみることにした。

「そういえば、どうして私を選んでくれたの?」

そう尋ねると、彼は少し考えた後で答えてくれた。

「うーん、なんとなくかな? 直感というか、ビビッときた感じなんだよね」

それを聞いて嬉しくなった私は思わず笑顔になると、彼に抱きついた後で耳元で囁いた。

「ありがとう!」

そう言うと彼も微笑んでくれたのでとても幸せな気分になったのだった。

その後、食事を終えた私達は観覧車に乗ることにしたのだが、ここでもハプニングが起きてしまった。

というのも私がバランスを崩してしまい倒れそうになったところを彼が支えてくれたおかげで事なきを得たのだが、

その際に素肌を揉まれるという事態になってしまったのである。

「ひゃっ、ちょっと、どこ触ってるのよ!?」

慌てて抗議するも聞き入れてもらえず、結局最後まで揉まれ続ける羽目になってしまった。

(うぅ、恥ずかしかったよぉ)

そんなことを思い出しながら顔を赤くしていると、彼が声をかけてきた。

「大丈夫?」

心配そうに見つめてくる彼に笑顔で応えると、私達は再び歩き始めたのだった。

その後も様々なアトラクションを楽しんだ後、最後に観覧車に乗って夜景を

眺めることにした私達はお互いに寄り添いながら外の景色を眺めていたのだが、

そこで不意にキスをされてしまったことでスイッチが入ってしまい、

そのまま盛り上がってしまった結果ホテルに泊まることになってしまったのである。

翌朝目を覚ました私は隣で眠っている彼を見つめながら幸せな気分に浸っていたが、

いつまでもこうしているわけにもいかないので起こすことにした。

「起きてください! 朝ですよ!」

そう声をかけると彼は眠そうにしながらも目を覚ましてくれたためホッとしたのだが、

「おはよう、朋絵」

そう言って微笑みかけてくれた彼に対して、

私も笑顔で応えるとキスをした後で身支度を整え始めた。

その後、朝食を取った私達はホテルを後にすることにしたのだが、

帰り際にまたキスをされてしまったことで顔が真っ赤になってしまった私だったが、

それでも幸せを感じていたため満足していたのだった。

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