第28話 彼と過ごせる時間
「ねぇ、もっとキスして?」
そう言っておねだりしてみると、彼は一瞬驚いた様子だったが、
すぐに笑顔に戻ると、優しくキスをしてくれた。
そのことが嬉しくてつい笑みが溢れてしまった私は、彼に抱きついて甘えてしまった。
(あぁ、幸せだなぁ)
そんなことを考えていた私だったが、ふと我に返ったことで我に返ると、
慌てて離れた後で謝罪の言葉を口にした。
「ごめんなさい! つい嬉しくなってしまって」
そんな私に微笑みかけながら頭を撫でてくれた彼は、気にするなと言って許してくれた上に、
もう一度キスをしてくれたので、嬉しさのあまり舞い上がってしまった私は、勢いに任せて大胆な行動に出てしまうのだった。
(よしっ! こうなったら最後までやってやるんだから!)
心の中でそう意気込んだ私は覚悟を決めると、彼の手を引いて歩き出した。
目的地はもちろんホテルである。
最初は戸惑っていた彼も次第に乗り気になってきたようで、
最終的にはノリノリでついてきてくれるようになった。
そして、部屋に入るなりベッドに押し倒された私はそのまま彼と一夜を共にするのだった。
「あぁ、もうダメェ~」
そう叫びながら果てた私は、そのまま意識を失ってしまった。
翌朝、目を覚ました私が最初に見たものは、隣で寝ている彼の寝顔だった。
(うわぁ~、可愛い顔してるなぁ)
そんな感想を抱きながら眺めていると、彼が目を覚ましてしまったようだ。
まだ寝ぼけているらしくボーッとしている様子だったので、
私は悪戯心が芽生えてしまい、そっと顔を近づけてキスしてみた。
すると驚いた様子の彼は慌てて飛び起きてしまったが、すぐに落ち着きを取り戻すと、
今度はお返しとばかりに激しいキスをしてきた。
(うぅ、苦しいよぉ~)
窒息寸前の状態で悶えていた私だったが、それでも構わず続けようとする彼に対して
必死に抵抗しているとようやく解放されたのだが、その時にはもう息も
絶え絶えになっていたためまともに喋ることもできなかったほどだ。
「はぁ、はぁ、もう許してぇ~」
涙目になりながら懇願する私だったが、彼は許してくれなかった。
「朋絵、もっとキスするよ、いいよね?」
「はい、喜んで!」
そう言って受け入れる体勢を取った私に対して、再び唇を重ねてきた彼だったが、
今度は舌を入れようとしてきたので思わず逃げ腰になってしまったが、
すぐに捕まってしまい、そのまま絡め取られてしまった。
(うぅ、苦しいよぉ~)
そんなことを考えていたのだが、しばらくすると解放してくれたので安心したのも束の間、
今度は首筋に吸い付かれてしまい、新たな刺激を与えられたことでまたしても悶えることになった。
「ねぇ、それよりも今、夜なんだし、夜景見に行こうよ」
「そうだね、じゃあ行こうか」
そうして近くの展望台へと向かった私達だったが、
そこで見た景色はとても綺麗で、感動的ですらあった。
(わぁ、凄い!)
思わず見惚れていると、隣にいた彼が手を握ってきたため驚いてしまったが、
それ以上に嬉しかったので握り返してあげると、嬉しそうな笑顔を見せてくれたので私も嬉しくなった。
それからしばらくの間は、お互いに手を繋いだまま夜景を眺めていたのだが、
ふと視線を感じたのでそちらに目を向けると、そこにはこちらを見つめている彼の姿があった。
その視線には熱がこもっているような気がした私は、ドキドキしながら見つめ返していたのだが、
やがて我慢できなくなったのか近付いてくるとキスをされてしまった。
それも軽いものではなく濃厚なディープキスだったので驚いたが、
不思議と嫌な気持ちにはならなかったので受け入れることにした。
そして、しばらくして唇が離れる頃にはすっかり息が上がってしまっていた私を
労るように優しく撫でてくれた彼は耳元で囁いた後、
「好きだよ、朋絵」
そう言って抱きしめてくれた。
その瞬間、嬉しさのあまり泣き出してしまった私だったが、
それでも彼は優しく接してくれたおかげで落ち着くことができた私は、
彼と見つめ合うと再び唇を重ね合わせた後でホテルに戻ることになった。
「ふぅ、疲れたぁ……」
そう言いながらベッドへ倒れ込むと、隣から笑い声が聞こえてきた。
どうやら彼も疲れているようだ。
無理もないだろう、あれだけ激しく求め合ったのだから当然と言えば当然だと言える。
しかし、だからといってこのまま寝るわけにはいかないので、
身体を起こすとシャワーを浴びに行くことにした。
浴室へ入ると、まずは髪を洗うことにする。
その後は全身を隈なく綺麗にしていくのだが、その際にどうしても胸と股間だけは避けることができないので、
念入りに洗うことにした。
なぜなら、この後のことを期待してしまっている自分がいるからだ。
そのため、いつもより時間をかけて丁寧に洗っていくことにしていた。
一通り洗い終えたところでシャワーを止めると、バスタオルを手に取り、
身体に巻いて部屋へ戻ろうとしたその時、不意に後ろから声を
かけられたことで心臓が跳ね上がるほど驚いてしまった。
恐る恐る振り返ると、そこにいたのは彼だった。
まさか、見られているとは思わなかったので動揺してしまい固まってしまうが、
その間に距離を詰められてしまったことで逃げ場を失ってしまった私は、
諦めて彼に身を委ねることにした。
だが、その前に一つだけ確認しておかなければならないことがあったので、
それを聞いてみることにした。
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