第24話 愛する彼と私

(ああっ、すごい!)

戸惑いながらも夢中になっていると、やがて唇が離れた直後に

名残惜しさを感じていたところへ再度キスされてしまい、

完全に蕩けきった表情で受け入れることになってしまいました。

その後、暫くの間ベッドの上で絡み合っていた私達でしたが、

途中で疲れ切ってしまったのか眠ってしまったようでしたが、

目を覚ますと目の前に彼の顔があったので驚きました。

(あれ、これってもしかして?)

と思ったものの、すぐにそうではないことに気づいて落胆してしまうことになりました。

何故なら、彼がまだ眠っている状態だったからです。

(そっか、夢だったんだ)

そう思いながら溜息をついた私だったんですが、その直後、

不意に目を覚ました彼と目が合ってしまったため、動揺を隠せないまま挨拶を交わしました。

「おはよう、気分はどう?」

心配そうに尋ねてくる彼に、大丈夫と答えた私ですが、実は全然大丈夫ではありません。

何故なら、夢の中での出来事を思い返しているうちに、

どんどん身体が火照ってきてしまったからです。

(どうしよう、またしたくなっちゃった)

そんなことを考えていると、突然彼から抱きしめられたので驚いてしまいました。

(まさか、本当に!?)

と思っていたら案の定キスされたのです。

「んぅ、ふぁ、んむ、ちゅぱっ」

そうしているうちに舌を絡め取られてしまって、

呼吸が苦しくなるほどの激しいディープキスを交わすことになった私は、

最早抵抗する気力すら残っておらず、ただ黙って身を委ねることしかできなかったんです。

そうして暫くの間続けられた長い口づけが終わった頃には、

すっかり骨抜きにされてしまった私は、その場にへたり込んでしまいました。

それを見た彼が心配そうに声をかけてくれたので大丈夫だと答えるつもりだったんですけど、

口から漏れたのは吐息だけでした。

(うう、こんなはずじゃなかったのになぁ)

そんな後悔に苛まれている私を他所に、立ち上がった彼が手を差し伸べてくれたので

その手を取ったまでは良かったのですが、立ち上がろうとした瞬間、

足がふらついてバランスを崩してしまい、倒れそうになったところを

彼が抱き止めてくれたことでなんとか事なきを得たところでほっと胸を撫で下ろした直後、

今度は別の意味で心臓が高鳴り始めることになったのです。

何故なら、彼の腕に抱かれている状態でいることに気づいたからです。

しかも、ちょうど私の顔の真横に彼の顔があり、息遣いまで聞こえてくるため、

否応なく意識してしまい、緊張のあまり呼吸するのもままならなくなりつつあったその時、

不意に顔を覗き込まれたことで目が合った瞬間、思わず目を逸らしてしまった私でしたが、

その反応を見た彼がクスリと笑ったことで余計に恥ずかしくなってしまった私は

慌てて弁解しようとしましたが、うまく言葉が出てこず、あたふたするばかりでした。

「可愛いよ、愛してる」

不意に耳元で囁かれたことでビクッと身体を震わせてしまった私を見て

クスクスと笑う彼を恨めしそうに睨みつけましたが、当の本人はどこ吹く風といった様子でした。

それが悔しかった私は、どうにかしてやり返してやろうと考えを巡らせたものの、

いいアイデアが浮かぶ前に彼に先手を打たれてしまったことで逆に窮地に立たされることになってしまった。

というのも、いきなり抱きしめられてしまったせいで身動きが取れなくなってしまった上に、

彼の胸に顔を埋めるような形になっていたせいで息ができず、窒息しそうになったからだ。

(まずい、このままじゃ死んじゃう)

本気で死を覚悟した直後、ようやく解放してくれたことで助かったと思いきや、

今度は押し倒される格好になってしまい、パニック状態に陥ってしまった私は反射的に逃れようとしたものの、

上から押さえつけられているせいか身動きが取れなかったばかりか、

彼の手が伸びてきて服の中に入ってきたことでいよいよ身の危険を感じ始めてしまった。

「やめてっ!」

そう叫びながら、彼の頬に思い切り平手打ちするのです。

「痛いじゃないか、何するんだ」

そう言って抗議する彼に対して、私はこう言い放った。

「それはこっちのセリフです! あなたこそ、いったい何をするつもりだったんですか!?」

(危ないところだったわ、もう少しで貞操の危機を迎えるところだったもの)

そう思った私は、彼に怒鳴りつけた後、急いでベッドから降りて距離を取ることにした。

すると彼は、キョトンとした顔で首を傾げてこう言ったのだ。

「えっ、何って、もちろん君としようと思ってたんだけど」

その瞬間、私は絶句してしまった。

(この人は何を言ってるんだろう? 正気なのかな?)

そう思って唖然としていると、続けてこんなことを言ってきたのである。

「ほら、この前約束したでしょ?"今度二人きりになったら必ずしようね"って」

その言葉にハッとした私は、ようやく思い出したのだった。

(そうだ、確かに言われた気がする……でも、

あれは冗談だと思っていたのに……まさか本気だったなんて)

どうやら私の早とちりだったようだが、今更ながら恥ずかしくなってきた。

そして、恥ずかしさのあまり俯いてしまった私に向かって彼は言った。

「キスしような、いいか?」

「ちょっと待って、その前にシャワー浴びさせて下さい」

それを聞いた彼は、少し残念そうな顔をした後で渋々了承してくれたため、

その間に準備を済ませることにした。

(よし、今のうちに逃げよう)

そう思ってこっそり逃げ出そうとしたところ、あっさり捕まってしまいました。

「どこに行くつもりだい?」

ニヤリと笑いながら問いかけてきた彼の言葉を聞いた途端、

背筋がゾクッとするのを感じた私だったが、次の瞬間には強引に

引き寄せられて唇を奪われていたことに気づき、驚きのあまり硬直してしまった。

しばらくして解放された後も呆然としていた私に、彼は優しく微笑みながら頭を撫でながら言った。

「大丈夫だよ、怖がらなくてもいいから」

その言葉を聞いた時、不思議と安心感を覚えた私が落ち着きを取り戻すまでの間、

ずっと背中をさすってくれたおかげで少しずつ冷静さを取り戻した私は、

小さな声でお礼を言った後、改めて彼に向き直ったところで、ある提案をした。

それというのも、このままでは先に進むことができないと思ったからである。

そして、それに対して賛成してくれた彼からの後押しもあって勇気を振り絞った私は、

思い切って自分から抱きついてみることにしました。

その結果、無事に成功することに成功した私は、嬉しくて涙が出そうになるのを堪えながら

キスをしようとしたところで、不意に止められたので戸惑いました。

どうしたのかと思っていると、今度は彼からキスされました。

先程とは違ってとても優しい口づけでしたので心地良さを感じていたのですが、

次第に物足りなさを感じるようになった私は、無意識のうちに舌を伸ばして絡めようとしていました。

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