「あんたねぇ。自分がやってること分かってる? そう言うのストーカーって言うんだよ」

 恐る恐る振り返ると、有名なお嬢様学校のセーラー服――今はブレザーになったようだ――を着た桜子が腰に手を当てて、僕を見下ろしていた。

 最初のうちは我慢しようと思っていた。

 でも、無理だった。

 祖母の家に行き、桜子の同級生らしい人達にお嬢様学校に行った話や本家の噂話を聞いて、いくつかの学校を見張って、ちょっとだけ人の手伝いを受けてようやく見つけ出したのだ。

 今にして思えば自分のこととはいえ、よくあんな無茶ができたものだとしみじみ思う。

 静々と歩く桜子と揺れるポニーテールを見た時の嬉しさは今でも忘れない。

「しょうがないなぁ、もう。連絡先を教えなさい。連絡してもらうのは無理だから、こっちから連絡してあげる。でも、しょっちゅうは無理だからね」

 それから桜子は時間を作って会ってくれるようになって、僕はやっぱり揺れるポニーテールを追いかけた。

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