さあ、”アソビ” が始まる――

 誰もが心理的なパワーバランスを保つことに神経をとがらせている閉鎖社会『中学校』――

 息をひそめて平凡をよそおい、目立たないよう暮らしていた佐々木和音。彼女の学校に絶世の美少女・呉野氷花が転校してきたときから、何かが崩れ始める。級友の態度は変わり、和音は苛めの標的にされてしまう。和音の出会った氷花の兄・呉野和泉は、彼女に身を守る方法を教えるが……。

 三浦柊吾は悩んでいた。彼の友人・雨宮撫子に異変が生じているのに、彼女が想いを寄せる日比谷陽一郎が頼りないのだ。ふたりの傍には、呉野氷花の姿が。友を助けようとする柊吾に、和泉は氷花の秘密を告げる。

――恐るべき ”言霊” について。

       ◆

 選び抜かれた言葉によって、繰り返される呪詛。ヒリヒリと剃刀で削ぐような心理描写に惹きこまれます。氷花の目的は? 和泉は重ねられた怨嗟を絶つことができるのか?――この "アソビ" を終わらせるのは誰か。
 息を呑む伝奇ファンタジーです。

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