懺悔其の三十八.五 ブラザーマティアに癒されたい!

 今日はボクが午前中の懺悔室担当だよー、レナさんは午後からさー。

 本当は午前中は懺悔室やってないんだけどねー、ボクもやってみたいとシスターケイトにお願いしたら、今日の午前中だけボクが懺悔担当していいっていわれたんだよねー、えへへー。

 じゃあ、さっそく最初の懺悔の人を呼ぼう。


「迷える子羊よ中へどーぞー」


 ボクが凛々しく最初の客さんを呼ぶよ。

 すると二人組の女性が入ってきたよー、学生さんかな? 噂のギャルってやつだねー


「あっれー? ここ何なの?」

「ここ教会なんよー」

「へー、初めて来たわー」


 なんか、懺悔に来た感じじゃないかなー、とにかくお仕事するよー。おー!


「どーしましたー、ここは懺悔室だよー」

「え? 何この子? ちょー可愛くね?」

「うわー、髪ふわふわじゃね?」


 ギャル二人が何故か、ボクの髪の毛をワシャワシャといじくりまわしてくるよ。


「わわ、やめてよー」

「うひょー、何その反応かっわいー」

「シャメ撮ろう、シャメ!」

「勝手に撮ったら駄目だよー」

「やだー、かわいい反応だしー」


 勝手にボクと一緒の写真撮ってるし。


「んじゃ、また来るからー」

「じゃあねー」


 二人はボクの言うことを全く聞いてくれなくて、写真をパシャパシャと撮って満足して帰って言っちゃったよ。


「もー、髪の毛グチャグチャになっちゃったよー、プンプン!」


 さあ、気を取り直して次に行くよー。

 すると、次にくたびれた格好のおじさんが入ってきたよ。


「ここは懺悔室ですよー、懺悔ですか?相談事ですか?」


 ボクがそう言うと、おじさんは急に泣き出しちゃっよ。


「うわあああ……」

「わわ、どうしよう? 泣かれてもボク困っちゃうよー……」


 いきなり泣かれたら、ボクどうしたらいいか分からないよ……

 レナさんはこんな大変なことを、ずっと一人でやってたなんて尊敬しちゃうよ。


 少しするとおじさんは泣き止んだよ。


「一体どうしたんだよー」

「うぅ、すいません。妻と息子が家を出ていってしまってどうしていいか分からなくて……」


 大変なんだねー、応援してあげよう。


「大変だねー、頑張って!」

「は、はい。わかりました」


 おじさんは泣いて落ち着いたのか、ボクの応援に頷いて帰って行ったよ。


 よーし、そろそろお昼だよー。お昼ご飯食べたら違うお仕事が待ってるよー。

 さーて、食堂にいこうー。


 朝のお勤めおっしまーい。

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