第5話 太陽と月

次の日。

太陽は、東から昇り。月は、西へと沈んで行く。


当たり前の風景だが、

この村では、それが神秘的に感じた。


村の大人達は、あの出来事について何も覚えていなかった。


そしてイリョスという青年と、ルアという少女、ミナスという魔女の事も。

しかし。

この村では、太陽をイリョス。月をルアと呼んでいた。


それは、いつの間にか、この村で流行ったおとぎ話の内容が村に、その知識を与えたのだ。


その物語は。

永遠を望んだ二人の恋人達の物語。


太陽イリョスは、明るい世界を照らし。

ルアは、暗い世界を照らしている。


しかし、永遠にはなれたが、二人は抱きしめる事も、言葉を放つ事さえも

無くしてしまった。


お互いの世界を照らす為。

二人は、再び逢う為に、お互いを追いかけているが、未だに逢えず仕舞い。

しかし。ある時間に、二人は顔を合わせては、お互いの存在を確かめあい

再びお互いの世界を照らし出す。 


そして再び二人は、再び逢う為に、お互いを探し「此処にいるよ」と

世界を照らし続ける。


そして再び二人は、再び逢う為に、お互いを探し照らされた世界を

違う光で照らし続ける。


二人が生きた世界は、とてつもなく残酷な世界でも、自分達の出会えた世界を

二人は照らし続ける。



それは、2人の恋人の魔法によって

失った物が生まれ、生まれた者が無くなった 

ある世界のある小さな魔法が栄えた村の物語。

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焦がれ、隠恋坊 ウキイヨ @ukiyo112

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