第4話 儀式

《儀式まで、あと2日》


早速、魔女の元に大人達が、報告に来る。


「申し訳ございません!イリョスが・・・姿を消しました!」

「・・・ッ!? そんなはずは!わらわの呪縛から逃れれるはずがないだろ!!」

「申し訳ございません!そして一緒にメーゼも。」

「姉上? 何処までわらわの邪魔をすれば気が済むの!」


捕まったルアが、そのやりとりを聞いて2人を心配する。


村では、大人達全員で、イリョスとメーゼを探している。

勿論、結界が、張られている為、洞窟に近寄られても気づかれない。

のだが。


大人達が、2人を探して半日が過ぎた頃、突然イリョスが、村に現れたのだ。



《儀式まで あと1日》


「お伝えします!イリョスは無事見つかりました・・・!」

イリョス発見を耳にした魔女は、魔法で、村の様子を見る

「それと。メーゼの遺体と共に!」

魔女は、少し動揺して、そのまま村の様子と、イリョスの様子を見る

それを聞いたルアも、動揺していた。


「わかったわ。」

「必ず!今度こそ、逃がさず明日必ず儀式を成功へと、導きます!」

魔女は、魔法を辞め。

儀式の準備に取り掛かり始めた。


ルアは、半信半疑でいた。

そして、ついにその日がやってきたのだ。


《儀式当日》


魔女の家まで、イリョスを囲み30人の大人が連れて行っている。

イリョスは目隠ししている。


魔女は、家の前で、イスに座り、眺めている。

そして、イリョスは、祭壇へと進まされる、

ルアは、心配そうに見つめる事しかできない。


そして、祭壇が青い炎で、燃え出す。

大人達は、下がり、イリョスは、祭壇へ登り始めるが、

魔女が、イリョスに向かって火の魔法を放つ。

しかし、目隠しされたイリョスは、火の魔法をすんなりと避ける


「で?本物のイリョスは、何処だい?」

魔女は、イリョスを睨みつけ、そう言った。

「流石、私の妹ね。」

イリョスに化けたメーゼが、魔女目掛けて襲い掛かり

魔女を押し倒し、首元にナイフを突き出す。


側にいたルアも、突然の出来事で、言葉を失うも、

一瞬の隙に、イリョスが、ルアを助け出す。


「なるほど。流石お姉様。」

魔女は、嬉しそうに微笑む。


大人達も、イリョス達を囲む


「イリョス・・・。」

「もう大丈夫だからな。必ず終わらせよう。」

一先ず、ルアを自分の後ろに。

魔法を唱える大人達を、一瞬でイリョスが、拳一つで、倒していく

大人達も、負けじとイリョスを取り押さえようとするも、

メーゼの魔法で、残る大人達も、次々倒れていく。


しかしその状況でも、魔女は、微笑み続ける

「で?まさかこれで、わらわを負かしたつもり?」

「んな訳ないでしょ?」「そう、それは、良かった」


「ごめんね。」

ルアは、震えた声で、イリョスに言った。

「本当だよ!こんな危険なマネしやがって!!」

「うん、ごめんなさい」

「・・・でも、無事でよかった。」「うん、ありがとう。」

ルア、イリョスの背中に、もたれる。


「本当に、人間なんて愚かよね」

魔女の一言に、メーゼが、魔女を睨む。

「感情と言うものに、縛られて。自由を求める癖に、自ら感情に縛られる」

「あなたが、求めた物でしょ。」

「そうね、だからこそ。そんな物は、下らないと思うわ」

魔女が、不気味に、微笑むと同時に、ばたん。っとルアが倒れる。


「ルア・・・?」

イリョスが、ルアの方に振り向くと、

ルアが、苦しそうに倒れ込んでいる


「何をしたの!?」

魔女は、メーゼを貶す様に、笑い。

「言ったでしょ?下らないと。簡単な事よ!あの2人は、恋に落ちた」

「そして、そこにもう一つの呪いをかけた!想う程に、あなたの子は、心臓を圧迫してしまう。」

「なんて無様!なんて愚か!!」

高らかに笑う魔女の首を、メーゼが、斬り付ける。


それでも不気味に笑い続ける魔女

「僅かでもあなたを信じてた。妹として!でも遅かった!」

「心まで腐ったのね!!ミナス!!」


苦しむルアに、イリョスが立ち寄る

「ルア!大丈夫か!?」

しかし、ルアは、既に呼吸困難な状態まで陥っていた。

その隙に、大人達もイリョスを取り押さえる

「離せ!!離しやがれ!!」


首から流れた魔女の血が、針となり、メーゼに襲い掛かる。

そして魔女を抑えてたメーゼの身体が、倒れ込み

手に持ったナイフも、吹き飛んでしまい

祭壇の炎が、メーゼに降りかかるも、メーゼも防御魔法で、何とか防御する。


意識が、彷徨う中。

ルアは、必死に地面に魔法陣を描く。


「そろそろこの因縁にも、終止符を打とうじゃないか?お姉様。」


「魔女様!イリョスを捕らえました!」

「やはり無様ね、よかったじゃない?やっとあの人に逢えるじゃない」

成す術なく、メーゼも、ここまでかと諦め始めた。

高らかに、笑う魔女。苦しむ娘。大人達に取り押さえられ動けなくなってしまったイリョス。

この状況を逆転出来る案は、ないか。イリョスの魔法が、発動する状況をどこで作れば。


そう思考していたメーゼの目の前で、魔女が、血を吐く。

何故、妹が突然吐血したのだ。

首を斬っても倒れなかった妹が。

メーゼに降りかかった炎が、消え。

メーゼは、辺りを見渡した。

イリョスを取り押さえていた大人達も、崩れて行く。


明らかに、状況が変わった。それは、魔女の魔力が弱まったと言う事。

もしも、そんな事が仮に、出来たとすれば。


自分の寿命を代償に、相手の寿命を失くす道連れの呪文

メーゼの頭に、禁じられた魔法が過る。


メーゼは、恐る恐る自分の娘を見る。

そこには、自分の心臓をナイフで突き刺しているルアの姿が目に入ってしまった。


「・・・永遠?お母さんの言う通りだね。」

「永遠なんてない、だっていつか人は死ぬものだから。」

ルアは、そのまま目を閉じてしまう


魔女は、不満そうにルアを見つめる。

そして、今度は、祭壇の炎が魔女に降り注ぎ、

そのまま魔女を呑み込んでしまう。


その瞬間、大人達が、正気に戻る。

イリョスと、メーゼは、ルアの元へ


必死に2人は、ルアに声をかけるも、返事がない。

くそ!っと必死に、何か手は、ないかとイリョスは、ルアを呼び続けるも

ルアに返事がない。

大人達は、一体何が起こったのかもわからず、ただ立ち止まる事しか出来なかった。


メーゼも同じ。

メーゼは、自分の愚かさに失望する。

私が、妹をもっと早くに止めていれば、この子に、こんな哀しい決断をさせる事もなかったのに。

イリョスは、ルアを抱きしめ泣き叫ぶ。


カラン。っとルアが持っていたナイフが、地面に落ちる。


イリョスは、そのナイフを見て祭壇を見る。

その目線に気づいたメーゼは、イリョスが、何を考えているのか、

これから何をしようと思っているのかが、わかった。


「イリョス。あなた、まさか。」

「ごめんなさい。あなたの娘は、必ずこの先も僕が守っていくから・・・」

「イリョス君!!駄目よ!そんな事したら!あなたも!!」


「いいんですよ。俺達は、この先も生き続ける!!」

「ルアとは、“逢えない”けど、でも」


止めて。

自然と溢れた涙が、メーゼの頬を流れる。

これ以上、自分の大切な家族が、いなくなるのは、と説得するメーゼだったが、

イリョスは、優しくメーゼに首を振る。


そして、イリョスは、初めて人に対して魔法を唱えた。

その魔法が、その場のメーゼを含む、大人達にかかった事を確認してから

イリョスは、ルアを抱えたまま、祭壇へ上がる。


「悪魔よ、汝。永遠の魔法を受け入れる。代償に魔女の血と、我々の身体を捧げる!!」


ゴォォオオ!!!

炎が激しく燃え盛り、2人を包む

「さよなら、みんな。」

イリョスの頭の中に、ルアとの約束が甦る



【助けてあげよっか?】

【本当か!?】

【その変わりに 私のお願い聞いてくれる?】

【お願い・・・?】


【そう、この本に描かれた魔法を、叶えたいの。】

ルアは、持ち出してきた本をイリョスに見せた。

そこには、上級者以上の魔法、つまり禁忌が記されていた。


【魔法って、これ禁忌じゃねェか!!】

【うん。太陽と月っていう物を作り出せる大魔法】

初めて聞く言葉に、好奇心を抱くイリョス。

【太陽と月??なんだそれ?】

【太陽は、世界を明るく照らし。月も、世界を静かに照らすの】


【つまり空が明るくなるって事なのか!?】

【そう!でもね、この魔法には 魔女の血とそして二つの心が必要なの】

【二つの心?】

【そう。永遠を望む2つの心。】【永遠を望む?】


【なるほどな。】【どうかな?】

【だが、禁忌なんだろ?】【うん・・・】

【だけど、それで、この村が呪いから解けるなら】

【協力してくれるの?】

【わかった!いいぜ!面白そうだしな!】【ありがとう!】


ルアは、優しくイリョスに笑顔を見せた。

その笑顔を見て、イリョスも自然と笑顔になった。

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