四台
その日のうちに僕は、じいちゃんに連絡を取ってお祓いをしてもらった神社を教えてもらい、ネットで近くに同じ系列の神社を探した。
幸いなことに車で少し走った場所に神社はあった。
しかも明日の午前中にお祓いの予約を取ることができた。
翌日、悪友と共に僕は神社の境内に車を乗り入れていた。
置いてこようと思ったのに悪友は付いて来たのだ。一番危ない事故になりかけた時にも一緒にいたから強く拒めなかった。
最初に社殿? 真ん中にある建物の中で僕がお祓いをしてもらってから境内の車のお祓いをしてもらう手順だった。
「ちっと、こっち見てみ」
悪友に言われた方に行くとすごい段数の階段があった。
車で来たから気にしていなかったが、参拝する人はこのすごい階段を登って来ないといけないのか。そう思うだけで疲れる。
「俺達、車で良かったな」
にやっと笑う悪友に僕はうなずいた。
やがて巫女装束の女性に名前を呼ばれた僕らは、建物の方へ歩き出した。
「お待ち下さいまし」
突然、聞こえてきた女の子の声に僕は足を止めた。
「女の子の声、したよな?」
同じように足を止めた悪友が聞いてくる。
うなずいてから周りを見ても参拝している人もいないし巫女装束の女性しかいない。
「申し訳ございませんが、少々お待ち下さい」
背後からの男性の声に振り返ると男性版巫女装束――名前が分からない――を着た男性が立っていた。
「当神社の宮司でございます」
巫女装束の女性が男性に頭を下げてから僕達に紹介してくれる。
「これからとある方がいらっしゃいます。お話したい事があるそうで、それを聞いてからお祓いをするか決めて欲しいと」
「話ですか……」
何の話やら。そもそも話を聞かないといけない理由もないんだけどなぁ。
「話を聞かれた方がよろしいと思いますよ」
穏やかに話しながらも有無を言わせぬ口調に僕は黙った。
………来ない。
声が聞こえてから何分か経った気がするけれど誰も姿を現さない。
後ろを振り返ると宮司さんが苦笑いをしている。
もしかしてと思って正面の階段を見下ろすと黒髪のブレザーを着た小さい女の子がへばっていた……
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