三台
「久しぶり! これお土産な」
ようやく転勤先になれた頃に地元の悪友が遊びに来た。
「お前、お土産に地元の菓子持ってくんなよ」
紙袋を受け取りながら悪態をつく僕に悪友は、にやっと笑う。
こいつ、わざとこういうことするんだ。
「まっ、好きな酒も持って来たからさ。飲もうぜ」
翌日から悪友を連れてドライブに出た僕は、気になっていることがあった。
そう。斜め後ろにまた気配がするんだ。
実は、悪友を駅に迎えに行ってから気配を感じるようになった。
でも気のせいだと思い込もうとしていた。
「なんだよ。後ろに何かあんのか?」
僕の視線に気付いた悪友が聞いてくる。
「前に斜め後ろの気配の話をしたの覚えてるか?」
「ああ、覚えてるよ。もちろんロリっ子の話もな。んでなに?」
にやっと笑いながら悪友は後ろを振り返る。
「また、後ろに気配を感じるんだよ」
「お祓いしてから感じなくなったって言ってなかったっけ?」
「そうなんだけどさ……」
「気のせい、気のせい。久しぶりに俺に会ったからそんな気がしてんだよ」
悪友の言葉を聞きながら、僕は車を行列に並ぶ最後尾の車の後ろにつけた。
せがまれて転勤先で有名なラーメン屋に来たのだった。
有名なお店だけあって駐車場も広い上に誘導の警備員までいる。
車の中から見ていると警備員が人数を確認してお店に知らせてるみたいだ。
すごいな、このお店。
しばらく待って、僕らが駐車場に入る番になると警備員が人数確認で車をのぞき込んで言った。
「ええと“三名”様ですね」
と。
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