初依頼7

ハートもレオンを見る。

なんだこの青髪イケメンは。カッコ良すぎるだろ…

次に変化する時にコイツの顔、即採用!

と、くだらないことを考えている。彼だけは平和だ。


レオンが問う。


「私はレオン・エヴァレット。君、名前は?」


くだらないことを考えていたハートは慌てながら答える。


『はっハートです』


「ハート君、君はなぜあそこにいたんだい?」


『薬草を取りにこの森に来て、それで恥ずかしい話ですが帰り道に迷っていたんです。それでその時にそこにいる女性と出会ったんです』


ハートはシャルルを指を指す。

シャルルが不思議そうな顔をする。


「私の名前はベンガル・リー・シャルルだ。たしかにコイツと里の入り口付近で会った。怪しかったから色々質問をと思ったが里から爆発音がしてコイツを置いて里に向かってしまった。だからコイツのことは知らない」


レオンが質問を続ける。


「で、君は彼女と会ってからどうしたんだい?」

『帰り道がわからないので、彼女の後を追いました』

「それで?」

『それでこの場所?の入り口付近まできたら知らない間に気を失っていて‥』

「起きたら縛られていたと?」

『はい、そうです』


レオンは考える。里を襲ったのは白いローブ達だ。その内の一人は彼女が殺している。それはシャルルの証言でわかっている。しかし白いローブ達は両方とも死んでいる。私は怪しい男を見ている。そしてコイツは縛られてなぜか生きている。コイツが怪しいのは確実だ。ベンガル・リー・クロロ殿を殺してしまうほどの実力があった白いローブを殺していると思われる。だが結果としては彼女を救ったことになる。なぜ彼女だけ救った?真の目的は白いローブ達を殺すことか?と考えれば考えるほど目的がわからない。


レオンは顎に手を当ててしばらく考え込んでいた。

わからない。ひとまず保留だ。

そこにまた騎士団がやってくる。


「レオン様、埋葬の準備ができました」


レオンはシャルルを見る。

シャルルは頷く。


「始めてくれ。種族が違えど敬意は忘れず、よろしく頼む」


「はっ」


それからレオンは彼女自身の休養も兼ねてシャルルを保護することにした。シャルルとしては森に居たかったのだが里は破壊され仲間ももういない。悲しむ気持ちや名残惜しさもあるが城塞都市エルドラに向かうことにした。


また騎士団がレオンの元にやってくる。


「レオン様、白いローブの遺体の調べは終わりました」


「なにかわかったか?」


騎士団は白いローブをレオンに見せながら


「はい。この白いローブはレオン様がお知りになられているようにレミーア聖国のモノと思われます。」


さらに騎士団は指輪を見せる。


「しかし、それぞれの遺体を調べたところ【魔除けの指輪】がはめられていました。レミーア聖国の者となるとヒューマン種以外は悪というのが一般的に知られています。もし仮に殲滅を目的とするならこの指輪は必要ないと思われます。私が推測するには‥」


レオンは顔をしかめる。


「帝国か…」


こちらが緻密に考えてたことよりも先に一手打たれてしまった。

敵の動きが良すぎる。まるでこちらの動きがわかっているかのようだ。考えることは山積みだ。


レオン達はベンガルの里を後にした。

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アイアンハート あんしん @anshin

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