初依頼6

ハートは全力で逃げ出した。冒険者の姿に戻るの忘れてたというより、戦闘やそれに匹敵するパフォーマンスを発揮するときは黒いローブ姿に戻ってしまうのだ。本人は気づいていない。

これはそういうスキルや呪い視聴率のためのに近いものだ。


このまま逃げきるか?

だが帰り道わからない。どうするか。


『いいことを思いついた』


彼自身も被害者になり騎士団に送ってもらうことを考えた。

彼は液状のままバレないように里に戻った。

壊れかけた建物の中入りそこにあった布を数枚に分け切り落とす。そして冒険者に変わりながらも、布で自分の口と後ろに回した手を縛る。このカラダだからできる曲芸であり一人SMプレイだ。後は騎士団が近づいてきたら騒ぐだけ。簡単なお仕事。


馬から降りたレオンは涙を流していた。

かつての友がこのようなカタチで亡くなってしまったことを悔やむ。しかし他の者達の生死を確認しなければならない。まだ心の整理がつかないがそっと友の顔に手を当て友の瞼を閉じた。


「友よ、私は職務を全うする」


それだけ言うとレオンは歩き出した。

レオンの近くに回復したシャルルがやってくる。


「父上は?」


レオンは静かに首を横に降る。


「そうか‥」 


悲しい顔をするシャルル。

そんな彼女を慰めようとレオンは改めて自己紹介を始めた。


「私はレオン・エヴァレット。王国騎士団の副団長をやっている。君の父親、ベンガル・リー・クロロ殿とは戦地を渡り合った友だ。クロロ殿、いやベンガルの皆を救えなかったことを謝りたい」


「そうか父上の友か‥私はベンガル・リー・シャルルだ。ベンガル・リー・クロロの娘だ。私がここに駆けつけた時にはほぼ壊されていた後だった。レオン殿が謝る必要はない」


それからシャルルはレオンに里で何があったか説明をした。


足音が聞こえる。


『うーううー』


騎士団の一人が気づく。


「なんだ?こちらから聞こえるぞ」


建物の中に入ってくる。


『うーうぅー』


縛られたハートを見つけ解き始める。


「大丈夫か?なにがあった?」


『いえ、突然でなにがあったか全然覚えていないんです』


「そうか。歩けるか?」


『はい』


ハートを連れてレオン達の元に戻る騎士団。


「レオン様ご報告があります」


「聞かせてくれ」


「はい。まず一つ目ですが、残念ながら他のベンガル族の生存者は一人もいませんでした。二つ目ですが、ジュラール大森林南部地域を見回ったのですが近くにある他の里でも同じ様な惨状であります」


レオンはハートを見る。


「そうか‥それでそちらの彼は?」


「はい。三つ目になりますが、彼がベンガルの里の建物の中に縛られた状態でいました。なので保護をしてここまで連れてきました」


「わかった」


「すまないが彼に聞きたいことがある。騎士団員たちは引き続き警戒をしてくれ」


「了解です」


敬礼をしてレオンの元を離れる騎士団。

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