第28話 真面目な少女と語りたい
翌朝、午前6時。
「
「いや、そんなに待ってないぞ。ほぼ約束の時間通りじゃないか」
約束の6時から1分遅れで
格好はジャージ姿で、よく見るとジャージの所々や手などが土で汚れていた。
「すみません、朝の畑仕事をしていたもので………」
「なるほど、そう言えば毎朝この時間に風呂に入ると言っていたな。畑仕事の後だからというわけか」
「はい」
良かった、やっぱり
さっきまでの俺の不安は一気に解消された。
「お疲れ様。それじゃあお互いひとっ風呂浴びてくるか。そうだな、一時間後にまたここで待ち合わせでいいか?」
「はいっ!」
それを見届けてから俺も男湯のほうへ入る。
………問題ないとは思うが、念のために一応男湯の入口に鍵をかけて。
今日は昨日と違い、一時間という時間をフルに使えたので、サウナや水風呂なども堪能して心身ともにリフレッシュする事ができた。
時計を確認し、一時間ちょうどとなる時間を見計らって男湯の外に出ると、
「悪い、待たせたか?」
「いえ、約束の時間通りじゃないですか」
さてはこれが言いたくて予定の時間より早く出てきたのか。
そんな
昨日のような緊張感も無く、やっぱり
「さてと、あらためて今日はよろしくな。まずは………朝食かな」
「はい!」
まずは朝食という提案を受け入れてもらえたところで、食堂のほうへ向かおうとした俺を
「あのっ、
「ん?どうした?」
「あの、よろしければ今日の朝食は私に振る舞わせて頂けませんか?」
「
「はい!ご案内します!」
すると
俺達は玄関から外に出て、初日に見せてもらった
畑を通り過ぎると、そこには一軒の田舎の民家のような家があった。
そう言えば初日に畑を見た時にもあんな家があったような気がする。
「この家は?」
「ここは畑の管理のために
「それじゃ
「あ、一応お屋敷のほうにも私のお部屋をご用意して頂いているんですけど、野菜作りを始めてからはほとんどこっちで寝起きしてます」
なるほどな。
俺の『交番』と同じようなものか。
あそこにも休憩用の部屋とトイレと一通り揃っていて、なんならあそこで生活も充分できるレベルだしな。
「お邪魔します」
中に入ると外から見た印象そのままに、内部も普通の『農家の家』といった感じの造りだった。
畳の居間に通され、丸いちゃぶ台の前の座布団の一つに腰を下ろさせてもらう。
何と言うか一つ一つの動きに無駄がなく、随分と手慣れた様子だ。
そんな
俺より二つ年下の16歳の少女なのだが、きっと
そんな事を考えている自分がまるで
台所から聴こえ始めた「ジュージュー」という食材の焼ける音を聞きながら、俺の赤くなっているであろう顔が元に戻るまで、もう少し時間をかけて料理していて欲しいと願うのだった。
お嬢様は理想の国を作りたい 太堂寺姫子 @himeko9076
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