第8話 ギャルゲのイベントを発生させたい
こんな高級レストランのようなテーブルから、どんな豪華な食事が出てくるのかと身構えたが、予想に反して食事は各々のリクエストに応えてもらえるシステムらしく、
「それで、
この場にいる者達がそれぞれに食事を進めている中、
「………どのくらいも何も、そういうジャンルのゲームがあるという程度の知識しか無い」
「そ。まあリサーチ通りかしらね。じゃあそんな
そう言って
俺自身やった事は無いが、
『ギャルゲ』というのは通称で、正確には『恋愛シミュレーション』というらしい。
その名称からイメージする通り、要するに主人公の男が何人かの女の子の中から好みの一人を選び、平たく言えば『口説いて』いくゲームだ。
「全部のギャルゲがそうってわけじゃないけど、
「それでお前は俺に何をさせたいんだ?例えば俺と
「身も蓋もない言い方をするわね………。別にそれはそれで、アナタ達が本気で愛を
「つまり、俺に実際の『恋愛シミュレーション』をやって見せろって事か?」
「簡単に言えばそうなるわね。誰か一人との個別エンドでもいいし、複数同時攻略のハーレムエンドでもいいわ」
「ちょっと何を言ってるのかわからんが、最低でも誰か一人と恋人にならなきゃ俺は解放されないって事か」
「ま、そういう事ね」
「はー………」
また頭が痛くなってきた。
自慢じゃないが、俺は女の子と付き合った事が無い。
彼女が欲しくないとは言わないが、こんな環境下に放り込まれて『普通の恋愛』ができそうとは思えない。
最初から恋愛ゲームをやらされているという意識が嫌でも頭の中に刻み付けられるわけで、本気になれずに冷めてしまうんじゃないかという気がする。
それともそんな風に思うのは俺が交際経験の無い童貞だからで、女の子は違うのだろうか。
「ふふん、悩んでるようね。まー私も君をギャルゲの主人公にするとは言ったけど、現実の女の子がそんな簡単にオチるとは思わない事ね!ふっふっふ」
このヤロウ………誰のせいで悩まされてると思ってんだ。
込み上げる怒りのせいで
そんな怒りに震える俺の腕に、右隣の席の
「
「食事の邪魔だから放せ」
すると
「ああっ!その目、いい!抱いて!!」
「………おい。これはもう『オチた』って事でゲーム終了でいいんじゃないか?」
俺に抱きつく
「うーん、
どうやら
どうすりゃいいのか全くクリア条件が見えてこないし、何より俺の目的である
俺に足りないモノ………か。
部屋に戻って休む前に風呂に入りたいと思い、食堂を出る前に
風呂場………と言うよりも大浴場といった外観のそこは、まるで銭湯の入口のような造りとなっていた。
青と赤の『男』と『女』と書かれた暖簾が掛かり、男湯側の暖簾をくぐり中へ入る。
ため息をつきながら脱衣場に足を踏み入れると、そこには先客がいた。
この屋敷の使用人の男か?と思いきや、そこにいたのは下着姿の
「きゃっ!か、
「わっ、悪いっ!!」
反射的に謝って外に飛び出す俺。
もしかして男湯と女湯を間違えたか?と思い、入口の暖簾を確認するが男湯で間違っていなかった。
じゃあ
だとしても、中に半裸の女がいるとわかっていて再び入っていくわけにもいかず、外から声をかける事にした。
「おーい
「も、もう入っても大丈夫よ」
すると先ほどの場所にタオルで体を隠した
「もう、早速ラッキースケベイベントってわけ?」
顔を赤らめながら体を隠す
「何を言ってるのかわからんが………とにかくここは男湯だ。お前が間違えたのはともかく、着替えを見てしまったのは悪かった。見ないようにするから早く女湯に………」
「間違えたわけじゃないわ。君が来るまでは基本的にここは女の子しかいないから、その日の気分で好きなほうに入っていたのよ」
「そ、そうか。だが今日は俺がいるわけだから女湯に………ん?」
「ん?」
「ちょっと待て。昨日までならともかく、今日は俺がいる事をわかってたよな?しかも俺は食堂を出る時、
「やぁねぇ、ここは私の家よ?君の先回りをしてお風呂で待ち伏せるくらい………あ」
「そうか。つまり確信犯か」
「あっ、いや、これはその、ギャルゲ特有のラッキースケベイベントを………」
「とっとと出てけ!!」
中は銭湯どころかスパ施設のように広くて設備も充実していた。
今日のところは精々ここの
本当に今日は散々なめにあって疲れた………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます