第29話 甲賀忍者とのバトル

この盾が意外に重宝した、特に手裏剣や鉄砲などの飛び道具、刀などの受け、そう素人でも扱えるのがメリットで身体も隠せた。

「奴らはいったいどこ行った?」

「おぉっ居たぞ、あそこだ!」

忍者は案山子に向かって、手裏剣をまたは矢を集中的に放った、紀文の考えが図に当たったのであるこれも変わり身の術か。

甲賀忍者にしてみればあれだけの攻撃 しかし反応がない、目を凝らしてよく見ると案山子であったそれは風に煽られて、ゆらゆら揺れ動いてる。

「案山子か舐めた事しくさる!」

「あのその案山子が、此方に飛んで来ます」

紀文その案山子に乗って、正面の二人に当て身を入れ倒す、そして振り子の原理で叉後方にへと下がる。

声する方に石つぶてが、集中して乱れ飛ぶ無論甲賀に盾はない。

「うわぁぁ、いててっ!」

 甲賀忍者は敵はどこから来るのかと、きょろきょろ見ている。

 足元に何か当っても気にせず歩く者は、竹に乗り上げ足を挫く。

転げると何処からか、人が出て来て棍棒叉は竹ぼうきで、寄ってたかって袋叩きに合うそして麻縄で縛った。

そして案山子のごとく細縄で吊し上げるこれで物言う案山子の出来上がりです、でも気がつくと少しうるさい案山子ですがねぇ。

我慢強い忍者のはずが、殴られて青あざ作りそこが痛く疼く、それに仲間に殺されまいかと、恐怖が有り大の男が涙流し喚くのだ。

「あのうどうします、助けましょうか?」

「ほっとけ、おかしい罠かも知れないぞ!」

しばらくすると疲れたのか諦めたのか、あれだけ騒いでた声もパタッと止まりました。

 摺り足で歩くと、縄で足を引っ掛けられて転ける。くり返しやられると馬鹿にできない。

 (ヒュゥヒュゥ、カッカッカッ)

 文左衛門は拾った矢尻を手製の竹弓で射る、近いのででよく当たる甲賀者は鎖帷子着ているが、毒が塗られている為に少しの傷でも倒れる。まあ自業自得である自らの塗った毒矢である。

甲賀者も負けじと手裏剣を、投げて来るが盾に弾かれ役立たず。

 紀文方は人数少ないが、一人で二人倒せば勝つのである、そして相手の放った手裏剣を、せこいが皆はせっせと拾い集めているまあ仕方有りません此方は、市販の間に合わせの道具でしたから。

 甲賀忍者にも体術はある、それを使って文左に向かってくる。 

「うりゃあ! アタタタッタ」

 文左のカンフゥが炸裂する、突然の奇声に戸惑って金縛りあったように動け無い、忍者達瞬く間に蹴りや突きを喰らい倒れた。

もちろんこの前取得した念動力も、使いました、飛び道具である忍者の手裏剣を封じ込める為です。

「うっどうした事だ、手裏剣持つ手がしびれて動かない!」

相手は武術に優れた忍者で人数も多かったので、まだ自信なかったけども仕方なく使いました。

帆柱の上から甲賀忍者が船員めがけて、短弓を打とうとしているのを眼にした、盾は真横に構えているので頭上はがら空きである。

「おおっと、危ない!」

紀文はとっさに猿飛びの術使ってよじ登り、敵の忍者に食らいつき腹に蹴りを入れて、忍者を柱から落としその船員を助けた。

 相手方が少なくなってきた今度は梯子(はしご)を使い、皆が捕り物のように敵の首に掛け数人で取り押さえる。

下から声がした甲賀の頭だ。

「おい野郎共片ずいたら、早く千両箱降ろしな!」

 だがいっこう反応が無い、待つ時間は長く感じるのだ。

「静かだおかしいな、仕方ない儂は今から船に上がるぞ」

 縄梯子を伝って登る、甲板に上がり見わたすと、そこに要るはずの仲間が誰一人もいなかった。

 薄明かりの中目を凝らすと、町人風の若い男が、天狗の面を付けて立っていた。

「あの、そこ元は山中権兵衛どのでしょうか?」

「誰だ! ウムおぬしこの儂を知っておるのか?」

「やはり甲賀忍者の、山中権兵衛どのか」

「なぜ知る、お主ただ者では無いないったいお主は何者だ?」

紀文はかぶり面を取り、素顔を見せる、敵はまだあどけなさが残る紀文の顔に戸惑う。

「忍びの盗人なら、隠す事も有るまい伊賀の本流であった根来忍者は藤林正武門下で、あざ名は猿飛佐助通り名は紀ノ国屋左衛門だ」

「ほうお主もやはり忍びか、さもあらんいくら何でも素人衆に負ける事はない」

「さぁ勝負は付いた、それでお主どうなされるのか?」

「えっと言うとお主このまま、儂らを逃がしてくれるのか?」

「私達は特に怨は御座らん、捕まえた子分も連れて行ってくれ!」

文左衛門は血を見るのは好まない、それに同じ忍者一門という事もあった。

この一件で(紀文)こと猿飛佐助は 、忍者仲間内では 名を馳せるがそれは、影の世界であって世の中に、名前は残らないのである。

しかしこの紀文の働きは、風磨や甲賀を味方に引き入れた事で江戸の情報社会に於いて、根来忍者の質を押し上げたのである。

「それはかたじけない、儂も人として忍びとしてこの恩は生涯忘れぬ、ではおさらばで御座る根来の猿飛佐助どの! これをやろう」

と言って手渡されたものは、握り鉄砲であった。十七センチ足らずの短筒であった。これは革新的な物で、火縄を使わない銃である。

「最新式の鉄砲でござるな、これは珍しいありがたく貰います!」

忍者集団(科学技術集団)は、海外の拳銃に近い短筒を開発していたのだ、もしは無いが根来に海外の最新の情報や物が、入ってれば日本はそんなに、西洋に遅れてなかっただろう、紀州には紀文のような先進的な考えを持つ人も、いたのであるがこの短筒の革新的な技術は気が付かなったのか。

やはり日本に信長のような新しい物に、敏感な人が要るのです。

「では紀文どのこの恩義は甲賀二十一家にお伝え申す、さらばでござる叉いずれか……」

数 多い甲賀忍者が少ない根来忍者にやられる、さすがもと伊賀の本流であったと認めたのである。今回甲賀五十三家を二十一家としているのは、戦国の伊賀の乱より時が経ってるので甲賀の家々も、合併集約されていたからで御座います。

 さすがに負けを認めと、去るのも早い風のようにいなくなった。 多分盗賊団から足を洗い、組織を維持するのに甲賀忍者の得意とする薬学で、身を立てるのだろうと紀文はふと思った。

この戦いは紀文が商人であるのと、守る側は素人であったので死者はなく、矢の毒は甲賀自ら用いた物なので解毒薬持っていた。

(甲賀流は特に、忍者仲間内でも薬草学では有名であったのだ)

薬は儲かるからなぁ、泰平の世の中では忍者も、転業しなければならなくなっていました。

ちなみに根来忍者は、毒物に関しては詳しかったようです。

毒物も少量なら虫下しのように薬にもなり得ますが、それは使う人次第でも有るようです。まあ毒を盛るのは人です、殿様が食べる前お毒味役がいましたが、一般人では防ぐ手だてがありません。

人には欲が有ります、金次第で何をするかわかりません、現在は本当に狂った人もいますしねえ。

逸れだけお金が欲しい人々がいるのも事実です、お金は大事です欲しい時いる時なければ、生き死にも影響する事もありますから。

ネガティヴな話ばかりではありません、ちょっとした工夫やアイデアが大発明に繋がるのですがこの頃技術は、一部の忍者のみでしか研究されていなかった、甲賀や伊賀もしくは根来の秘密、とされ余程優れたものでない限り、多くの忍者が持っていた技術は、引き継ぎも無いまま埋もれたのです。

鉄砲鍛冶に火縄銃以外の、新しい発想をする者いなかったかと思う、まさか幕府に止められいたのかも知れないが、逸れだけではないでしよう、需要と利益かな?。

プロ職人は経験から、こうであると決めつける癖がある、信長のごとく大いなる素人の考えが大発明をなすのである。

 兎に角戦闘で皆疲れたのか安心感からか泥のように眠る、月も陰りがちで寄せくる波が眠気を誘い妙に、けだるさが心地良かった。

翌朝紀文は、早く起きて皆に言った。

「皆ご苦労様お陰さん、無事に済みました。此から道頓堀の歌舞伎興行でも見に行って気分晴らしましょう!」

意外な申し出に、あっけにとられていた。

「歌舞伎興行は昼の部と夜の部が有る凡天丸の乗組員を二手に分けて見に行く、高垣組と紀文組だ半分は船を守る事になる、まだ完全に安心は出来ないからだ逸れでええなぁ!」

どの顔も 皆目を輝かせ、笑顔に成った。

「そらええなぁ、わてら歌舞伎なんてまだ観た事おまへん、そやこの間看板ちらっと見たけど義経千本桜してますよ」

「話の種になる弁当も場内で食べられると聞いてます、ほな皆で景気良く行きますか!」

紀文らは連れもって歌舞伎を見に行きました、ワイワイがやがやで楽しみました。

この頃歌舞伎は阿国のような遊女歌舞伎から、今のような男ばかりの若衆歌舞伎となって踊りから演劇になっていました。

帰り北船場の土佐堀沿いには旗籠や料理屋が並んでいたので皆で店に入って、上手いもの食べました、さすがに大坂は食い倒れだ。

その対岸の中之島には、大名の蔵屋敷がずらりと有って見事な装いで如何にも商都大坂らしい風景でした、また話しの種ができた。

帰って芝居の話しに花が咲き、遅くまで起きていましたが布団に潜ると直ぐに皆寝た。

翌朝紀文が早く起きて、皆に声を掛けた。

「おお朝だ、皆さん宝船の出航だよう!」


















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