第6話 根来忍者の苔丸

忍の忍器と言うか色々な道具がある、どういう物でどう使うかなど聞く、作り方も習うそして独自の物も工夫し開発していく、兎に角忍者道具が多い、それで最初は集めるのが趣味のように成る。

その中で苦無(くない)という物がある、大きさは二十五センチから様々です単刀に近く色々な事に使えた後部に紐を通せる穴があいている、持ち手には紐や着れを巻き持ちやすくしている。鋼で穴を掘ったりするのにも使う、手裏剣にも使えるしとても便利である。

「苔丸よどうしたら、皆のように新しい術を考えられるのかな?」

「えっ考えるのですか? それは私にも難しい質問ですね!」

「そう考えると、途端に頭が停止したように出ませんよ、忍術とは種が有りよって自然のあらゆる物を、(動物も)利用し活用します」

苔丸におかしな事を聞いた、のできょとんとした顔をしている。

「その事師匠に聞くと逸れは思う事だと言われましたよ、思う事で空想や想像してひらめくのだと」

「考えるのでなく思い空想することが、発明に繋がるのですか、それならば私にも出来そうですね」

苔丸は子供ゆえ、大人達に警戒されず技を盗み取得出来たそれは文兵衛にとって良い教師となった。

下忍の術は口伝や、実際に直接やってみて身体で覚えるしかない、秘密で中々教えないのです。忍術や剣術共に開発した者がもったいないぶって、弟子に教えずそのまま消えたる術も有る。せっかく苦労して掴んだ技を無料で他人教えるメリットない事も有る。

(普通は真似するなと怒られるが、苔丸は幼いので大人と違い各人つい油断するのです)

 師匠もたまに見にきて、気づくと一言いってそのまま帰る。それは修行で有りながら毎日が遊びのような楽しい日々であった。

今日は手裏剣投げしようか、と言って丸い円盤を三十枚ほど持って来た、気の枝を鋸で切った簡単な物だ、見かけは不細工である。

「文兵衛さん実戦での手裏剣の間合いは、七間から三間です。三間以内だと投げてる暇は有りません逸れに綿入れの服着ているとまったく刺さりませんしねぇ」

「フウンほな敵の着ている服の種類にも、実戦では注意せなあかんのやな?」

「まあ実戦での狙いどこは、敵の顔ですがそこへ当てたら皆大方の敵は気を失います、今回は遊びやから気にせずやりましよう」

細かい事よく気の付く、おかしな奴だな。内心文兵衛は思っていた。

「まん丸で手裏剣には、とても見えないよ」

「うんでも丸いと怪我しないし、じゃあ一度試しに投げてみなよ!」

言われて文兵衛は、一枚投げてみた思ったより回転しながらよく飛ぶ。

「これは思ってたより、案外使えるなぁ」

「では身体に当たったら負けだよ、そしてずるはなしだよ正直にねぇ!」

少し離れてさながら、忍者同士の実戦がごとく投げ合うやるとなかなか面白い。

「よしそこだやったかな、どうだ苔丸当たったか?」

見てみると枯れ木に服を巻き着けてある変わり身の術だ、これは自分がやばいと即倒れた木に這いつくばり身を隠す。

「今度は此方の番だ、そりゃエイ!」

苔丸は二丈(約六メートル)高く飛び上がって、投げて来たするとカーブを描いて文兵衛に当たった。

「勝負有りだね、では私の勝ちだね!」

にっこりと笑う、悔しいが自分の負けであるまさかカープするとはな。

「苔丸よどうしでそんなに、高く飛べるのかな不思議だなぁ?」

「私は日頃から山でうさぎを追いかけ仕留める、それで肉食して筋肉がつき高く飛べるようになったのだと思うよ!」

苔丸の手裏剣の技は、武者修業を重ねるうちに鍛錬が行き届いていた。だから所持金使い果たしたとしても、山に入りさえすれば手裏剣のお陰で飢えを凌ぐことが出来た。

当時は街道脇の山に入れば狸や兎(うさぎ)などが群生しており、人を見ても逃げない苔丸は小動物を見つけると手裏剣で打ち止め、火をおこしあぶって塩を掛けて食う。

武者修業者で中途に挫折して、帰郷するのは手裏剣の下手な者と決まっていた。だから手裏剣の修業で文兵衛もこの先、飢える事はなくなったと云える、喰えねば即死ぬのだ。 この時文兵衛も考えて、棒手裏剣にひもを付けて再利用出来るものを考えた、此なら無くす事もなく探す事も有るまい、勿論棒手裏剣やくないだけだがそう鉄は貴重なのである。

「ううん私も鯨の肉ならば良く食べているのに、そんなに苔丸程も高く飛べないがな?」

なる程文兵衛は猿飛びの術を会得していたが、それは木から木へと飛び移る術で高く飛べない、そこで苔丸にその方法とコツを、真剣に恥ずべくも無く習ったのだその成果はてきめんにありました高く飛べる要になった。

続けて二回戦をした、師匠は常に頭を使えと言っていたのを思い出し懐から風呂敷を出して竹の棒にくくりつけました、手裏剣に対して防御布としたのです相手の投げる手裏剣を総て布で絡め取りました。逸れでとうとう負けてばかりの苔丸に勝てました、矢張りハサミと頭は使いようで御座いました。

ある日真田苔丸の母親が、病に伏せたので急に、根来の里に帰る事になった。 

「苔丸よ気をつけてなぁ! いろいろ教えてもらいおおきにな」

「文兵衛さんも達者でなぁ、叉なあ本当に楽しかったよう!」

 そして根来忍法の医術(傷口縫い合わせるなど)の基本技術や、本に書いてない各自秘密にしている忍術技も取得した。

本に書いていても習得出来ない技も有るのです、例えば気合い術です。気合い一斉相手を倒すと書いてあっても出来ませんよね、具体的に本には書かれてい無いのですが習得した人もいたのかも知れませんねぇ、気合いで鳥を落としたり噂で聞いています。

「どうです真似すると、覚えるのも早いでしょう!」

「うん君の言うとおりだ、早く覚えるね君が色々教えてくれたので助かったよ!」

技術や忍術はちょっとした事で方法が分かり、解決出来る事がありますが逸れが現在では発明や発見と、云われるものかも知れませんね、平和な江戸時代西洋に比べて日本の技術はかなり遅れました。

真似やコピーるのはよい手っ取り早く、苦労無しに技術を習得出来る。それで満足すれば逸れまでである 。真似して出来ても評価されない、出来て当たり前だからだ。

世の中変わるのですそれにあわせて自分も技術も、変わらなければ進歩がない。次の新技術に取って変わられるのである。古い技術をふんまえて自ら開発しなければ、誰も教えて呉れなくなる。教えてもメリットない。

忍術や発明は人の思う常識から、一旦離れ誰も思わぬ事を思い付く事から画期的なものが出来るのです、意外に素人考えがその道のくろうと衆の人よりよい事も有ります。

常識的な考えからは常識的な答えしか出てこないのである。革命革新的な答えは非常識の中にあるのかも知れませんねぇ。

例えば木の船から鉄の船、そしてセラミックの船へと飛躍する。

勿論まだセラミック船は開発されていませんよ、私は船体にカキなど付かなくて良いと思いますがねぇ果たしてどうでしょうかね。

また土に埋もれている、鉱物を探せる技術や能力または方法、など或いはその鉱物の近くに咲く植物など解ると凄いと思っている。

甲斐の武田に特殊能力を持つ集団がいたとも聞いているがなぁ、確か金堀り衆と言ってムカデの旗をはためかせ穴を掘るのが得意の軍団であったと聞いている、しかし戦にも駆り出される事もあったので、武田氏と共に滅びたのかも知れませんね。

開発出来ぬ者はスパイして盗もうとします逸れを知って要るので、隠そうとしたり真似をするなと云って自らの技術を、守っていたのかもわかりませんね。

発明はこの頃と違い、現在は特許制度有り守られている。また無形財産権でも有りますが、盗む方は罪の意識は全く無いのです。

この頃刀鍛冶の弟子が、刀の焼入れの際に使う水の温度を、師匠にことわりなしに桶の水に手を入れて確かめたら、師匠に両手を切断された、などの逸話が残っている。長年の苦労も一夜で無くすのです、技術は飯の種なのです。

特許制度 もなく、それで人々が閉鎖的な考えになったからかな。

現在でも考えや技術のちょっとしたソフトは、鵜の目鷹の目で企業同士が狙っている叉日本は他国にとってはスパイ天国であるのかも知れませんね。

商売は勿論技術だけではありません事業の将来性も大事なことであります、それを観るために進んでいる処に行ってその兆しを見て何かを掴んで来るのも一つの方法です。


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