四十三曲目:Blur『Beetlebum』

 ブリットポップは最高ですね。最近はずっとOasisやThe Verve,Pulpなどのブリットポップ勢を聴きまくってます(Twitterの方ではボカロにハマっていると言っておりますが、あれもまた事実です)。

 洋楽をかなり大雑把に区分すると、米国・英国・豪州・その他、という感じになるわけなのですが、私はその中でも英国の音楽が大好きです。

 60年代のブリティッシュインヴェイジョンの頃、70年代のプログレやハードロックやロンドンパンク、80年代のニューウェーブなどなど、どの時代も私の大好物がぎっしり詰まっているわけなのですが、その中でもとりわけ大好きなのが90年代の一大ブーム、ブリットポップです。

 この頃のバンドって、とにかくポップでノリが良いのが多いんですよね。それでいて湿っぽさはちゃんと残っているし、サウンドが似通ったバンドがほとんどいないしで、英国音楽史上最も豊作な時期だったんじゃないかなとまで思っています。

 そして、その中でもとりわけ好きなバンドがBlurです。当時はOasisと双璧をなす人気を誇っていたバンドなのですが、何故だか現代ではOasisに一歩劣る知名度になってしまっているような気がして……かなり残念ですが、それは置いておいて。

 Oasisと言えばとにかく一本筋の通ったロックンロールをかき鳴らし続けるバンドですが、Blurはそれと対照的に、かなり様々な方面に手を伸ばしてはそれを高水準でものにする、ちょっと癖のあるバンドです。

 ファースト発表時はシューゲイザーに影響を受けたサウンドだったのが、セカンドでは様々な技巧を凝らしてギラギラした作品になり、サードでは『Girls & Boys』なるポップの名曲を残し……それ以降もUSオルタナ的なアプローチを試したりノイズ音楽を取り入れたりと、凄まじい幅の広さです。

 そんな彼ら、キャリアは相応に長く、それに恥じないだけの数の名曲を産み落としているわけなのですが……今回取り上げるのはフィフスアルバムの幕開けを飾る『Beetlebum』です。

 当時「ブリットポップは死んだ」なんて言うフロントマンの発言で物議をかもした仲発売された彼らの五作目『Blur』ですが、このアルバムは当時のUSオルタナのサウンドに強く影響を受けた楽曲が多数収録されていて、中でも『Song 2』は大ヒットしましたね。

 しかし、それよりも良いのが『Beetlebum』です。ギターのブラッシングによるリズムの刻みから入るこの曲は、かなりブリットポップの質感が残っています。湿っぽい歌メロ、そこに絡みつくようなギターサウンド、マッドチェスターからの影響かうねるようなグルーヴ感、どれをとっても『ブリティッシュ』です。

 しかし、それを包むのはUSの最先端のロックサウンド。ローファイでダラーンとした雰囲気は、まさしくオルタナロックと言えます。それらが見事に噛みあい、耳にじんわりと残り続ける音を生み出しました。

 歌詞も良いですね。かなり自暴自棄で爛れた内容の歌詞が、気だるげな歌声とマッチしています。

 ジャンクロックやサイケロックの様相を見せるラストも必聴です。明後日の方向に盛り上がり、混迷を極め、最後にはブッツリ途切れる。この曲はこの終わり方しか考えられません。

 ブリットポップの代表格がリリースしたロックの名曲、是非一度聴いてみてください。















 ちなみに私のBlur名曲十選はこんな感じ。

・Beetlebum

・Country Sad Ballad Man

・Parklife

・Girls & Boys

・Bugman

・Coffee & TV

・Song 2

・M.O.R.

・Stereotypes

・Crazy Beat

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