四十二曲目:(Hed)p.e.『The Truth』

 皆さんはニューメタルと聞いて何を最初に思い出しますか?

 KoЯn、Limp Bizkit、311、Papa Roach、Disturbedなどなど……多分いろいろあるでしょう。頭一つ抜けて有名なLinkin Parkかもしれないし、日本のバンドであるSiMかもしれません。

 私にとってその位置を占めるバンドは、『(Hed)p.e.』なるバンドです。読み方は『ヘッドピーイー』あるいは『ヘッド・プラネット・アース』。後ろのp.e.を読まず、単に『ヘッド』と呼ぶことも。

 アメリカはカリフォルニア、ハンティントンビーチで結成されたこのバンド、どういうわけか日本ではあまり知られていません。本国では結構売れていて、現在も活動している人気(多分)バンドなのですが……。

 さて、日本ではやや影の薄いこのバンド、アルバムを出すたびに作風を変えてくるのですが、今回紹介する曲が入っているアルバム『Only In Amerika』は彼らの作品史上最も苛烈で下劣なアルバムに仕上がっています。

 イントロ曲の『Foreplay』の時点で結構がっつりFワード連呼(それよりも多いのがPussy)し、それを経て実質的なファーストナンバー『Represent』は、冒頭三十秒強の間にFワードをなんと8回、B***hも5回叫びます。頭からなんて勢いなんでしょう。

 その後もMFやらなんやら放送できないようなワードを連呼する曲が並び、サウンドもそれに負けず劣らず強烈な仕上がり。ニューメタルというよりスラッシュメタルだろ、と言いたくなるような部分も結構あります。

 前作『Blackout』は結構メジャーに合わせたような仕上がりになっていた分、四作目となるこのアルバムではもうなりふり構わなくなりました(確かインディーに戻っての制作だったはず……インディーだからこそできた奴ですね)。

 で、私が一番好きなのが3曲目の『The Truth』です。一番印象に残りますね、この曲は。

 重苦しくざらついたギターが入り、ヴォーカルが喉を引き裂かんと叫びちらし、スクラッチが合いの手を入れ……かと思えば唐突にドラムが暴れ出してラップやり始めて、気が付けばハードコアパンクになって……。

 とにかく目まぐるしく展開する曲で、その勢いに引っ張られていきます。サウンドの根っこはガッツリニューメタルなんですが、そのうえでやってるのが様々なジャンルの闇鍋という何ともカロリーの高い一曲。

 中盤のギターソロなんか極悪スラッシュで聴くような奴ですよ、ニューメタルでこんなことやってるのこいつらだけです。多分。

 そして驚きなのが、この濃さでたったの3分。バカみたいにいろいろ詰め込んで、それを当たり前のように聴きやすく(優しくはないけど)整えて、たったの三分。もはやインスタントプログレです。

 このバンドはヤバイ。この曲を聴けば確実にそう感じるでしょう。お下劣の極致にある歌詞はともかく、それ以外もなかなかすごいバンドなんです。もっと知名度あがれ。

 ニューメタルの隠れた名曲、是非一度聴いてみてください。

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