第33話 Girl’s talk3
「エッヘッヘ〜♡。」
「気持ち悪。」
「佐藤くんに告白されて、付き合うことになっちゃったあ♡。」
「へー、そうなの? 良かったね。」
チッ。リンは心の中で舌打ちした。大体、あの佐藤に女の子に告白する度胸などある訳がない。告白するよう
美戸はだらしない笑みを浮かべながら、焦点の合わない目で空間を見つめている。
学校始まって以来の才媛が見る影もないな。リンは心の中で吐き捨てた。
都立の中堅校の才媛だから大したことないだろうと思われるかも知れないが、美戸の場合はちょっと違う。希望すればどの高校でも入れるものを都立だから学費は安いし、自転車で通うのにちょうど良い距離だからとわざわざこの高校を選んだのである。
入学以来、試験ではぶっちぎりで学年首位をキープし、全国模試では常に上位の常連であった。
それにしても、こいつら、まだ付き合っていなかったのか?
本人たちは気づいてないかも知れないが、幸太と美戸は学校ではとっくにカップル認定されている。色違いのお揃いの
見た目はどこにでもいそうな女子高生だが近寄りがたい才媛の美戸と、美少年だが病弱で顔色が悪く、がりがりに痩せているので、美少年の幽霊とか干物と言われている幸太。
そんな二人だけに、あまり羨ましくないと言うか、嫉妬心を掻き立てられないというか。幸太と美戸のカップルは学内では平和な存在なのであった。
「あのもやしのどこがいいんだか。」
「大人しくて素直で、私には絶対服従のところだな。」
美戸は真顔でしれっと答えた。
「ふーん。私だったら自分より可愛い彼氏なんて嫌だけどな。」
「しばくよ?」
「ヒッ!」リンは頭を抱えた。
「でも私は彼氏がいるのが、こんなにいいものだとは思わなかったな。
「リンちゃんには、この気持ちは分からないでしょうね。いつか分かる日が来るといいね。」
「バカにすんな! 私にだって好きな子くらいいるわ!」
「えっ!? 一体どこの誰? クラスメイト?」
しまった! リンは目を輝かせた美戸にしつこく問い詰められたが、頑として口を割らなかった。
やれやれ、幸せな奴というのは、どうして人のことに首を突っ込みたがるのだろう? 黙って自分の幸せだけを噛みしめていれば良いのに。そう思わずにはいられないリンなのでありました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます