深緑の射手 アイオロンの必殺技

森深く進んだ俺たち。今日の魔物はかなり手強そうだ。仲間たちは上方を注意深く観察する。木の上に金色に光る物体が2、3枝から枝へと飛んでいく。


「いた! ヤツらだ!」


俺は矢筒から矢を1本を取り出し、弓を引いた。光る物体に狙いを定める。


「当たれ」


俺は弓の弦から指を放す。矢が勢いよく飛び出した。


ガツンッ!


矢は惜しくも物体の下の枝に当たった。


「キキーッ!」


金色の物体が奇声をあげながらこちらに向かって飛び降りてきた。物体をよく見ると、金色の毛に覆われた猿であった。俺たちは剣、杖、弓を振りながら猿を振り払おうとする。しかし、猿たちは木の幹を蹴り、素早く方向を変え俺たちの攻撃が当たらない。


「キキキー!」


猿たちは素早く木を登って逃げていく。俺は矢を取ろうと矢筒に手を伸ばした。しかし、手が空を切る。腰のあたりに目を見やると矢筒がない。猿のほうへ目を凝らすと、一匹が矢筒を抱えていた。


「し、しまった!」


すると魔法使いが杖を高く掲げる。


「ここは、あたしの火炎魔法で!」

「待て、火炎魔法じゃ、森が燃えてこちらもヤバくなる」


剣士が魔法の発動を止めるよう指示する。俺は静かに猿の向かって弓を引く、矢がない状態で。


「あんた、何やってんの?」


魔法使いが目を見開く。俺は弓の弦を弾いた。


天空共鳴波!エアロ・ヴォイド


「キャッ!」


矢筒を抱えた猿が突如木から落ちる。俺たちが落ちた猿に向かう。猿が矢筒を抱えたまま泡を吹いていた。

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