第24話

「まずは船が消える原因を調べないとな。」


「どうやって調べるんです?」


「まぁ、船に乗って実際船が消えたところに行ってみるしかないだろう。」


え?そんな体当たりな感じなんですか?


「いやいやいや!危険ですよ!私たちの船まで何かあったらどうするんですか!死んじゃいます!」


「だか行ってみないと原因はわからん。

さっそく乗せてもらえる船を探すぞ。」


ひええぇぇぇぇ!!!




「はぁ。見つかりませんねぇ、乗せてくれる船。」


依頼を受けた後に乗せてくれる船を1日中探したが結局見つからず宿に帰ってきた。

今は食堂で夕食をとりながら作戦会議中だ。

船が行方不明になった場所に行きたいと言うとみんな断られてしまう。


「あぁ、明日は見つかって海に出られるといいが。」


「なんだ?お前さんたち船を探してんのか?」


厳つい声が聞こえて振り向いてみるとガッチリした海の男!って感じのおじさんが話しかけてきていた。


「あぁ。冒険者ギルドで船が行方不明になる原因の調査依頼を受けたからな。

だが船が消えた場所に連れて行って欲しいと言うとみんな断られてしまう。」


「まぁ、そりゃあそうだろうなぁ。

俺も漁師だが、いくら金を貰ったって命には変えられねぇ。

だが、俺が連れて行ってやろうか?」


「言っていることが矛盾しているぞ。」


たしかについさっき自分で命には変えられないと言っていたのに、怪しい・・・。


「ははは!違う違う!

怪しいもんじゃねぇからそんな目で見ないでくれ、嬢ちゃん!」


「嬢ちゃん!?

私、嬢ちゃんって歳じゃありません!」


「すまねぇな、若く見えたもんでな!

ちゃんと船が消えたポイントまで連れて行くし、高額な金を寄越せなんて言わねぇ。

で、どうする?」


「ふむ。

さっき命には変えられないと言っていたのに私たちを連れて行ってくれると言うのはなぜか聞いてもいいか?」


「まぁ、簡単なことだ。

俺は漁師の家系で育って家族はみんな海の仕事をしている。

今回行方不明になった船に弟が乗っていた船も含まれてるのさ。

海で行方不明になってこれだけ時間が経ってるんだ。俺も海で仕事をしてるから生きているとは思ってないし探してぇとかじゃねぇ。

ただ弟が死んだ原因が知りたいのさ。

それにいつまでも怯えてたってしかたねぇ!早く原因がわからないと俺も仕事上困るからな!」


「そうだったのか。

無理に話させてすまない。

船に乗せてもらうの、頼んでもいいだろうか?」


「もちろんだ!

俺はここロイヒテンデスで漁師をしてるガンツって言うんだ。

よろしくな!」


「私は普段ミラで魔法使いをしているアオイと言う。こっちは弟子のミドリだ。」


「ミドリです!

よろしくお願いします。」


無事に船を出してくれる人も見つかったし、明日からは依頼を進められそうだ。

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