第3話


「なっ、そんな!

無理です!!!監視なんて・・・。

私は仕事で毎日とーーーっても忙しいんです!」


今でさえ全然自分の時間がないのに!!


「拒否権はない。

ここを見た以上は選択肢は2つだ。仕事終わりに店に少し寄ればいいのだ。1日中ここにいて監視されろといっているのではない。秘密を知った以上野放しにはできない。」


異世界だの魔法だの意味がわからない。

一気にいろいろありすぎて頭がおかしくなりそうだ。でも、この話が本当なら断ったら異世界に放り出されてしまう。


いやいや、異世界なんてあるわけないし!!


みどりはそう思うが実際目の前で耳と尻尾をつけたマッチョがいる。


もし、本当だったら。

そう考えるとみどりに断るという選択肢はなかった。


「わ、わかりました。」


「はぁ。

こうなったのも春。お前のせいだぞ。こっちの人間を急に連れてくるな。」


「ご、ごめんなさい・・・。

僕月島春っていいます!

僕のせいでこんなことになって申し訳ないです。

さっきはぶつかっちゃってごめんなさい・・・。」


「文月みどりです。

いえいえ、私がフラフラ歩いていたのが悪いんです。」


そうだ。私はぶつかって転んで、それでここに来ることになったんだ。

あまりにもいろいろと衝撃的で痛みを忘れていた。


「手当てする。」


「あ、ありがとうございます。」


「なんでお前はそーやっていっつも愛想悪いんだよ。怖がってるぞ。

俺は志波嶺二。よろしくな!」


筋肉獣耳マッチョは志波さんというらしい。


「私は弓波あおいここの店主だ。

嶺二と春はここによく来る客だ。

変身薬を買いに来る。」


「変身薬??」


「こちらの世界で暮らす獣人達は正体を隠すため変身薬を使っている。

それをここで売っているのだ。」


「ということは月島くんも??」


「あぁ、嶺二は見ての通り狼の獣人。

春は今は人間に見えるが本当は兎の獣人だ。」


兎、ぴったりだ。

月島くんは今時な感じの茶髪が似合う線が細い可愛い系の男の子だ。


 



手当てが終わると弓波さんが何かを持ってこちらに来る。


「これをつけておきなさい。」


「うわぁ、綺麗。」


キラキラした、青い石がついたネックレス。

弓波さんの瞳の色と同じだ。


「・・・て、 

こんな高価なもの貰えません!」


「みどり、お前はここの秘密を知った。

このネックレスは監視と口封じの魔法がかかっていて、つけた者でないとはずせない。」


そういうと弓波さんが後ろに回る。


「髪を上げて。」


わわわぁ〜!こんな美青年からネックレスをつけてもらえるなんて!!ふ、震える!!一生に一度あるかないかの機会だ!たとえ監視目的だとしてもね!


「手当ても終わった。

もう今日はいい。明日また来なさい。」


「もー!弓波さんは冷たいなぁ。

みどりさん、怪我もしてるし僕が送っていくよ!」


「いえいえ!手当てもしていただいたし、大丈夫です!」


「僕が怪我させちゃったんだ。

送らせて??」


そんな風にきゅるんとした目で見られて言われたら断れないじゃないか。


「じゃあお願いしようかな。」


「じゃ、春もみどりちゃんも、またなー!」


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