第2話 あらやだ! 出物腫れ物ところ嫌わずってね!

「ね、ね? あたしの言うとおり、ね?」


 ふんす、と得意気に鼻から息を吐き、その小さなおばさんは、偉そうに胸を張った。


 自らを『ヨシエ』と名乗ったそのおばさんは、もう本当にその辺にいるおばさんをそのまま縮めたようなビジュアルで、そんなのどこでやってもらえるのかって思うようなくるくるパーマに、ふくよかなボディ。服のサイズはLLかな。いや、この場合、LLっていうのかな。白あんみたいな色のスウェットに、あずき色のスカート。よくよく見ると校章っぽいワンポイントのついたくるぶし丈の白ソックスに、ホームセンターとかで売ってそうなサンダル。


 もう古き良き『いかにも』っていうおばさんを具現化したようなおばさんだ。


「これも半額、これも半額、これも半額、ねっ!? それに、ポテチ、今日は特に安かったのよぉ。これを知っちゃったら、もうコンビニで買うなんて馬鹿らしくて、ねぇ」

「あ、はい。そっすね」


 ヨシエさんはテーブルの上に広げた戦利品を満足気に眺めている。そして、さすがにもう飽きたのか疲れたのか、その場にどっこいしょ、と横になった。


「じゃ、開けて。おせんべ」

「はい?」

「これからご飯食べるんでしょ?」

「ええ、まぁそうですけど」

「1人で食べるなんて味気ないじゃない? あたしも一緒に食べてあげるって。ほら、おせんべ。ちゃんと小さく割ってね。あと、お茶」

「ちょ、え?」

「ねぇ、テレビつけてよ。いま何か面白いのやってないかしら」

 

 このおばさん、ここに居座る気じゃないでしょうね。


 とりあえずおせんべいを小さく割り、少々こぼしながらペットボトルの蓋に注いだ緑茶を差し出すと、ヨシエさんは、「ありがとありがとー」と陽気に笑って、ぶっ、と身体の割に大きめのおならをした。しかも結構臭い。


 勘弁してよ、おばさん。

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