【八】


「今日から皆さんと一緒のクラスになります、ネコ・セレトゥーナさん」

 制服の少女が壇上に立っている。

 背の高い、浅黒い肌。短めの赤毛が燃えるようだ。

 バスケでもやってるのかな、後ろで小声がする。

 リコ君と同じカンジだから南米系かしら。クラスが静かにざわついた。

「よろしくお願いします」

 ネコと呼ばれた少女がわずかに頭を下げた。


 ネコは教壇から一同をさりげなく見渡した。

 ――いた。

 力をむき出しにしているのが一人。中国系の顔立ちだ。

 こいつか?

 指定された席に向かいながら周囲に目を配る。

「真佐崎さんは委員ですから面倒見てあげてくださいね」

 教師が言うと少女がひとり立ち上がった。

 わかりました、と言うとネコにちょっと頭を下げた。目が合う。

 ――こいつもか。

 視線を感じた。さっきの中国系だ。席に歩いていくネコを視線で追ってくる。表情は殺しているが敵意がありありとわかった。

 ネコはそれを無視した。まだ別の気配を感じる。一体このクラスには何人いるんだ。少し驚いた。

 少々手間がかかりそうだ。だがこのクラスで間違いない。

 ネコは内心でほくそ笑んだ。


 あかりはジュディがネコをじっと見ている視線に気づいた。

 わずかに眉根を寄せている。眼光が鋭い。

 あの時の『敵』を見る目だ。

 少し不安になった。



 外の雨音が大きくなってきた。竪樋から側溝に水が落ちるばしゃばしゃという音がやけに大きく響く。

 二限目は体育だ。

 更衣室は二十人弱の女子で満員だ。お喋りがさざ波のように広がる。ネコは着替えながらさりげなく女生徒を見回す。

 誰かがマーカーを持っているはず。

「跳び箱苦手ー」「じゃあやんなきゃいいじゃん」

「やだ、みずきこんなとこにキスマーク!」

「違うわよお! 虫さされ!」

 ネコが反応する。わずかに声の方を振り向く。

 波動がない、違うか。


 ちらっと見た目が合った。あかりはネコに近づいた。

「あの、セレトゥーナさん――なにか困ったことがあったら言ってね。あたし真佐崎あかり」

 ネコはあかりの顔を見た。少し怪訝そうだ。

「――ネコでいいよ」ぶっきらぼうに言う。

「あ、ありがと、あたしもあかりでいいよ。じゃあ、ネコちゃんだね」

 屈託なく笑う。


 波動からしてかなりの能力者か。半袖、短パンからのぞく手足にはマーカーらしきものはない。

 だが、なんでこんなに能天気に笑えるのか。自分が能力者であることを知らないわけでもあるまいが。

 なんとなくその笑顔が憎らしくなった。

 笑い方なんかとうに忘れた。いつだって他人とは異質な存在なのだ。たぶんこいつにはわかっていないのだろう。

 笑っていられるのも今のうちかもな。内心鼻白んだ。


「はい、じゃあ皆さん集合して」

 紺色のジャージ上下を着た白人の女性教師が右手を挙げた。

 体育館の中央付近に七段の跳び箱が二列。手前にロイター板。奥には分厚いマットが敷いてある。

 男子女子分かれておのおのの前に並ぶ。

「じゃあ今日は前回までやった前方回転とびの実技です。跳べる人と前回受けてない人はは自由な跳び方でやって下さい」

 ホイッスルを吹く。

 次々と跳び箱を跳んでいく生徒たち。

「痛っ」尻もちをつく子。「やあだあ」タイミングの合わない子。男子も次々と跳んでいく。

 あかりの番だ。いよっし。指を鳴らす。前に出てロイター板の位置を直す。だいぶ跳び箱から離した。

 位置を決めて手首を振りながら二、三度ジャンプする。手を伸ばしたままリズミカルに走り出す。

 両足で踏み切る。側転で斜めに跳び箱に手を着くと伸身のまま体をひねる。足をそろえて着地。ポーズも決まった。

 おー、と生徒から声。

 さすが体操部、とみつるから声がかかるとあかりはえへへ、と言って照れくさそうに笑うと皆に一礼しながら列の後に戻った。

 何人か過ぎてジュディの番。ロイター板をあかりと同じくらい離す。

 こちらもぴょんぴょんと飛び跳ねながら助走開始。ロイター板の手前で床に手を着いて一回転。思い切り板から跳ね上がる。両足が揃ったY字の姿勢で背中がきれいにカーブしている。跳び箱に手を着くと伸身のまま一回転して着地した。ぴたっと音がする様な着地だ。

 再び生徒からおー、という声。雑技団かよ、と他の生徒。ジュディすごーい、あかりも拍手した。

 列に戻りしな、ちらっとネコに目をやってにやっと笑った。見返すネコは無表情だ。

 む、微妙な空気。あかりは複雑な表情になった。


 二三人過ぎてネコの番。板の位置は気にせず、長めに距離をとる。助走開始。全力ダッシュだ。早い。獣の様だ。

 踏み切る。跳び箱に手をつかず、跳び越しざまに膝を抱え込むと前方に二回転して着地した。右足をやや前に出して肩幅だ。

 うわあ、と生徒から声。

「このクラスだけで大会出られそーね」教師はややあきれ顔になった。

 戻りながらジュディに目をやる。ドヤ顔。ジュディの眉間に皺が寄った。むっと唇がすぼまる。

 あらら、険悪。

 続いてみつるの番。心なしか顔が蒼い。みつる頑張って、とあかりが声をかける。頷く。

 走り出す。タイミングがずれている。板の手前で足がもつれた。止まればいいのに止まらない。板を踏み外し、箱に激突した。

 顔を避けたせいで上半身の体重がもろに箱にかかり、箱が向こう側にかしぐ。

 あー、と生徒から声。みつるは前のめりに裏返って跳び箱もろともマットに崩れ落ちた。

 あちゃあ、とあかりは顔を片手で覆った。

「――この子以外ね」教師が半目になって言った。







時岡トキさんいるかね」

 ザキは研究室ラボの中でディスプレイをにらんでいる女性に声をかけた。

 若い女性研究員ははっと顔をあげ、たぶん奥だと思います、と言ってまた画面に目を戻した。

 通路を奥へ入ってカウンターをよけ、ブースの裏を覗いた。

「トキさん入るぜ」

 鼻下に髭をたくわえた、白衣を着た浅黒い男が右手で画面をめくりながら左手でダンベルを上げ下げしている。

 声に振り向くとおお、ザキちゃんと言いながら10Kと刻まれた鉄塊を床に置いた。ごとんと音がする。

「筋トレばっかしてないで仕事しろよ」

「うるせえよ。ザキちゃんこそ仕事してるのかよ」

 トキが言い返してもじゃもじゃの頭を掻いた。

 一見もっさりした親父で病的な筋トレマニアだが、ラボの主任であると同時にOZでは五本の指に入るすぐれた透視能力者でもあった。

「銃のほう、なんかわかったかい」

 トキはこめかみを揉みながらディスプレイの画像をめくった。

「んー、光弾銃レイオスはコロンビア製の密輸品。ブラジルあたりで出回ってる粗悪な奴だね。昔でいうとこのサタデーナイトみたいなもんかな。あっちのシンジケートがよく使ってるやつでエネルギーの出力下げて7連発できるようしたやつだ」

 再び画像をめくる。

「まあ連中にしてみりゃ人が殺せりゃなんでもいいんだろ。だいぶ前にすたれたタイプだな、今どきはスイス製のブリッターが流行りだからね」

「追っかけられるかね」

「んー、追っかけて追っかけられないことはないけど、時間かかると思うよ。数出てるから」

麻痺銃アナイザーの方は?」

「アメリカ製。これも世界的によく使われてるけど、この二発撃ちワンカートリッジ式の奴は主に警備用だな、連射する必要のないやつ。各国の量子研とか理化研のガードなんかでも使ってる。FSSのは国産の多連装式なんでこれとはずいぶん違うけどね」

 警備用か……銃から当たりをつけるのは無理か。

 ザキは頭を掻いた。

 とりあえずあたっといてくれ、と言ってザキは部屋を出た。







 ホームルームは修学旅行の打合せ。

 男女別の班ごとに分かれて集まっている。あかりたちは隅っこに集まった。

「えーと、二日目の京都の班別行動、男子は庭園、女子は仏像がテーマだから、どうしよう」

 あかりが机の上に浮かんだ画面を操作する。みつるがのぞき込んだ。

「やっぱ東寺は入れないとまずくない?」

「うーん、弥勒の広隆寺もなあ……二人はなんか意見とかあるかな」

 あかりが他のメンバーを見る。

「わたしはよくわからないデス」とジュディ。あさっての方を向いている。

「別に希望はない」とネコ。こっちもジュディと違う方を向いている。


 いや、あんたらね。

 クラス委員のあたしと副委員のみつるが転校生の面倒みるのは仕方ないとして、この雰囲気はなんとかならんかな。


 ネコに気を付けて、と休み時間にジュディに引っ張られて言われた。

(心が読めないね。たまに体質的にそういう人いるけど彼女違う気がする。心を隠す、気配を消す、そういう能力の人もいるね)

(前みたいな連中がいつまた襲ってくるかわからないね。あかり力使ったね。もし気づかれてたら、次はわたしじゃなくあかり直接襲われるかもしれない)

(MMかどうかわからないね。あっちにもいろんな能力者いる。気をつけないとあぶないね)


「あかりとみつるちゃん決めてです。わたし協力するね。足ツっ張る、しないね」

 ジュディが言うとネコがじろっと横目で見た。間違いは無視らしい。

「ほう、それは誰かさんが足を引っ張るとでも言いたそうだな」

 ジュディが流し目をくれる。

「別に誰とは言っていないね。心当たりでもあるのかな」

 空中に見えないスパークが飛び散った。


「――まあまあ、二人とも落ち着いて。仲良くやりましょ、仲良く」

 みつるがなんとなく間に入った。


 疲れる展開だ。このメンツで修学旅行か。

 あかりは気分が重くなった。





 下校時間。

「あれ? ジュディは?」あかりが周囲を見回した。

「さっきまでその辺にいたみたいだけど――先帰ったのかな」みつるも見回す。

 狙われるとか襲われるとか人に言ってたのに……大丈夫かな。

 あれ、と言ってみつるが立ち止まった。校門の方を見ている。

 校門の外に三人の女子生徒が立っていた。南米系の顔立ちだがみんな金髪だ。

「『リオ・トリオ』じゃん、あれ」

 脇にいたマリカが言った。

「ああ――B組の悪い子ちゃんか。ミウリとアドリアナと誰だっけ。誰かに用なのかな」

 みずきが言いながら玄関から出た。


 校門を出るとき、ちらっと一瞥をくれた。別にあかりたちに用はないらしい。


 ネコは遠くからあかりが校門を出て行くところを見ていた。

(あの中国娘のような単細胞が『超越者』とも思えん。だとすれば、可能性はある)

 むろん修学旅行への参加もマーカー確認のために手配されたものだった。共有する時間は多いほど都合がいい。

 試しに尾行してみるか、歩き出す。


「ちょっと、あんた」

 トリオの一人がネコに声をかけた。足を止める。

「――話があんだけど、顔貸してくんないかな」

 顔つきと話し方だけでだいたいどういう連中だか察しがついた。どこでも同じか、と思って微かに息をついた。

 ネコは頷いておとなしくついて歩き出した。一人が前に立ち、二人がネコの後ろにつく。

 

 三人は校庭を回って民家を巻き、裏手のテニスコートを過ぎて梅林にさしかかった。人気はない。

 先を歩いていた一人が向き直る。

「あんた南系人スーラ―だろ? 見ればわかるよ。あたしたちの仲間に入れてやろうと思ったんだが、いい考えだと思わないか?」

 にやつきながら言う。ネコは無表情に相手を見、後ろの二人にちょっと目をやった。

「どうせ返事は想定してるんじゃないのか」

「ふん。入ってきた時から生意気そうな奴だと思ってたよ。挨拶の仕方ぐらい覚えとけ、な? ――ミウリ」

 後ろでじゃらりと音がした。ちらっと目をやる。深さ20センチほどの厚い布袋。パチンコ屋はとうの昔に絶滅している。中身はベアリングだろうと思った。

「顔は狙わないでおいてやるよ。面倒ごとにはしたくないからな」

「そいつは助かるな」相変わらず無表情だ。

 ミウリが後ろから後頭部を狙って袋を振り下ろす。左にかわし、振り向きざまに膝蹴りを腹に決めた。袋を取り落とし、腹をかかえてうずくまる。

「こいつ!」

 もう一人が右から横に振る。後ろへかわすと前の一人が蹴りをくれる段取りだ。意表をついて真下にすとんと下がった。当然後ろへ来るものと思っていたので前の奴が上げた足に袋がぶつかる。

「痛ってえ!」

 前の一人が思わず足にかがんだ瞬間、くるっと回ったネコの蹴りが側頭部に決まった。倒れこむ。そのままもう一回転して袋を振った奴の軸足を払った。見事に仰向けになったところへ素早く立ち上がり、上から腹を踏みつけた。

 ぐえっとひき蛙のような声を上げて転げまわった。

「顔は狙わないでおいてやったぞ、――用は済んだな」無表情に言った。


 覚えてろ、と捨て台詞を吐きながら三人が頭を抱え、腹を押さえながらふらふらと歩き去っていく。

 ネコは元来た道を戻らず、梅林の中へ入って行った。


 真ん中近くに何本か木が枯れて広くなったスペースが現れた。中央部で立ち止まり、後ろを振り向く。

「人もいないしこの辺でいいだろう、出てこい」


 青葉の繁る太い梅の木の陰からゆっくりとジュディが現れた。

 わずかに切れた雲から漏れる陽光が葉を透かし、ジュディの顔に陰影を作った。


「何の用だ、単細胞」

「単細胞はお互いさまね。ジュディ・リー。班員の名前ぐらい覚えるね」

 ジュディの口の端がわずかに上がる。目は笑っていない。

「どうもあなた気に食わないね」カバンを置いてゆっくりと間合いを詰める。

「珍しく意見が一致したな」カバンを落として両手を開く。

「この学校に何しに来たね」また一歩。

「お父様のお仕事のご都合で仕方なく、と言ったら信じるか」

「言う気ないことはわかったね――体に訊いてみるね」


 何かが散った。ばっと二人同時に構えた。

 ジュディの左手は虎爪フーズァオの形で前、右拳は脇、上体をまっすぐにしたまま腰を落として重心は丹田、四六馬スーリューマの型だ。

 ネコは右拳を胸元、左拳は腹、重心は縦に一本。右足は前に出し肩幅。身体を縦にして的を小さくしている。

 ジュディがすっと間合いを詰める。ネコがわずかに横へ動く。ジュディのつかみかかるように指を曲げた左手がネコの動く方向へ回る。

 ジュディがゆっくりと息を吐く。すっと右足を緩める。足が浮くか浮かないかの刹那、ネコが飛び込む。右拳がまっすぐ顔を狙う。

「ほう!」

 左掌が脇へ払うと同時に右の正拳突き。左手でかわす。掴んで右手で顔面、という動きは読まれている。ジュディの顔がくるっと回る。素早い蹴りが飛ぶ。

 右腕で受ける。びしっと音がする。続いて掌底の連撃。右へかわすと同時に左の手刀で側頭。ジュディの左手が蛇の頭のような形になって直角に曲がると手刀を逸らせた。貫手が喉を狙う。後ろに反る。蹴りが来る。そのままバック転。距離をとる。

「はいッ!」

 踏み込んできて閃光のように飛ぶ前蹴り。手の甲でかわす。足を取ろうと踏み込む。左足が着地する前に右足が飛ぶ。かろうじて肘で受ける。ばしっと音がして電撃のような痺れが来る。

「くッ!」

 態勢が整う前にネコの拳の連打。掌底でかろうじて受ける。ぱんぱん! と場違いに澄んだ音が響く。ネコの両腕を抱え込むように右手が動く。振りほどいて裏拳。かいくぐって貫手。身体をひねってかわすと同時に関節を狙う。しゅるるっと腕が絡んできて顔面に虎爪。鼻先をかすめる。ネコの膝が飛ぶ。肘で受ける。

 ばっと二人が跳び下がる。


(このちび……やるな)

(こいつ……なかなか、使うね)


 すっとジュディが前に出る。ネコが素早く踏み込んで前蹴り。ジュディがくるっと回って左足で旋風脚。右手で受け踏み込み左手を回し足を抱え込む。

(取った!)

 崩そうと体重を前へ。なんと左足が浮いたままの態勢で右足が顔面に飛んでくる。

(なにっ!?)

 足を抱えた手をぱっと放してかわす。ジュディがくるっと回って着地。獣のような速度で跳び込んでくる。掌底が腹に飛ぶ。右膝で止めてそのまま右足で蹴る。頭が沈む。下から貫手のアッパーが来る。のけぞってかわす。手がくるっと直角に曲がる。鳥の嘴のような貫手が逃げる顔を追ってくる、右、左。僅差でかわす。たいを前へ。肘で顔面。右へかわす。みぞおちに正拳。かわす。服をかすめる。

 ネコが右、ジュディが左。同時に反転。後ろから回し蹴り。びしっ!と音がして足が空中で交差した。

 同時に跳び下がって構える。にらみ合う。


 ふっ、とジュディが力を抜いた。たいをほどく。

「やめた。――もういいや」こきこきと首を振る。

「負けを認めたか」ネコはゆっくりと構えを解く。ふん、とジュディが鼻で笑う。

「身体に訊いただけね。戦術格闘技タクティカルマーシャルアーツ――大声で正体ばらしてるのと変わらないね」

 ネコもふっと微笑わらう。

「踊りじゃない功夫クンフーをくらったのは初めてだ」

「堪能してもらえてなによりね。……お楽しみは次回に取っておくね」

スカートの裾をはらいながらカバンを拾った。

「帰って宿題やらないと明日叱られるね。――それじゃまた明日ね、ネ・コ・ちゃん♪」

 片手をひらひらと振りながら歩き出した。


 ネコもカバンを拾って、右手で左肘をさすった。まだ痺れが取れない。

(ちびのくせになんてえ蹴りをちやがる……る気でこられたら危なかったぜ)


 ジュディも歩きながら手をふらふらと振っていた。まだ手のひらの真ん中が赤い。

(おー痛て……すごい突きだね。素手ならちょと歩がありそうだけど、刃物持たれたらたぶん勝てないね)


(……いつか決着はつけてやるぞ、ジュディ)

(……そのうち決着はつけるね、ネコ)


 夕陽を背にして、二人は別々の方向へ歩き去った。







「ヤブタは人は出せないと言ってきました……どうしますか、バトンガ様」

 ルスマが言った。

 バトンガは考え込んだ。

「ジェンは例の学校に間者を張り付けた……うかつに単独では動けない」

「ということは、ジェン様も誰が『超越者』かつかんでいない、と?」

 そういうことだ、とバトンガは頷いた。


「――連中が確証をつかんだところで横からひっさらえ」

 はい、とルスマが言った。


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