第3話 歌詞

 部活に入部して、もう一ヶ月が経つ。

「じゃあ、一年生、集合!」

 わたしと悠真、相馬冬樹くんと竹中たけなか真湖まこちゃん、笹原ささはら咲空さらちゃんの五人はみんなに部長に声をかけられた。

「みんなでバンドを作るのは、どう? バンド名もお任せする」

「え~!?」

 四人で叫んでしまった。

 バンドを作るのは、知ってたけど……。

 バンド名も考えなきゃいけないの!?







 部室で考えることにした。

「どうする? バンド名も考えないといけなかったなんてね」

 わたしと真湖ちゃんと咲空ちゃんがルーズリーフに書き込んでいくけど、全然思いつかない。

「LUNAってさ、イタリア語で月って意味らしいよ?」

「あ~、外国語から意味を探せばいいのかな?」

「う~ん。やってみるだけはあるね」

 それで、書き出した。

「Sky Blue and Summer」と、書いたのは、悠真だった。

「いいね! それ!」

 それから、バンドの曲とかも考えるみたい。

 曲の歌詞はもう遅いので、誰かが作ってくることになった。メロディーとかは、相馬くんにお任せすることになった。






 都心から家まで行くのには一時間かかるから、少しだけ大変なんだよね。朝早く出ないといけないし。

「陽菜乃、冬樹から、メロディーが送られてきた」

「え? 早くない?」

「もう考えてたらしい、メロディーは」

 歌詞はこっちで考えるみたいだから、電車に乗ってる一時間のなかで、スマホのメモを書き始めた。


 わたしはなかなか書けなかったので、そのまま寝てしまった。

 最寄り駅に到着したので、電車を降りる。

 悠真が手を繋いできた。

「陽菜乃、あのさ。文化祭のライブのあと、話があるから」

「うん……わかった」

 ハル姉がやって来て、そのまま帰ることになった。

「できた。歌詞。」

 悠真が笑ってメモを見せてきた。




 光の道標みちしるべ

 人には道標となる人がいる

 大きな光に照らされて、誰かがこの体を包み込む

 それは暖かく、心を安心させてくれる

 太陽のように眩しく、輝き、煌めくと心までが明るくなる

 君の笑顔は闇の世界にいる僕を光の世界へと連れてくれる

 さあ、飛び出そう!

 君に連れられて、たくさんの幸せをもらえたから、君に伝えたいことがあるんだ

 君がつらいときは僕が君の代わりに、道標となろう



 悠真が作った歌詞はとても素敵だったから、わたしはとても気に入ってしまった。

「天才? すごいな! 悠真。好きだよ。この歌詞」

「陽菜乃、ありがとう。恥ずかしいだろ」

 悠真が顔を赤くして、そっぽを向く。

「悠真~。好きな子に褒められて、照れてるね?」

 ハル姉の一言に悠真が真っ赤に顔をしているんだ。

「ちょっ……姉貴!! いい加減にしろよ! 国家試験合格して、気取ってんじゃねぇよ!」

「ハハハ、バレた?」

「ハル姉、お医者さんになるの?」

「なるよ~!! 小児科医を目指してんだからね」

 ハル姉の夢が叶ったことがとても嬉しかった。

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