何者でもない、誰でもない。

漫画家になることを諦め地方に引っ越すことを決めた主人公が、ふとした思いつきで女装をしはじめるお話。
自分のやりたいこと、なりたい者になれない限り何者にもなれない。そういう夢めいたものを抱く人間誰もが感じているであろう虚しさや寂しさが読み進めていくうちに体にじわじわ浸透してきます。
何者にもなれなかった主人公が、名前を変え性別も変え、誰でもなく、どこにもいない人間になろうとする心の動きがとても切なかったです。
新しい人間を作るというところが、創作する人間の業を感じられてとても好きです。
志を持つ人みんなに響くお話だと思います!

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