うわー、良い……

この作品のキモとなるのは、嫌見のない空気感だと思う。
女装が物語の仕掛けになっていると、性自認という分かりやすいテーマあるいは性欲という使いやすい道具を使ってしまいそうになるものだけど、
阿瀬みちさんはそれをサッと流して日常生活や人生で、誰しも陥りやすい苦しみを描く。成行き上の相方あるいはパートナーとの関係性も、下手に物語に落としこまずに絶妙にリアルだ。
ほっとするような良い塩梅とでも言うべき空気感で、それでいて本人達にとって深刻な事象が語られる。それが心を揺さぶられるのだと思う。

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